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    tp0_g4

    @tp0_g4

    よんきしの絵とか文の落書き&練習置き場
    ※カプはランジクとヴェパシのみ

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    ランジク

    12/5:こたつ 比較的依頼の少ないとある冬の日、グランサイファーの一室に置かれている変わった形の暖房器具を、ランスロットはこの日初めて使用していた。
    「(なるほど、これは確かに便利だな)」
     局所的空間に集まった熱は足を通ってじわりと身体全体を温め、その感覚が何とも心地いい。普段は利用者が多く、なかなか使う機会のなかった器具を前にして、ランスロットは好奇心の赴くままに触れてみる。
    「(熱源は一体何を……)」
     器具に掛かっている厚い布をめくろうとすると、不意に、甘えた少女の声に引き留められた。
    「こらぁランスロットさんっ☆隣に女の子がいるのに、おこたの中を見ようとするのはよくないぞっ☆」
     す、すまないと慌てて顔を上げると、いつの間にかランスロットのいるスペースの隣に、金色の髪の少女が座っていた。
    「次は気をつけてね☆まぁ、気持ちはわからなくもないけどな」
    仕組みがそんなに気になるなら、後で作った奴捕まえて聞いてみな、と言いながら、カリオストロはおこたの上に置いてある蜜柑をひとつ取ると手際よく皮を剥き始める。
     気配なく突然現れた存在に驚きながらも、ランスロットは暖房器具の製作者がここの団員だと知り、改めてグランの騎空団に揃う人材の豊富さを痛感した。
    「フェードラッヘにも普及できれば国の民が冬を越すのに役立ちそうだと思ったんだが、この技術を広めるのは少し難しいかもな……それに」
    「それに?」
     もぐもぐと口を動かしながら、カリオストロは何となくランスロットの話を聞き続ける。
    「これが身近にあれば、居心地が良過ぎて出られなくなりそうだ」
    「一国の騎士団長様が、そんな真剣な顔で言うことかよ」
    呆れたような声色で言い放つと、カリオストロは残っていたみかんをニ房纏めて口に放り込む。 それと同時に、扉を軽く叩く音が聞こえたのでランスロットが声を掛けると、失礼する、という一言と共にジークフリートが現れた。
    「ジークフリートさん、どうされたんですか?」
     ランスロットが背筋を伸ばして尋ねると、ジークフリートは丁度よかったと、2人に話を切り出した。
    「子供達から雪合戦に誘われてな。人を集めている所だったんだが、よかったらお前達も来ないか?」
     ジークフリートが全てを言い終わるのとほぼ同時に、はい!是非!と元気に飛び出すランスロット。そんな彼とは対照的に、カリオストロはオレ様はパス、と言って2人が部屋を離れるのを見送った。

     1人になった部屋で、民はともかく、アイツ自身には暖房器具とか必要なさそうだなとひとりごちると、カリオストロは剥き終わった2個目の蜜柑の一房を口に運ぶ。
     口の中に広がった果汁は、最初に食べたものよりも随分と甘ったるい味がした。
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