運命の番を奪う方法既に他のモブαと番のΩ義勇。偶に喧嘩もするけど毎日幸せで先日の義勇の誕生日にはそろそろ子供が欲しいねと指を絡ませあって話していた。
ある日義勇は職場で異動してきた不死川と出会う。産屋敷と言うデカい会社で最も優れているαの中の一人である彼はそれを鼻にかける訳でも無く真面目で優秀で人当たりが良い。
表情が乏しく誤解されがちな義勇にも良くしてくれて良いビジネス関係を築けていた。仕事も私生活も上手く行っていて順風満帆な日々を過ごしていたのに突然義勇のスマホに信じられない連絡が届いた。
恋人が何者かに殺された。
明らかな他殺、なのに手がかりが一つも無い。捜査も難航し犯人の足取りも掴めないまま悲しみにくれる毎日の中、一人で生活する事もままならず泣いてばかりいる義勇の傍で何の見返りも望まずに支えてくれて居たのは不死川だった。
強制的な番の解除で精神的に不安定な義勇は、罪悪感に苛まれながらも次第に強いαの不死川に惹かれるようになる。
それから何年経ったのか、未だに犯人へ結びつく手掛かりは無く解決の目処も立たない為捜査の規模は縮小された。
義勇は元番の死を受け入れてから毎年墓参りを欠かした事がない。墓前で手を合わせる時、義勇は必ず涙を流す。彼の無念を思って、それに応えられない自分の不甲斐無さに、無意識に涙が頬を伝うのだ。
そんな義勇を心配してか、不死川は無理に墓参りをする必要は無いと言う。義勇が泣くのを、彼は望んで居ないと。
それでも義勇は墓地へ続く階段を登る。慎重に歩く体には小さな命が宿っていて、母体に寄り添う不死川は愛しい愛しいと幸せな顔で笑いその腹を撫でた。