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    hisoku

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    おーるすたーを履くsgoの話
    色のない寫眞のふたりです
    杉語り
    拙い過去作ですが良ければ

    #杉尾
    sugio
    #現パロ
    parodyingTheReality

    晴れたみ空に靴が鳴る 昼前になってしまったが、そろそろシーツを洗おうとベッドマットから剥がして、ふとちいさな擦れたような血痕がついているのに気が付いた。俺じゃない。自分の身体を見下ろしてそう思う。だとしたらもう尾形しかいない。位置からして足か。
     首を傾げながら昨日の尾形を思い出してみる。思い出す。それで真っ先に思い出されたのは昨日のセックスが無茶苦茶好かったということだ。気持ち好かった。いやいやと頭を振りながらも正常位ではしがみついてきて、寝バックに変えると必死で手を繋ごうとしてきたり、俺が好きだと言う度に締め付けてきたし、最後はつれていってくれ、と切なげに云われて、身体もいとおしさも一気に爆ぜた。ゴムをつけていても尾形の中に注いでいることを感じて恍惚とした。思わず自分のちんぽを注視する。もう何度目か解らないくらい重ねてきたセックスだったが、昨日のが今までで一番好かったと思う。重ねる度にそう思う。早くも次にするセックスが待ち遠しい。
     しゅるしゅるとシーツを剥がしきって、血のついている箇所を摘みあげ、尻からも血は出ていなかった筈だと事後に自分がティッシュで陰部を拭いてやったことを思い出し、一体どこを怪我をしていたんだろう、気付いてやれなくて悪かったな、と暫くその血痕を見つめていた。
     どこが痛かったのか、そこを優しく撫でてやりたい。尾形は優しくて我慢をする。また今週の金曜日もここに来て欲しいと誘っておこうかと思い立った。背中が粟立って寂しい。もう逢いたい。長い間付き合っているのに未だになんでこんなにも逢いたくなるのか解らない。
     予約が入っているからと朝早くに帰っていった時の尾形の後ろ姿を思い出して、昨日したセックスを思い出して、昨日したカメラデートを思い出してうずくまる。久し振りに二人でお互いの写真を撮り合って幸せだった。
     時計を見て予約の仕事は終わったくらいか、と電話をかけることにした。五コール目で通じた。

    もしもし。

     店のカウンターに立っている時の声色で尾形が電話に出る。

    今、お客さんいないか、話して大丈夫か?

    ああ、構わない。どうした?

    いや、お前、どこか怪我しているのかと思って。

    どうして解った。

    シーツに血がついてたから。

    それは汚してすまなかった。

    俺、昨日も、夢中で。引っ掻いたりしてしまっていたかなって。

    いや、そんなことはしていない。大丈夫だ、先生は優しかった、気にしなくていい。

    何の血?

    靴擦れ。

    靴擦れ?

    先生と同じ靴にしただろ。色違いのオールスターに。それが俺の足には合わなかっただけだ。それで踵の上の皮が捲れてしまって。絆創膏を貼っていたんだが、シャワーを浴びたら剥がれてしまった。ヤっている時にシーツを突っぱねたりして血がついてしまったんだろうな、悪い。

    痛かったのなら、無理をして履かなくて良かったのに。

    履きたかったんだ。俺の柄でもないのは解っていても、先生と同じ靴を履いて、デートしたら幸せだろうなと思って。指輪と同じ効果があるかなと。ちょっと痛かったけど悪くなかった。同じ靴を履いて同じ道を歩いて、時々少しだけ手も繋いで、ずっと先生とこうやって歩いていきてえなと思ったりして気分は好かった。

    でも痛かったら云えよ。

    次からそうする。先生も痛かったか。

    何が。

    昔。

    お前がどういう意味でそれを訊いてくれているのか解らないけど、痛かった。でも今は痛くないよ。お前が優しいから。

    そうか。

    靴、無理して履き続けるなよ。

    うん。今度、靴擦れしたところ見せようか。先生、ここ怪我したって。

    生徒みたいにな。今度、違う靴を買いに行こうな。

    行く。連れていってくれ。

     昨夜と同じ言葉を聴いて、眼を閉じてそれを反芻する。

    先生、また金曜日に。

    次は俺がお前ん家に行っても良いか。

    待っている。

     行くからな、仕事が終わったら俺、走ってお前のところに行くから、待っていてくれよな、と言おうとして、寫眞館の入り口の扉の鈴がカランカランと鳴ったのを受話器超しに聴いて開き掛けていた口を閉じた。仕事中に悪かった、頑張れよ、もう電話切るな、と伝える言葉を変えて、ああ、と云う尾形の声を聴いてから電話を切った。
     確かに、俺もそのオールスターを履いてみようかな、と尾形が云い出して、昨日もそれを履いていた。白い足首の裏側にあるだろう靴擦れを思い浮かべる。痛々しく皮が捲れているのだろう。俺はもう尾形に痛い思いはさせたくないから次に会った時、あいつは笑うだろうが、どさくさに紛れて唇をそっと踵の傷にも落としてやろうと思う。
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    hisoku

    DOODLE過去作
    湯沸室で杉と尾がお茶を飲む話です
    前世記憶あり現パロ
    尾語り
    湯沸室 喫煙をする習慣はないので、就業中の休憩といえば緑茶だ。あるいは珈琲。それと少しの甘いものかしょっぱいものを一口頬張るのが日課で、デスクワークに根が詰まり、肩も凝りそうだったので仕事の効率が落ちる前に気分を変えようとひとり湯沸室に向かった。買い置きのドリップコーヒーを淹れるために湯を沸かそうと薬缶のことを思い、買い置きのミネラルウォーターはまだ残っていたっけと思い起こしながら廊下を行く。
     スタッフルームのあるフロアの一角、廊下奥の角の階段と廊下を挟んだ少し離れた斜向かいにトイレが、その対角線上の奥まった場所にひっそり湯沸室はあった。そこは小会議室の並びでコの字に壁と壁と窓に挟まれた造りになっていて、二畳半程の広さがあり、冷蔵庫と棚、その棚の上に電子レンジ、隣に小さな流し台があった。流し台にはガス台が二口と壁にガス給湯器が備えつけてある。どうってことはない必要最低限が備え付けられている極普通の湯沸室だが、流し台が木目調の引き出しのついた懐かしい感じのする流し台で、ばあちゃん家の台所を彷彿とさせて、そこを緑茶を飲みながら眺めているだけでも癒しを覚えた。面積の狭さも落ち着く。
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