今は、まだ 眩しい光の海の真ん中に天城は立っている。聞こえる声は歓声ではなく怒声。嫌われる行動を、他者を傷つける行動をとって今、その責任を一身に負って、この舞台を永遠に降りようとしている。
「俺はアイドルになりたかった、大勢のファンに愛されるアイドルに」
その後人づてに聞いた言葉は、間違いなく彼の本心だろう。
そうして、長い付き合いの相棒と故郷に帰ろうとしたところを、正義の味方に救われて、大勢の民衆が望むアイドルに羽化を遂げつつある。
「HiMERU―ちょっといいか、ここの振りだけど」
次のライブに向けて、レッスンと打ち合わせを重ねていた。最初の方は今まで重ねてきた所業のせいでなかなか仕事をもらうことができずに、椎名の職場で腐っていたりしていたけれど、その間も天城はCrazy:Bとして再起を図るべく奔走していたのだ。
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