山田家箱推しエンジョイ勢土井半助vs伝蔵過激派くのたま六年生 仰向けになって転がっている蛙の隣に◯◯はいた。生い茂る草の影でひたすら身体を小さくしていた。たらりと額から汗が伝って目に染みても、◯◯は指先一つ動かさないで、じっと息を潜めた。季節は初夏、青い草いきれで胸がいっぱいになる。
「よーし、お前たち。今度こそよぉく狙えよ?」
苦味走った壮年の男は、横並びに整列させたちまこい少年たちを前に、揶揄い混じりに的を指差した。昨日まで少し伸びていた爪は、既に深爪気味にきっちり整えられている。そういうとこ几帳面なのほんとに尊い。
じり。音に鳴るか鳴らないか、うっかり◯◯が砂利を踏み締める。それに被るように「はあい」と元気なお返事が聞こえた。一年は組のよい子たちは今日も健やか。
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