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    stgr救急隊で全員が出勤してます。
    個人の妄想です。
    口調に違和感があっても許してください。
    二次創作です。

    ウィル・ナイアー誘拐事件/ウィル・ナイアー視点面倒な事になった。ため息を吐いて運転座席に座る人物を見る。どことなく見たことのあるような気がするけれどあいにく自分を標的にしたいと思う人間が浮かばない。あのピンク髪のアニメキャラのお面は前にももみさんが何か言っていたのは覚えているのだけれど、なんだったか。
    それにしても、治先輩には悪い事をしてしまった。今日久しぶりに救急隊が全員出勤出来るから余裕が有れば遊びに行こうと誘ってくださっていたのに。
    最近前よりも少しこちらに来る機会が多くなってこの病院の面々とも話す機会が増えた。あまり自分から話しかけに行くタイプではないし私なんかと喋っていてもつまらないだろうと思ってしまっていたからあまり積極的に交流はしてこなかったのだけれど、それでも私の名前を嬉しそうに呼んで声をかけてくれる彼らに、正直にいえばいつのまにか絆されてしまった。
     
    何を考えてるかわからない、近寄りがたいなんて、何度も言われてきた。見目が良いのは自負している。それを利用しようと近付いて来た女性は話もせずにあしらいそんな女を目当てに近付いて来た男も、早々にお帰り頂いた。
    人をアクセサリーか何かと勘違いしているんじゃないかと思う人間ばかりが近寄って来て人付き合いに辟易したのはジュニアハイスクールの頃だったか。じゃあもういっそもっと近寄りづらくしてやろうと敢えて医学の道を目指した。その結果が失敗だったか成功だったか、少なくともアーカムという街ではそのまま暮らしていくには生きづらくなってしまったからロスサントスの街に移住して来たのだけれど。
    その街でまさかこんな出会いがあるなんてどうして予測できただろう。時にはアーカムよりも恐ろしいことが平然と起きて行われる事も多いけれど、この街で私を私として見てくれる住人は多い。
    それが顕著なのが救急隊だと思う。集団に慣れなくて離れてしまう私を気にしてついて来たり、話しかけてくれたり。その目に宿る光はこちらを利用しようとか自分の得を考えたものではなく、ただ純粋なまでの好意。決して恋人になりたいとかの欲に塗れたそれではない優しい光。
    警戒心のない人たちだと呆れたこともあったけどどこまで行ってもお人好しと住人のことが心配なだけの人達は勿論それぞれ人間らしい悩みも抱えていて。
    いつの間にか居場所になっていた。
    本当の意味で、自分が他人を心配するなんて思ってもなかった。
    姿形だけ見ている人間なら幻滅したと勝手なことを言って去っていく事をしてみても、幻滅するどころか全力でふざけてくれたり、便乗して来たり。
    腹から笑ったのなんて久しぶりの感覚だった。私の予想がつかない方向に動く人たちも、何もかもが新鮮だった。
    心の中には誰もいないなんて言ったけれど確実に彼らはこの心の中に足跡を残して行ってるのだと1人になった時に思うのだ。
    買い物をしている時、散歩をしている時、何かにつけてコレは誰が好きそうだ、こっちはあの人だ、なんてそんな普通の事を考える日が来るなんて。
    「あの、すみません。コレ、どちらに向かわれてるんです?」
    「え〜?それ聞いちゃいます?」
    「えぇ...というより貴方どなたです?」
    「あははっ言うわけないじゃないですか。ウィルさんって結構お茶目なんですね」
    高い笑い声にはやはり聞き覚えがある。アーカムにいた頃ここまで酷くはないけれどこんなことは何度もあった。知らない間に恋人を名乗られていたこと、家にまで付きまとわれたこと、もっとひどいときは勝手に家の中に入られていたこと。それと同じ雰囲気を感じ取って寒気というか吐き気というか。思わず出そうになった言葉にマグナムさんを思い出してしまった。彼がよくする私が言いそうで言わない言葉、というのはなかなかにセンスがあると思う。確かに普段の私を思えば絶妙に言わないのだ。けれど、こんな場合は流石に言わざるを得ないのだけれど。
    「…吐き気がしますね。近寄らないでいただきたい」
    ももみさんならそんなこと言わないと喚いて、隊長や医局長なら大声を立てて笑いそうだ。脳裏にすぐ救急隊の面々の反応が浮かぶ当たり、自分もその一員だと認識しているんだろうか。無意識に笑いそうになって視線を感じて前を見ればバックミラー越しにお面の穴からこちらを見る視線に気が付いて少し体をずらした。
    街中からは随分離れてきたように思う。走ってるのは明らかに高速道路だし、街灯の少なさから、なんとなく湾岸側ではなく北方面に向かっていることが分かる。北の、あぁ、牧場の辺りだろうか。なんてなんとなく考えていたら車がきゅうにカーブをしてブレーキがかかった。後部座席の足元に落ちるかと思ったけれど何とか無事に座席から落ちずに済んで小さく息を吐いていたら扉が開いて外に引きずり出された。
    「ッ、」
    「ウィル!!!!」
    サイレンが聞こえるとは思っていたけれど治先輩がそのまま追いかけてきてくれていたようだ。背中を押され、地面に倒れる直前にこちらに駆け寄る姿が見えて、よつは先生でもないのに、あんなに必死になるんだなぁなんて呑気なことを考えていたら、スパン、と軽い音が聞こえて腹部に熱を感じ嫌な予感に視線をゆっくり下げた。耳元のすぐ近くで心臓の音がどくどくと嫌な音を立てる。白衣にじわじわと赤い色が広がっていって、あ、これはまずいな、となんとなく察知して眉根を寄せる。
    「ウィル!?っ、おまえええええええええええ!!!!!!」
    「こわーい」
    パスン、

    パスン


    けれど

    続けてなった破裂音。痛みを耐えながら視線を治先輩に向ければ私と同じくして地面に倒れる姿が見えた。痛みにうめき声が上がるのが聞こえた。痛みに意識が遠のくさなか、また犯人の高い笑い声が聞こえた。
    「鬼ごっこですよぉ、ウィルさんは私とデートです!精々、頑張っておいかけてくださいねぇ」
    ケラケラと笑うその声が酷く不愉快だ。また担ぎ上げられて車に乗せられて車は音を立てて走り出す。遠のく意識の中ヘリがこちらに近づく音が聞こえて、──────────────────────

    ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
    ぴ、ぴ、ぴ、
    耳に慣れた心電図の音。ゆっくり目を開けば見慣れたような見慣れない天井にどこで見たんだったかと数秒考える。あぁ、病院だと気づいてため息を吐いた。あの後、どうにか助けられたらしい。詳しいことは何一つとして覚えていないけれど外の景色を見れば時間が経過したことは分かる。
    手のひらで患部を探ろうとして、点滴につながれていないほうの手が何かに抑えられているのに気づいた。一体なんだと思えば見えたのは桃色の髪の毛。どうやら、またももみさんに助けられたらしい。
    少し前にもこんなことがあった。パラシュートを使ってのスカイダイビングを楽しもうとしていたらパラシュートが壊れていて開かなくて。会えなく地面に叩きつけられうめいている私に駆け寄ってきてくれたのはこの子だった。誘拐だとか物騒なことは言っていたけれど的確な処置に随分と舌を巻いた。入った当初は隊長に問題児だなんて言われていたのにいつの間にか後ろを走っていたと思っていた彼女が隣にいた事にも、私よりも先を走ろうとしている事にも驚いて。彼女から向けられる好意が親愛なのか執着なのか少しわからなくなることもあるけれど、私自身に対して全力を出してくれるのは周知の事実だ。
    起こさないようにゆっくり体を起こして枕を背中側に当てる。病院内は静かで時折近くの高速を走る車の音が聞こえるくらいなものだ。さて、ずいぶん迷惑をかけてしまった。何かお詫びでもしないとなぁとぼんやり考えていたら病室の扉が開いた。がやがやと話しながら入って生きたのは鳥野さん、ましろくん、マグナムさん、シソジ君でこちらを見て声を上げようとして私の手を掴んだまま眠っているももみさんの姿に気づいて慌ててそれぞれがそれぞれの口を塞いだ。
    「ふふ、お疲れ様です」
    「おつかれさまです、大丈夫ですか?ウィルさん」
    「えぇ、ありがとうございます」
    「ウィルさん、これお見舞いです」
    「おや、いただいていいんですか?」
    「勿論です。みんなで選んできたので」
    「では、ありがたく受け取りましょう。気を使わせてしまってすみません。」
    「ウィルパイセンには早くよくなってもらわなきゃですから!」
    「ありがとうございます。」
    そうやって話しているうちにももみさんが目を覚ました。その目元は真っ赤に染まっていて泣き腫らしたことが分かった。そんなに自分の状態が酷かったのかと撃たれた腹部に手を伸ばそうとするとももみさんの目にいっぱい涙がたまって
    「っ、ヴィル゙ぅ~!!!!!!!!」
    「おっと…あの、ももみさん?」
    「よかった、ほんとによかった!!!」
    「えぇと…心配かけてすみません…」
    一応怪我に触れないように気を使っているのか袖の辺りを掴んだももみさんは私の腹部に顔を押さえつけたままわんわんと大声を上げて泣く。普段よく病院で泣いているのは見かけるけどこんなにも必死な泣き方をするのはあまり見た覚えがなくて驚いてしまった。恐る恐る、その肩に手を置いて頭を撫でれば少しだけ泣き声はおさまったけれど。
    「皆さんも、ご迷惑をおかけしてすみませんでした」
    「そんな、」
    「悪いのは犯人でウィルさんじゃないです!」
    「そうです!!!」
    余りの勢いにびくりと肩が震えて思わず体を引けばちょうど後ろにあった棚に頭をぶつけてしまって鈍い痛みに思わず眉根を寄せる。顔を上げればマグナムさんとシソジさんは椅子に座って真っ赤になった目を私に向けたままじっと何かを言いたげにしていた。どうしてそんなに泣くのだろう。同僚くらいだと思っていたのに、私の身を案じて、どうしてここまで泣けるのだろうか。
    「えぇと…正直なお話、記憶がなくてですね…私は、どうなったんです?」
    目の前で、治先輩が撃たれた後から正直覚えていない。ももみさん同様、泣き出したマグナムさんとシソジさんからましろさんと鳥野さんに視線を向けなおせば、ぽつぽつと、状況の説明をしてくれた。
    私が攫われたことに気づいた治先輩が救急車で追いかけてきてくれたこと。治先輩が直前に救急隊に経緯を伝えて私を助けるために隊長、医局長、ももみさん、マグナムさん、鳥野さんが病院を飛び出したこと。犯人が治先輩に見せつけるように目の前で銃で撃ち抜き、倒れた私にさらに銃を撃ち、気絶した私を車に乗せ北方面に逃げていったこと。隊長がいの一番に犯人に辿り着き、マグナムさんが退路を断ち2人で撹乱しているところに医局長が車で突撃して地面に付した私をももみさんが抱えて逃げ、鳥野さんがヘリで私を病院に運び、ももみさんが治療を行ってくれたこと。
    「大変なご迷惑を、」
    「そんなこと、言わないでください!!!」
    「俺たちにとって、ウィルさんは大事な仲間です!」
    「自分を、大事にしてくださいっ…」
    とうとう、ましろさんと鳥野さんも唇を噛んで耐えてはいたけれどその瞳から涙を流して、ももみさんはさらに抱きつく力を強くした。病室にすすり泣く声や悲痛な子供の泣き声が響く。どうしたら泣き止んでくれるのか途方に暮れているとガチャリと扉が開いて、隊長、医局長、カテジさん、松葉づえをついた治先輩とそれを支えるよつは先生、それからたえこさんがぞろぞろと中に入ってきた。
    「おぉ、なんだすごいな?みんなどうした」
    「おいおいお前たち、こんなに泣いたらウィルが困ってるだろう?」
    「ウィル!ごめんな、助けられなくてさ」
    「あ、い、いえ、すみません。治先輩。巻き込むような形になってしまって…」
    「俺は大丈夫だ、治療してもらったし」
    「そうよ?ウィル君。あなたもちゃんと療養して直してね?」
    「みぃんな泣いちゃって。どうしたのよ~そんなにアタシがいなくて寂しかった~?」
    「たえこ、多分違うと思うぞ?」
    「ん~?」
    にぎやかに笑い合う声に、私を責めるものは一つもなく、逆に心配するものばかりだ。私の都合に巻き込んでしまっただけなのにどうしてこんなに、なんて。流石にもう疑えはしない。
    人と、深く付き合わないようにしていたのに
    人と、円を持たないように気を付けていたのに
    ロスサントスの街は私という人間の心も、どうやら溶かしてしまったようだ。
    認めよう。彼らが心にいることを。
    間違いなく、彼らは仲間であり、友人であり、家族であるということを。

    「ウィル」
    「なんでしょう、隊長」
    「お前が無事でよかったよ」
    「ありがとうございます」
    「お前が元気じゃないと、ダメなやつらが多いからな」
    「肝に銘じておきましょう」
    「何かあったら、俺達はきっとお前を助けに行くから。ま、気にするなよ」
    「…そう、ですね。ありがとうございます。」
    「あ、もう!たいちょー!!ウィルと何話してるんですか!!」
    「ももみか、なんでもないさ」
    「隠し事だ!!!!ウィル!!!たいちょうになにいわれたんですか!!!!」
    「まぁまぁ。そう言えば今日も新しいのを作ってみたんですよ」
    「え~!!!あ!おいしそ~!!」
    ロスサントスの日常は、今日も騒がしく、あわただしく、でも、優しく進んでいく。この、優しい人たちが幸せであれるように、そう、ただただ願うばかりだ。
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    DONEウィルもも。月見酒の続き
    甘くて苦い「…?」
    なんだか見られている気がしてきょろきょろと辺りを見る。病院にいるとき、誰かと話をしているとき、アタシの首筋を刺すような明らかに敵意があります、みたいな視線。色々あって、そういうものには過敏になってるみたいでなんていうか気になってしまって。そうしたら鳥野君とらーどーに名前を呼ばれて、何でもないよって首を振る。
    「ももみさん?」
    「ももみパイセン?」
    「ほぇ?あ、ごめんごめん。なんでもない。何の話だっけ?」
    「もー、ちゃんと聞いててくださいよ。」
    「この後の話なんですけど、」
    病院の、テレビがある方のベンチのところでみんなで集まっていつものように話をしていた。話題は大体最近あったこととか、この3人だと牧場のこととか。鳥野君もらーどーも街にお友達が沢山いてアタシの知らないことを知っているから話してるだけでも楽しいし、そうじゃなくてもこの三人でいたずらするのとかも楽しくて。最近はちょっとらーどーをからかって遊ぶのが楽しいんだけどみんなで笑ってるのは楽しい。二人とも長い時間病院にいてくれるから一緒に行動することも多いし、遊びに誘ったらついてきてくれるの、すごくありがたい。
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