Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    ゆゆしきゆく

    @yysk_daimondai

    節操がねぇ
    〜ようこそ変態の森へ〜

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 17

    ゆゆしきゆく

    ☆quiet follow

    ヴェ→パシ
    ヴェがパーへの恋心を自覚する回
    笑顔が見たかった理由
    記念すべき初小説はヴェパシになりました

    #ヴェパシ
    vipassi

    ヴェ→パシ俺のパーさんへの第一印象はそんなに良くなかった
    黒竜騎士団時代から知ってはいたけど、そこから数年経ってある事件をきっかけに再会した当初もその印象は変わらなかった
    赤くて強いけどおっかない奴
    でも、フェードラッヘやウェールズでの一件を得て、共に過ごしていくうちにその認識は変わった
    まぁ赤くて強いけどおっかないのは前提としてそれはあくまでも建前だ
    本当のパーシヴァルは人のことよく見てるし、なんだかんだで断れないお人好し、でも挨拶がわりに皮肉垂れちゃうような絵に描いたようなツンデレ
    そう思ったら、なんかちょっと可愛いよな
    でも、どうしたことか俺はパーさんといたら喧嘩ばっかりしてしまう
    それは非常に不本意だ
    「仲良くしたい…
    そう…思ってんだけどな〜」
    今日もまたパーシヴァルと舌戦を繰り返してランスロットに嗜められた
    そしたらパーシヴァルがそっぽを向くもんだからなんだか無性に腹が立って俺もそっぽを向いた
    その後パーシヴァルはこっちを一回も向くことなくどこかに行ってしまったし、ランスロットもグランに呼ばれて行ってしまったから、ひとりぼっちになった俺は自室に戻って項垂れていたのだ
    「なんでこう上手くいかないんだろ
    俺、人と仲良くするの割と得意なはずなんだけどなー」
    ランちゃんみたいに人を率いることは得意ではないけど、知らない人とも難なく話せるし、部下たちからも相談を受けたりするし、それなりに慕ってもらってると思う
    だから、人付き合いは苦手な方じゃないはずなのに、パーシヴァル相手だとどうにも上手くいかない

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    向こうのほうでグランとルリアとパーシヴァルが何やら楽しそうに話している
    「あ」
    思わず声が出た
    パーシヴァルが笑っていたからだ
    なんだ、ちゃんと笑えんじゃん
    笑えないのかと思ってたけど、違うんだな
    だって俺の前ではあの形のいい眉はいつも顰められていたから
    そのうちシワになんねーかなって余計な心配をしていたけど、あの様子を見るにどうやら俺にだけそんな顔をするらしい
    そーかよ、そんなに俺の前で笑いたくないかよ
    そう思ったらなんだかちょっと寂しくなった
    「……??」
    胸の中にモヤっとした黒いものがある気がして手で押さえたけど、その意味に俺はまだ気づくことはない

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    「今回2人を呼んだのは依頼をお願いしたいからなんだけど…いい?」
    ある日俺とパーシヴァルはグランに呼ばれた
    グランの言葉を聞いた後チラリと横目でパーシヴァルを見てみるとやっぱり眉は顰められていて、あぁ俺と2人で依頼をこなすのは嫌なんだなーって思った
    「こいつと…2人でか?」
    「うん、パーシヴァルとヴェインの2人にお願いしたいんだ」
    「…構わん」
    「え」
    予想外の言葉に俺は驚いて思わず声が出た
    「なんだ、お前は不服か」
    「い、いやいや俺はパーさんがいいならいいぜ
    それで、何の依頼だ?」
    「ありがとう、2人とも
    依頼内容は近くの村に出る魔物の討伐で…____」
    グランから依頼の内容を聞いた後、パーシヴァルと共にグランの部屋を出た俺は口を開いた
    「…あのさぁ、別に無理することないぜ?」
    「何の話だ」
    「俺といるの、嫌なんだろ?」
    「何?」
    ぎゅぎゅっとパーシヴァルの眉が顰められる
    あーあ、シワになってもしらねぇからな
    「だって顔に書いてんじゃん
    俺と2人は嫌だって」
    パーシヴァルの口は硬く結ばれたまま俺の言葉を黙って聞いていた
    「気づいてねぇの?
    パーさん、俺のいる時ずーっと眉顰めてるぜ
    だからさ、グランには悪いけどさっきの依頼なら他の人探すからさ
    それが嫌だったら俺が抜けるから俺の代わりに誰か…」
    はぁ…とパーシヴァルが特大のため息をつく
    「…お前が嫌なわけではない
    この顔は生まれつきだ
    だが…誤解を与えていたのならすまなかった」 
    その言葉に俺はぽかんとする
    パーシヴァルが謝った…今のは聞き間違いか?
    もしかして、パーさんって俺のことそんな嫌いじゃなかったりする?
    「何だその間抜け面は」
    「え…いや…パーさんも謝るんだって思って…」
    パーシヴァルの眉がこれ以上ないってくらい顰められたのを見て、やっちまったと思ったがもう遅い
    「このっ…駄犬が!!
    人が真摯に対応しているというのに何だその言い草は!!」
    ゴォとパーシヴァルの周りに熱気が立ち込める
    「あーっ!!ごめん!!ごめんって
    ちょ…燃やさないでアツッ!!
    パーシヴァル様すみませんでした〜っ!!!!」
    パーシヴァルに燃やされかけた俺の叫び声は艇の中に響き渡った

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    「ここだな」
    パーシヴァルが持つ地図を覗き込む
    地図は俺がグランから預かったのだが、お前が地図を持つと夜が明けてもたどり着かん!とパーシヴァルにひったくられたのだ
    俺たちの目の前にはいかにもな洞窟があり、地図上の洞窟にも赤いバツで印がされている
    グランの話によると魔物の群れがこの洞窟に巣食っているらしい
    その魔物が時々村に降りてきて畑や村人に悪さをすることから困った村長がシェロカルテに依頼を出し、その依頼を俺とパーシヴァルが請け負った
    「うへ〜なんか、いかにもって感じだな〜」
    「うるさいぞ駄犬
    怖いのなら外で待つか?」
    「怖くねーし!!」
    その言葉に俺はムッとする
    これでも俺は白竜騎士団副団長だぞ
    この程度の洞窟に怖がるわけないだろ
    そう思っているとガサッと音がして目の前に侵入者を感知した魔物の大群が押し寄せてきた
    「出たな!!」
    「うひゃ〜気持ち悪りぃ…」
    魔物は思っていた倍、いや3倍はいた
    そりゃこんな群れが村に押し寄せてきたら大変だろうな
    「さっさと終わらせるぞ!!」
    「わかってるって!!」
    そして俺とパーシヴァルは左右に分かれて魔物の群れに突っ込んでいく
    数こそは多いが、そんな強くないしこれなら1人でもよかったかも…そんなことを思いながら魔物を斬り伏せる
    後一体だ…振り返ってトドメを刺そうとしたその時、目の前に赤い影が降り立った
    パーシヴァルだ
    「…お前で最後だな
    消し炭になるがいい…ローエンヴォルフ!!!」
    パーシヴァルの声と共にゴッと炎の柱が立ち上がる
    パチパチと火の粉が爆ぜる音がして魔物は炎に包まれた
    パーシヴァルの後ろに撫でつけられた赤い髪が揺らめく炎の光に照らされて、本当に燃えているみたいだ…
    あーちくしょう、カッコいいでやんの
    認めるよ、パーシヴァル
    お前は強いしカッコいいし…綺麗だ
    「——-駄犬、見過ぎだ」
    戦いの最中にボーッと突っ立ってパーシヴァルの炎を見てるもんだから、いつもみたいに皮肉が飛んでくると思った
    だのに、こちらを振り返ったパーシヴァルはそう言って笑ったのだ
    パーさんが、笑ってる?
    俺の前で…笑ってる…
    初めてパーシヴァルの笑顔が俺に向けられた、それだけでなんだか凄く嬉しくて、胸がいっぱいになって
    「嘘だろ…俺…」
    そして俺は気づいてしまった
    なんで俺は何度皮肉を浴びせられてもパーシヴァルにちょっかいをかけに行っていたのか、パーシヴァルの笑った顔が見たかったのか
    「おい…駄犬?」
    奇妙な反応をする俺に対してパーシヴァルの上がった眉が訝しげに顰められる
    「な…何もない!!
    さー、依頼も終えたしさっさと帰るかー
    今日のご飯は何かなーっと」
    それ以上パーシヴァルのことを見てたらなんだかおかしくなってしまいそうだったから
    俺はパーシヴァルに背中を向けて先に歩き出した

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    グランに依頼を終えたことを伝えると早々に俺は自室に引きこもった
    「はぁ…」
    気づかない方が良かった
    こんな気持ちなど
    っていうか普通に気持ち悪いよな〜
    今まで散々喧嘩してきた相手に、男にそんな目で見られてるなんてパーさんが知ったら…
    「…一生口聞いてもらえないよな」
    そんなのは嫌だ
    だから俺はこの気持ちに蓋をする
    誰にも気取られないように、知られないように
    これはランちゃんにも知られてはならない
    大丈夫、きっと上手くやれる
    いつも通り振る舞えかばいいだけだから
    そうして俺はいつも通りにパーシヴァルに声をかける
    「おっはよー!パーさん!!いい天気だなー!!」

    その笑顔は何よりも眩しかった
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    🌋❤
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works