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    ウィルもも。月見酒の続き

    #サークル限定公開
    circleLimitedPublication
    #ウィルもも
    nectarine
    #ストグラ
    stogra
    #二次創作
    secondaryCreation

    甘くて苦い「…?」
    なんだか見られている気がしてきょろきょろと辺りを見る。病院にいるとき、誰かと話をしているとき、アタシの首筋を刺すような明らかに敵意があります、みたいな視線。色々あって、そういうものには過敏になってるみたいでなんていうか気になってしまって。そうしたら鳥野君とらーどーに名前を呼ばれて、何でもないよって首を振る。
    「ももみさん?」
    「ももみパイセン?」
    「ほぇ?あ、ごめんごめん。なんでもない。何の話だっけ?」
    「もー、ちゃんと聞いててくださいよ。」
    「この後の話なんですけど、」
    病院の、テレビがある方のベンチのところでみんなで集まっていつものように話をしていた。話題は大体最近あったこととか、この3人だと牧場のこととか。鳥野君もらーどーも街にお友達が沢山いてアタシの知らないことを知っているから話してるだけでも楽しいし、そうじゃなくてもこの三人でいたずらするのとかも楽しくて。最近はちょっとらーどーをからかって遊ぶのが楽しいんだけどみんなで笑ってるのは楽しい。二人とも長い時間病院にいてくれるから一緒に行動することも多いし、遊びに誘ったらついてきてくれるの、すごくありがたい。
    今日もそんな感じで3人で固まって話をしていた。最近ご飯作るのにはまってる鳥野君が持って来てくれたドーナッツを片手に、アタシの作ったココアを飲みながらくすくす笑っていたらなんだかさっき感じたピリピリしたものを背中に、首筋に感じて眉根を寄せる。
    何だろう、なんだかすごく嫌な感じがする。振り返ってみるけれどそこにはカルテを整理しているウィルと雑談をしているらしい隊長、さっきまで入院していた人もいたけどこっちを向いている感じはない。一体何なんだろうって首を傾げていればウィルが立ち上がったのが見えた。C棟にカルテを確認しに行くのかなって思ったんだけどその顔がなんだか機嫌が悪そうに見えて首を傾げる。何か嫌なことでもあったんだろうか。ちらりと鳥野君とらーどーを見ればアタシの様子を見ていたようでくすくすと笑って軽く背中を押された。
    扉が閉まったのに合わせてしゃがんだまま歩き出す。カツカツと人気の少なくなった病院の廊下をウィルの足音が響いて。なんだか足音だけ聞いた感じなんだけどやっぱり機嫌悪そうかも?靴を脱いで匍匐前進しながらウィルの後をつけて行っている最中、ピコン、と耳に付けたままのインカムにダウン通知が入った。
    『僕が、』
    《ピコン》【市民ダウン】
    《ピコン》【市民ダウン】
    《ピコン》【市民ダウン】
    『あ、えっと』
    『誰か聞こえてるか?』
    『こちらウィル、聞こえてますよ』
    『こちら鳥野、聞こえてます』
    『こちら雷堂、聞こえてます』
    「こちらももみ!聞こえてます!」
    立て続けに鳴ったダウン通知に慌てて処置室に入る。このままだとC棟に入ったウィルに声が聞こえてしまうし、振り返ったらあとをつけているのがばれてしまいそうだったから。マップを開けば街中に2か所、北に2か所のダウン通知が出ていて、北の方のダウン通知は牧場近くともう少し手前の、あれは多分航空機バイトの場所だろう。
    『北のな、上の方なんだが俺がちょうど牧場に向かっている最中だったから拾っていく。下の方を任せていいか』
    『了解です。私が行きましょう』
    「ウィルが行くならアタシも行きます!」
    『了解です。街中のは救急車の方が良さそうなので僕とましろ君で向かいます』
    『多分片方はバーガー屋だと思います。さっきドライブ行くってツイート見かけたので』
    ウィルが来たに行くって聞こえたから、勢いで着いていくって言ってしまった。でも北では犯罪が起きることが多いから一人で行くよりは二人で行った方がいい。処置室の扉の横に張り付いてウィルが通り過ぎたのを確認してからC棟のトイレ側の扉からロビーに出た。
    「あぁ、ももみさん。お待たせしました。向かいましょうか」
    「了解です。ヘリはお願いしてもいいですか?」
    「えぇ、構いませんよ」
    エレベーターまで走っていって、自分の手持ちに救急キットが複数あるのを確認する。ダウン通知は一つだったけど何かあったときのために予備は持っておいた方がいい。屋上にあるヘリポートに上がれば、びゅおぉ、って強い風が吹いて思わずよろめいたのをちょうど後ろから出てきたウィルに支えられた。
    「大丈夫ですか」
    「すみませんウィル、」
    「風が強いですね…気をつけて行きましょう」
    「はい、お願いします。」

    結論から言えば、北で倒れていたのはヘラシギだった。飛行機の練習をしていたとか、変なやつらがって言ってたけど多分航空機のイリーガルバイトをしていたんだと思う。ウィルが処置をしてけがをした原因を確認している傍らでカルテに入院時間なんかを書き込んでいく。
    デイリーヘラシギ。航空機バイト。怪我には気を付けるってここに来るたびに約束してるのに聞いてくれない。ばぁか。二人はまだ何か話をしていたからロビーで他のみんなが帰ってくるのを待とうって思って先に移動したらちょうど鳥野君とらーどーが患者さんを搬送して戻って来たところだった。鳥野君が運んでたのはバーガー屋のぷら子ちゃん。らーどーが運んできたのはジョアンナさん。珍しいってちょっとびっくりしてたらあとから走ってきた斎藤さんがガソリンスタンドでまた爆発騒ぎがあったんだと苦笑いで教えてくれた。今処置室に入ったのなら、何時には退院できるよ、と言ってあげていつの間にか誰も居なくなってた受付のカウンターの中に腰を下ろした。
    『こちら命田。現状を教えてくれ』
    「はぁい。あたしとウィルが助けたのはヘラシギで多分イリーガル航空機バイトっぽいです。鳥野君はぷら子ちゃんで事故みたいで、ラードはジョアンナさんでガソリンスタンド爆発だって言ってました。」
    『そうか、分かった。俺も今北から戻って上についた。こっちはヒーローだったよ。北で待つかって聞いたんだが街に戻してほしいって言われたんでな。』
    「了解でーす」
    隊長の言葉通り、かすかにヘリの音が聞こえてそれからエレベーターが動いたような音が聞こえた。らーどーと鳥野君もロビーに戻ってきて、その傍らにはぷら子ちゃんとジョアンナさんと斎藤さん。斎藤モータースの二人が病院から出ていくのを見送っていればてつおがぷら子ちゃんを迎えに来たみたいでちょっと申し訳なさそうにしてた。隊長がそんなアタシたちに合流して、そういえばって牧場の話題になったのはしょうがないっていうか。豚さんとか鳥さんのお話、最近牧場付近で脱走した牛さんを見かけた話とか。最近は色々忙しくて牧場に行けない話とかそんなことばかり話しているとようやく処置室の方からヘラシギとウィルが出てきた。何の話をしているのかよくわからないけれど。ヘラシギが何かを聞いてそれをウィルが応えてるって感じに見える。
    この二人が仲良く話してるのになんだかお腹がむかむかするのは、多分この間ヘラシギがウィルの車の、多分助手席に座ったせい。あそこはアタシの場所なのに。しかも乗ったくせに覚えてないなんておかしい。ヘラシギ単独でいる時は別に気にしてないけど、でもウィルと話してるの見るのは何か、ちょっとだけ嫌で。言えるわけないんだけど。だって、それでウィルに嫌われたらもっと悲しいから。そう考えていたのに、二人がこっちに向かって歩いてたのもあって、会話の内容が聞こえてくる。その瞬間聞こえた言葉に気づいたら飛び出してた
    「いやぁ、ウィルさん思ってたよりめっちゃ話あうやん。ウチけーへん?ウィルさんやったら即戦力やしぃ、ボスも大歓迎やと、」
    「ッだめぇ!!!!!」
    ウィルを背にかばうように二人の間に入ってヘラシギを突き飛ばした。走ってきた勢いもあったから、ヘラシギはそのまましりもちをついてぽかんとしたままあたしを見上げている。きっと、いきなり走り出したから、たいちょーたちもびっくりさせちゃった気がするけどそんなのにかまっていられない。
    「ウィルはっ、ウィルは、きゅーきゅーたいのウィルなので!!!!勝手なことしないで下さい!!!!ウィルはっ…きゅーきゅーたいの、うぃる、だもん、…」
    泣きそうになるけど、泣いちゃだめだ。あたしの大切な、大好きなウィルを連れて行こうとする、こいつをどっかにやってからじゃなきゃ、だめっ。患者さんなのに、病院の中なのに、怪我させちゃって怒られるかもしれない。ぎゅうって唇を噛んで涙を我慢していたら、ポンって肩を叩かれた。
    「という事らしいので、すみませんがあきらめてくださいね」
    くすくすと笑うウィルの声が聞こえて思わず振り向いたらアタシが泣きそうなことにも気づいたみたいで苦笑いをしたまま髪を撫でてくれた。きゅーきゅーたいだから、仲間だからって理由だけじゃない。
    それだけじゃない、って言えたらいいのに。
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    DONEウィルもも。月見酒の続き
    甘くて苦い「…?」
    なんだか見られている気がしてきょろきょろと辺りを見る。病院にいるとき、誰かと話をしているとき、アタシの首筋を刺すような明らかに敵意があります、みたいな視線。色々あって、そういうものには過敏になってるみたいでなんていうか気になってしまって。そうしたら鳥野君とらーどーに名前を呼ばれて、何でもないよって首を振る。
    「ももみさん?」
    「ももみパイセン?」
    「ほぇ?あ、ごめんごめん。なんでもない。何の話だっけ?」
    「もー、ちゃんと聞いててくださいよ。」
    「この後の話なんですけど、」
    病院の、テレビがある方のベンチのところでみんなで集まっていつものように話をしていた。話題は大体最近あったこととか、この3人だと牧場のこととか。鳥野君もらーどーも街にお友達が沢山いてアタシの知らないことを知っているから話してるだけでも楽しいし、そうじゃなくてもこの三人でいたずらするのとかも楽しくて。最近はちょっとらーどーをからかって遊ぶのが楽しいんだけどみんなで笑ってるのは楽しい。二人とも長い時間病院にいてくれるから一緒に行動することも多いし、遊びに誘ったらついてきてくれるの、すごくありがたい。
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