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    hisoku

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    # sgo1000文字
    第13回のお題「来週の予定を聞く」をお借りして書き納めを、尾語り

    #杉尾
    sugio
    #現パロ
    parodyingTheReality
    #sgo1000文字
    sgo1000Characters

    来週なんて来週だけど。

     ふいにそう杉元に訊かれた。が、来週と聞くと、ついその週の労働についての方を、抱えている案件の進捗の方を思い浮かべてしまう。スーツを着ている時に訊かれれば尚更だ。それでうっかり顔を曇らせてしまったのだが、杉元はきっとなんでそんな嫌そうにするんだよと思っただろうと思う。顔を見て、違うんだ、という気持ちでついた溜め息を聞いて杉元が今度は萎縮して、何でもない、と云い止してしまい、俺も何を訊こうとされていたのか訊くに訊けなくなってしまった。短い沈黙が流れ、お疲れ、と言い合って解散をした。来週、末のことだろうか。来週は第四週だ。
     歩きながら足元を見下ろして、落ちていた小石を白線を越えないよう遠くまで蹴ることが出来たなら、次はちゃんと受け答えが出来る、と願を掛けて蹴り、歩いて追い付いた小石が白線の上にあるのを見て、線上を内側に含むか含まないかまでは決めていなかったと目を閉じた。



    あっ、なあ、尾形っ。

     二日後、杉元が帰宅途中に追い掛けてきて、少し離れたところからそう声を掛けられて立ち止まって振り返る。マスクの上にマフラーを巻いていて苦しかったのか、はあ、はあ、と肩で息をしていて、俺を探し探しここまで走ってきたのだろう。マスクを外し呼吸を整えようと大きく息をする。

    あのさぁ、来週なんだけどっ。

    杉元お前さあ、なんでそういう云い方をするんだ?

     自分でも思ってないくらいの声の大きさでそう訊いてしまい、引き返せなくなった。

    なんでそういう言い方って、だって来週末はクリスマスだから。

    だから?

    だから来週一緒に過ごせないか。

    それなら来週なんて云い方をせずにクリスマスをって云えばいいだろ。

    え、あ、うん、クリスマス一緒に、

     はぁ、と杉元が喋っている途中で溜め息をついて、また黙らせてしまう。

    クリスマスか、一緒に過ごしてやってもいい、来週末だろ。というか、そういう特別な日じゃなきゃ駄目なのか。そもそも週末じゃなきゃ駄目なのか。平日は、普通の日は、例えば今夜は、今日、今からじゃ駄目なのか。明日死んだら、どうしてくれる。

     捲し立てるように言ってしまい嫌になる。さすがに伝わっただろう。

    俺は死ぬ気ねえけど、お前も俺が死なせねえけど、今から毎日でも良いの?

     そう訊かれて今度は口を噤んでしまう。

    良いんだな? 

     詰め寄ってきた杉元の顔を悪足掻きのようにひと睨みして目を閉じる。マスクを丁寧に剥ぎ取られて、後はもう御想像のとおりだ。
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    Replies from the creator

    hisoku

    DOODLE過去作
    湯沸室で杉と尾がお茶を飲む話です
    前世記憶あり現パロ
    尾語り
    湯沸室 喫煙をする習慣はないので、就業中の休憩といえば緑茶だ。あるいは珈琲。それと少しの甘いものかしょっぱいものを一口頬張るのが日課で、デスクワークに根が詰まり、肩も凝りそうだったので仕事の効率が落ちる前に気分を変えようとひとり湯沸室に向かった。買い置きのドリップコーヒーを淹れるために湯を沸かそうと薬缶のことを思い、買い置きのミネラルウォーターはまだ残っていたっけと思い起こしながら廊下を行く。
     スタッフルームのあるフロアの一角、廊下奥の角の階段と廊下を挟んだ少し離れた斜向かいにトイレが、その対角線上の奥まった場所にひっそり湯沸室はあった。そこは小会議室の並びでコの字に壁と壁と窓に挟まれた造りになっていて、二畳半程の広さがあり、冷蔵庫と棚、その棚の上に電子レンジ、隣に小さな流し台があった。流し台にはガス台が二口と壁にガス給湯器が備えつけてある。どうってことはない必要最低限が備え付けられている極普通の湯沸室だが、流し台が木目調の引き出しのついた懐かしい感じのする流し台で、ばあちゃん家の台所を彷彿とさせて、そこを緑茶を飲みながら眺めているだけでも癒しを覚えた。面積の狭さも落ち着く。
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    hisoku

    DOODLE作る料理がだいたい煮物系の尾形の話です。まだまだ序盤です。
    筑前煮 夜の台所はひんやりとする。ひんやりどころではないか。すうっと裸足の足の裏から初冬の寒さが身体の中に入り込んできて、ぬくもりと入れ換わるように足下から冷えていくのが解る。寒い。そう思った瞬間ぶわりと背中から腿に向かって鳥肌も立った。首も竦める。床のぎしぎしと小さく軋む音も心なしか寒そうに響く。
     賃貸借契約を結ぶにあたって暮らしたい部屋の条件の一つに、台所に据え付けの三口ガス焜炉があるということがどうしても譲れず、その結果、築年数の古い建物となり、部屋も二部屋あるうちの一部屋は畳敷きになった。少し昔の核家族向けを意識して作られた物件らしく、西南西向きでベランダと掃き出し窓があり、日中は明るいが、夏場には西日が入ってくる。奥の和室の方を寝室にしたので、ゆったりとしたベッドでの就寝も諦め、ちまちまと毎日布団を上げ下げして寝ている。また、リフォームはされているが、気密性もま新しい物件と比べるとやはり劣っていて、好くも悪くも部屋の中にいて季節の移ろいを感じることが出来た。ああ、嫌だ、冬が来た。寒いのは苦手だ。次の休日に部屋を冬仕様をしねえとと思う。炬燵を出すにはまだ早いか。洋間のリビングの敷物は冬物に替えとくか。気になるところは多々あれど住めば都とはいったもので、気に入って暮らしてはいて、越してきてもう三年目の冬になった。
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