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    hjm_shiro

    @hjm_shiro

    ジャンル/CP雑多

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    hjm_shiro

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    凪玲/公共の場ではお静かに
    ⚠プロ/代表入り

    バスの後部座席に陣取っていた凪と玲王の隣に遅れてやってきた潔が座る羽目になる話。巻き込まれ。潔視点。

    その後、吹っ切れた二人はずーっとイチャイチャしてましたとさ。

    #なぎれお
    lookingHoarse
    #凪玲
    #ngro

     最悪だ。よりにもよって、バスの後部座席しか空いていない。
     これが一人だったらルンルン気分で三人掛けのシートに座ったかもしれないが、既に先客がいる。それも凪と玲王が。

    「…………」
    「…………」

     凪の横に座る。その奥の窓側には玲王がいた。いつもの二人なら三人掛けのシートなんて選ばない。だから、何らかの理由でバスに乗り込むのが遅れたのだろう。だとしても最悪だった。凪からの視線が痛い。

    「な、なんでしょう……」
    「別に」

     ついつい敬語になる。髪を毟られた恐怖からか、頭頂部の毛がぞわぞわと逆立った。小さく体を丸めながら荷物を足元に置く。

    『全員、揃いましたね? それでは出発します』

     アナウンスが流れる。やがて俺たち、日本代表選手を乗せたバスが走り出した。すぐに見慣れた風景が遠ざかっていく。

     今、俺たちが乗っているバスの行き先は国内にあるキャンプ地だ。俺たちは再来年に行われるワールドカップに向けて、強化練習を行うことになっている。年間を通して国内チームとの強化試合や合宿などが組まれており、そのほとんどがバスでの移動になってた。
     ちなみに、バスには座席表などはなく、基本的に早いもの勝ちである。だから、早く集合場所に来た人から好きな席に座ることができる。
     だけど、今日は一番最後だった。おまけに凪と玲王がいる後部座席。地獄だ。

    「れおー、喉乾いた」
    「はいはい。もー、自分で蓋開けろよな」
    「無理、めんどくさーい」
    「ったく、俺と離れたらどうすんだよ」
    「大丈夫、離れないから」

     ……始まった。これだから嫌なのだ。
     過去に俺と同じように凪・玲王コンビと共に後部座席に座る羽目になった奴が、げっそりした顔で言っていた。数時間、地獄のような時間を過ごしたと。

    「凪、クッキーも食べるか?」
    「うん」
    「これさー、数種の栄養成分を練り込んだクッキーで、うちで開発したやつなんだよ」
    「へぇー」
    「お前でも食べやすいように一口サイズにした! あとほろほろに崩れるようにもした」
    「いいね」

     あーん、と凪が口を開ける。もはやバカップルたちを見ているみたいだ。凪が玲王に食べさせて貰ってご満悦みたいな顔をしている。しかも、最後にちょっと玲王の指を舐めやがった。

    「……羨ましい?」
    「羨ましくねーよ!!」

     くるりとこっちを向いて言う凪に、思わず握り拳が出そうになる。
     玲王も玲王で、俺なんてまるでいないかのように、凪の口にクッキーを入れたり、水を差し出したり、世話を焼いてた。

    「ありがと、レオ。もうお腹いっぱい」
    「本当かよ? 朝、ほとんど食ってなかったじゃん」
    「時間なかったからね」
    「それはお前が……!」
    「俺が、なに?」
    「いや、何でもねぇ……」

     玲王の耳がポッと赤くなる。絶対なんかあったやつだな、と思ったけど、すぐに脳内で打ち消した。凪が寝坊した可能性もあるわけだし。変な妄想はよくない。

    「レオ、寝てもいい?」
    「おう、いいぞ」
    「肩貸して。あと手も握って」
    「お前なぁ、さすがに手を握るって……隣に潔もいんのに」
    「関係ないよ。ね、お願い。レオに手を握られながらじゃないと眠れない」

     恐らく、凪が玲王にキュルンとした目を向けている、はず。俺は常に漆黒にしか見えないのだが、時々玲王が言うのだ。凪ってたまに目をキュルンってさせて甘えてくるんだよなーと。一度だってそんな風に見えたことはないけど。

    「ぶりっ子しやがって……」
    「あぁ?」

     小さく呟いたら隣からドスの効いた声が聞こえてきた。向けられる目は漆黒だ。ほら、キュルンとなんてしていない。射殺さんばかりの目だ。
     これにはちょっと意趣返ししてやりたくなった。

    「お前さ、この前、レオがいないとき千切と座ってたじゃん。そのとき速攻で腕組んで爆睡してただろ」
    「は? 変なこと言わないでくれる? レオ……そんなことないからね、俺、本当に……」
    「プハッ、そんな取り繕わなくてもいいって!」
    「取り繕ってなんか……」
    「知ってるから! それにお前、俺と手を繋がなくても寝てるときあるじゃん。この前も先にベッドで寝てたし」
    「そうだったっけ?」
    「そーそー。それに寝てたら手、外れるだろ」
    「それもそうだね」

     凪がこてんと玲王の肩に頭を預ける。膝の上できゅっと手を握り合っていた。しかも恋人繋ぎ。
     コイツ等が同居していることは知ってる。だけど、先にベッドで寝てたとか、寝てたら手が外れるとか、そういうのは同じ寝室でないと分からないことだ。
     もしかして……と嫌な想像に駆られる。

    「おやすみ、レオ」
    「おう」

     凪が甘えるように玲王の肩にすりすりと頭を押し付ける。玲王も玲王で凪の頭を撫でた。
     そのときちょっとだけ見えてしまった。首元にある虫刺されのような痕を。
     コイツ等が遅れたのって、もしかして。いや、でも。

    「なぁ、凪」
    「なに……? もう寝たいんだけど」

     目を瞑ったまま凪が言う。相変わらず玲王にはべったりで、玲王がいるときは周りの人間なんていませんってぐらい塩対応だな、と思いつつも俺は口を開いた。

    「お前らが遅れて来た理由ってさ、その……お楽しみ……的な……なんちゃって」

     ただのからかい半分、好奇心半分だった。この嫌な想像を笑い飛ばして欲しかった。のに。

    「なっ、あっ、え……」

     ビクッと肩を跳ね上げたかと思えば真っ赤な顔で玲王の方が過剰に反応するから、俺はため息をつくことしかできなかった。
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    Replies from the creator

    hjm_shiro

    DOODLE凪玲/【最新】nagi_0506.docx
    ⚠監獄内の設定を少しいじってる

    凪に好きなものを与えて、うまくコントロールしているつもりの玲王と、いやいやそうではないでしょ、って思ってる周りの人たちが思わずツッコんじゃう話。
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    「たまにレオってすげぇなって思うわ」

     千切がぽつりと呟く。千切は本場よろしく油でベチャベチャになった魚――ではなく、さっくりと揚がったフィッシュフライをフォークに突き刺すと美味そうに頬張った。玲王としては特に褒められることをしたつもりはないのだが、ひとまず適当に話を合わせて、そう? と軽く相槌を打つ。

     新英雄大戦がはじまってから、選手たちは各国の棟に振り分けられている。それぞれ微妙に文化が異なり、その違いが色濃く出るのが食堂のメニューだった。基本的には毎日三食、徹底管理された食事が出てくるのだが、それとは別に各国の代表料理も選べるようになっていて、それを目当てに選手たちが棟の間を移動しに来ることもあるほどである。今日はフィッシュ&チップスと……あとはなんだったかな、と思い出しつつ、玲王はナイフでステーキを細かく切った。そうして隣にいる凪の口にフォークを突っ込む。もう一切れ、凪にやろうとフォークにステーキを突き刺したときだった。千切の隣に見知った顔ぶれが座った。
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