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    あんちょ@supe3kaeshi

    たまに短文

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    5分で読めるひいあい

    休み時間 チャイムが鳴る。SNSをチェックしようと鞄からスマホを取り出したら、そのスマホが震えているのに気が付いた。ヒロくんからの電話だ。お互い学校にいることは分かっているんだから、簡単な連絡ならメッセージで済ませればいい。そう思っておれは慌てて電話に出た。もし緊急の連絡だったらって思ったから。
    『藍良、次の授業は移動教室かい?』
    「ううん、自分のクラスだよォ」
     どうしたんだろう、ちょっと元気ない?
    『その……できれば今すぐ、ほんの少しでいいから、二階の空き教室に来て欲しいのだけど』
    「なんで? 何かあった?」
     怪我でもした? なんとなく教室の窓からグラウンドを見る。外で体育をしていたクラスは居なかったみたい。何か悪い知らせでも入った? それなら空き教室に呼び出す意味が分からない。
     そわそわしながら返事を待っていたら、ヒロくんらしくない小さな声が返ってきた。
    『それがその……藍良が足りなくなってしまって』
    「は?」
    『……キスを、させて欲しいのだけれど』
    「はぁ!?」
     おれは思わず大声を上げてしまった。クラスメイトが一斉に振り返る。二つの意味でおれは顔が熱くなるのを感じた。
    「あ、あのねェ……」
     おれは頭の中で言葉を選んだけれど、ここでは人の目があるし、もごもごしている間に時計も進む。
    「ああもう、とりあえずそこに行くから! 待ってて!」
     後で帰ってきた時、誰かに何があったのか聞かれたらどうすんの? なんて答えればいいわけェ!

     おれはヒロくんの呼び出しどおり、急いで二階の空き教室に向かった。そこは放課後誰かの自主練に使われる以外は、人がいるところを見かけない教室。だから時々ヒロくんとこっそり会うのに使ってるんだけど、最近はもう色んな人にバレてる気がするから控えようって言ってたのに。
    「藍良」
     教室のドアを開けると、ヒロくんが居た。今は休み時間。廊下に出ている生徒も多い。そんな中、何しようとしてるわけ。言いたいことはいっぱいあるけど、あるけど!
     考えていることが全部顔に出ていたみたいで、ヒロくんが申し訳なさそうな顔をした。
     ……怒られることをしてる自覚があるならいいと思ってしまうのも、甘いんだろうか。
    「ん」
     おれはヒロくんに向かって両手を広げる。ヒロくんの目が驚いたように見開いた。何不思議そうな顔してるの、自分で言いだしたんでしょ。
    「時間無いからはやく、さっさと充電してよねェ」
    「お、怒ってないのかい?」
    「怒ってない。でも、昼休みにたっぷり説教してやるから」
    「ふふ、藍良は優しいね」
     ヒロくんは笑って、おれのことを抱き寄せてきた。今は授業と授業の間の休み時間。ゆっくりしている時間はない。だからなのか、ヒロくんのキスは普段よりずっと短かかった。優しく触れるだけで、おれの方が物足りないくらい。
    「……もういいの?」
    「うん。授業が始まってしまうから戻らないとね」
    「じゃあ昼休みに」
    「迎えに行くよ」
    「ダメ。今ここに来る前も絶対怪しまれたんだからね」
    「ふふ、ごめんよ」
    「だからガーデンテラスに集合ね」
    「わかった」
     その会話の間ずっと、ヒロくんの手がおれの肩から離れなくて、ずっと顔を見つめられていた。なに、今日のヒロくんは一体どうしたわけ? 聞きたいことは色々あったけれど、チャイムが鳴る前に教室へ戻らないと。
     おれはヒロくんより先にその教室を出て、甘ったるく火照った頬を廊下の空気で冷やしながら、自分の教室へと戻った。

     昼休みに会ったヒロくんはびっくりするほどいつも通りで、午前中に元気が無さそうに見えたのがウソみたいだった。だから本人に聞きづらかったことを、ヒロくんの同室の先輩に聞いてみた。午前中、ヒロくんの元気が無かったんですけど心当たりありますかって。
     ひなた先輩は電話の向こうでひとしきり笑った後、教えてくれた。

    『二時間目の現代文で、やたら小説に感情移入してたから、多分それじゃない?』
     
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    あんちょ@supe3kaeshi

    DONE【うさぎ⑥】塾一彩とうさぎ藍良のパロディ小説。コンセプトバーで働く藍良と、彼目当てに通っちゃう学生の一彩くんのお話。今回は藍良視点。◆◇◆◇9/10追記
    ◆◇今夜もウサギの夢をみる◆◇ Scene.10Scene10. ウサギの独白 ◆◇◆◇


     おれは、アイドルが好きだ。これまでもずっと好きだった。
     小さいころ、テレビの向こうで歌って踊る彼らを見て虜になった。
     子どものおれは歌番組に登場するアイドルたちを見境なく満遍なくチェックして、ノートにびっしりそれぞれの好きなところ、良いところ、プロフィールや歌詞などを書き溜めていった。
     小学校のクラスメイトは皆、カードゲームやシールを集めて、プリントの裏にモンスターの絵を描いて喜んでいたけれど、同じようにおれは、ノートを自作の「アイドル図鑑」にしていた。
     中学生になると好みやこだわりが出てきて、好きなアイドルグループや推しができるようになった。
     高校生になってアルバイトが出来るようになると、アイドルのグッズやアルバム、ライブの円盤を購入できるようになった。アイドルのことを知るたび、お金で買えるものが増えるたび、実際に彼らをこの目で見たいと思うようになった。ライブの現場に行ってサイリウムを振りたい、そう思うようになった。
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