不死川実弥の好きな子観察日記(報告書)「お館様、不死川様から報告書が届きました」
「そうかい。では早速読んでくれるかな。こっちは続きが気になってしょうがないんだ」
「承知しました、では……」
『はいけいおやかたさま つもりつもったゆきもとけ、あたたかいようこうがくさきをてらし、きぎのえだにはちいさなはなのつぼみがぽつぽつとみられ、はるのおとずれをうんたらかんたら ひがしのやまにしゅつげんしたおにはけっきじゅつをうんたらかんたら とうばつかんりょういたしました』
「うんうんそれでそれで?」
「不死川様はひらがながお上手になられました」
「実弥は頑張りやさんだからね。もう少し休む事も覚えてほしいんだけど…。ところでそれで終わりではないよね。実弥には日常の事も教えてほしいと言ってあるから……」
「もちろんです。それでは、」
『せんじつまちでみずばしらをみかけました』
「キタキター!」
「お館様、落ち着いて下さい。お体に障ります」
「あ、ごめんね」
『ゆきのとけたあとのみずたまりをみつめたままにんぎょうみたいにかたまってたのでしかたなくこえをかけたら、そらにおちそうだ、とかいみふめいなことをいってました』
「義勇は相変わらずだね」
「私達も小さい頃言ってました」
「まだ小さいよ」
『はらがたったのでせなかをおしてみずたまりにおとしてやりました』
「実弥はまた義勇をいじめてるのかい、どうしたら素直になれるかな」
「逆に素直ですね」
「それな」
『めずらしくわっとかいっておどろいてました。ほんとうにそらにおちるとかおもってたみたいです。ひさしぶりにおれをみておこってました。とてもきぶんがいいです』
「私もとても気分が良いよ」
「ほわほわしますね」
『みずばしらとめがあったとき、よくみたらかれのめもそらとおなじいろをしていて、まるですいこまれそうだとおもいました。
みずたまりをみてみずばしらがいったことがなんとなくりかいできてしまいすこしくやしいです。
こんなどうでもいいことをかんがえてしまうようなきんちょうかんのなさではおにはせんめつできません。こんごもあっきめっさつにしょうじんいたします』
『きせつのかわりめゆえ、おやかたさまもごじあいください。
けいぐ しなずがわさねみ』
「本当毎回きゅんきゅんするね」
「目が合っただけですごく喜んでました。青春ですね」
「甘酸っぱいね。いつか実弥の片思いが実ると良いな」
「この調子では年号を跨ぐかも知れません」
「ふふ、そうかもね」