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    tp0_g4

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    よんきしの絵とか文の落書き&練習置き場
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    ヴェパシ
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    10/28:怖い夢 “ハロウィンが近づけば近付くほど悪夢を見やすくなる”
     子供の頃読んだ絵本に、そんな一節が書いてあったような気がする。この言葉が怖くて、眠くなること自体に恐怖を抱いて、親に正直に話して、一緒に寝て貰ったこともあった。悪夢を見た記憶が少ないのは、大切な家族が傍にいてくれたからだったんだと思う。
     ある日の夜。いつもの日常から、一人消えてしまう夢を見た。
     名前を出すと誰の話かと尋ねられ、一緒に戦った時の話をすればその場にそんな人物はいなかったと返される。初めは冗談かと笑っていても、みんなと話している内に違和感が嫌な予感に変わっていった。これは夢なんだと途中で気付けても、何故かすぐに目を覚ますことが出来なくて、皮肉な程にいつもと変わらず経過する時間が頭の中をぐちゃぐちゃにする。
     それでも諦めずに、夢であることを信じて何度も何度も“起きろ”と叫び続けて、やっと目を覚ますことができた。
     朝はまだ来ていないようで、周りは真っ暗だった。暗闇に目が慣れていくのと同時に、ゆっくりと脳が覚醒して、心臓は音が聞こえてしまいそうなくらいバクバクと動いていることを実感したり、嫌な汗が唐突に滲む不快感に襲われた。
    「夢……だったんだよな」
     言い聞かせるように声に出すと、少しだけ楽になった気がした。
    「たち悪ぃ……」
     夢は、起きたら内容のほとんどを忘れてしまうものだと聞いていたけど、今は腹が立つほど覚えている。そうして過った不安に、心がまたざわつき始めた。
    「(顔、見たいな……)」
     そんなことを思いついた瞬間、特にそれ以上深くは考えずに自室の扉を開けてしまった。引き返す機会を失って、真っ暗な廊下をただ歩いた。歩いている途中で頭が冷えるなら、それでも良かった。
     目的の部屋に到着したものの、真っ先に自分の中に現れたのは後悔だった。もし返事が無かったら、あの悪夢を思い出して勝手に悩むことになるかもしれない。でも、就寝時間はとっくの昔に過ぎてるから、既に寝てて相手が気付かないって可能性も勿論ある。そうしたら諦めて朝になってからその姿を探せばいい。今すぐ会いたいという自分の我儘には蓋をして潔く待とう。
     でももし、今声をかけたことで、起こすなと怒られたらどんなにいいか。相反する気持ちを押しのけて、大きく深呼吸して、そっと扉を叩いた後にできるだけ小さい声で呼びかけた。

    「パーさん、起きてるか?」
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