nursing dad いつもと同じ、仕事終わりの夜。いつもと同じように途中でダイナーに寄って、マクギャレット邸でスティーヴとダニーは飲んでいた。
いつものように今日の捜査についてダニーが小言を言い、スティーヴがそれに反論する。「でもそれで解決したろ」というスティーヴに「そりゃあそうだけどよ」とダニーも黙る、というのがいつもの流れだった。
だがこの日は違った。スティーヴが犯人グループを追い詰めSWATの到着を待たずして突入したことで、末端価格数千万ドルの覚醒剤が粉塵爆発をおこし、他の麻薬売買組織と繋がる重要人物も死亡してしまったのだ。
数ヶ月に渡る捜査の末にこの結末である。この件をきっかけに島の外の組織への繋がりを突き止めようとしていたFBIと、彼らに恩を売りたかったHPDは激怒し、スティーヴは知事に呼び出されて厳重注意をされたのだった。
「あのままだとあいつらに逃げられると思ったんだ」
「だぁからSWATがもうすぐ着くって言ったじゃねえか」
「その数分間が惜しかったんだ」
よほど厳しいことを言われたのか、スティーヴはめずらしくため息を連発している。普段は不遜が服を着て歩いているような相棒のその姿が面白くてしかたがないダニーは、口元に浮かぶ笑みを隠さぬまま、両手で自分の胸を寄せて言った。
「かわいそうねぇ、ベイビースティーヴちゃん。おっばいでも飲みまちゅか?」
ダニーは、スティーヴが「面白くない冗談はやめろ」だとか「そうやってすぐ子供扱いするな」だとか言ってくると予想していた。
だが、自分の胸から顔へと視線を上げても無言のままのスティーヴに(しまった、からかい過ぎたか)と思い、寄せた胸筋から両手を離そうとした瞬間、スティーヴの一言が聞こえた。
「ああ、飲む」
その言葉の意味をダニーが理解する前に、スティーヴは小柄な相棒をソファに押し倒し、着ていたシャツを首元までたくし上げた。
よりによってこの日、ダニーは粉塵爆発のためにひどく汚れた仕事着を脱ぎ捨てて本部でシャワーを浴び、Tシャツとハーフパンツに着替えていたのだ。
一瞬で露わになった白い胸の、豊かな胸毛に隠れるような慎ましやかなピンク色の乳首にスティーヴは吸い付く。
「スティーッ……なっ……」
驚くダニーは覆いかぶさるスティーヴの肩を押し戻そうとするが、重い身体はびくともしない。吸うのをやめるどころか、吸いながらも舌先で小さな乳輪をなぞるように愛撫し始めた。
「んッ……」
その刺激が背筋を駆け上り、ダニーの口から甘い声が漏れる。
「もっと吸ってやろうか」
スティーヴはそう言うと反対の桃色を舌先で嬲り始める。始めに吸った乳首は唾液に濡れたまま、スティーヴの少し荒れた指で捏ねられ、僅かな突起を摘まれる。
「ぁっ……んっ、んッ……ふ、ぁっ」
周りの皮膚より少し薄く柔らかい桃色の円は明らかに愛撫に慣れておらず、スティーヴが執拗に舐っても先端が尖るには程遠い。それなのに、熱い舌先が皮膚をぐるりと舐め、低い突起を弾くたびにダニーの身体は小刻みに跳ねる。
「ばっ……や、め……」
そう力なく呟き、なんとか首を上げて自分の胸元を覗き込んだダニーは、至近距離で自分を見上げるスティーヴと目があった。
それは獣の目だった。戦闘のときとはまた違う、ようやく手に入れた旨い獲物に齧り付く野獣の目だった。
──あ、おれ、こいつに喰われる。
ダニーの心臓が大きく脈打つと同時に、先程から緩々と立ち上がっていた身体の中心に明らかに血液が集中した。股間の昂りは当然覆いかぶさるスティーヴの腹に当たり、ねだる様にその存在を主張する。
その感触にスティーヴの喉が上下した。
実のところ、スティーヴとてほんの冗談のつもりだったのだ。明らかに自分の落ち込んだ姿を面白がってからかってくるダニーを、ちょっと驚かせたかっただけだ。
乳首を吸われたダニーがくすぐったがって笑ったり、「馬鹿!冗談もわからねえのかよ!」と焦ったりすると思ったのだ。
だが、鼻に抜けるような甘ったるい声を出して身体をよじるダニーの姿に、まだ見たことのないダニーをもっと見たいと瞬間的に思ってしまった。
胸の飾りとしか言いようのない小さな桃色をスティーヴが舌の先や腹で擦る度に聞いたことのない吐息が搾り出され、白い指が縋るようにスティーヴの肩を掴む。全て知りたいと思っていた相棒の知らない一面に、スティーヴは夢中で胸を貪った。
そして今、押し付けていた自分の腹に硬いものが当たった。もっとダニーの乱れる姿を欲している今、スティーヴのすることは一つだった。
「ミルク飲んでいいんだよな」
唾液でべとべとの胸から唇を離したスティーヴはそれだけ言うと、ダニーのハーフパンツとアンダーパンツを一気にずり下げ、脚の間に自らの身体を滑り込ませた。
すっかり屹立したペニスがぶるん、と揺れながら晒される。先端に透明の液を滲ませたそれは、ダニーが反応するより先にスティーヴの口の中に収まった。
「えっ、あッ……ッッ」
温かく滑る感触が敏感になった亀頭を包み、刺激を始める。スティーヴの口腔内に溜まった唾液が伝い流れて潤滑剤代わりになり、大きな手が竿を扱く。
今までの彼女たちがしていたように、見せつけたり焦らしたりしてプレイを楽しむこともなく、直接的に快感を与えるだけが目的の動きだ。小さな口と舌で懸命に愛撫されることには慣れていたが、スティーヴの大きな口と厚い舌で男の悦いところを間断なく刺激され、ダニーの腰が揺らめく。
唇が雁首を弾くように上下し、舌の腹でそのくびれを撫でさする。時折鈴口に舌先をねじ込むと、ダニーの腹筋が痙攣したように震えた。
空いた手は散々しゃぶられて小さく勃ちあがった乳首を捏ね、爪先で弾く。もどかしいような緩い快感は、股間に与えられる快楽の波と混ざり、ダニーの背筋をしならせる。
「あっ……んっ、ス……ッ、はな、せ……」
スティーヴを押し戻そうとしていたはずの手は、もう今はその厚い肩を掴み、快感に耐えるよすがにしている。絶頂が近いことを察したスティーヴは、ペニスを扱く手に力を入れ、一層強く吸い上げた。
「あ、あ、あっ!イ、イく、ああああっ!」
ダニーの背筋が弓なりに反り、全身が硬直すると同時にスティーヴの口腔内に精が迸り出た。
二度、三度と残滓を吐き出すたびに無意識に腰が動き、それに合わせてスティーヴも吸う力を強める。全てが出きってようやくペニスはスティーヴの口から解放され、出された白濁はその喉を滑り落ちた。
「不味いぞ」
口に残るえぐみに顔を歪めつつ、スティーヴは横たわるダニーの隣に座る。
「なっ、おまっ……飲んだの?美味いわけねぇだろ」
肩で息をするダニーは目だけでスティーヴを見やる。その視界の中で、片脚はソファの背もたれに乗せられもう片脚はアンダーパンツが引っかかったまま座面から床に落ち、大股を開きっぱなしで半ば萎れたペニスを曝け出している自分の姿に今更ながら気付いて慌てて脚を閉じようとした。
だが、スティーヴの両手がそれを阻止する。
「今更何を恥ずかしがってるんだ」
「恥ずかしいに決まってんだろ!何でこんなことになってんだ」
「お前が煽るからだろ」
煽ってねぇ、と言おうとした声は、膝を押さえるスティーヴの指が腿の内側をほんの一インチ撫でる感触で押し込められてしまう。
「っ……あーもう、男にしゃぶられたのは初めてだ」
「俺もしゃぶるのは初めてだ」
まだ口の中の違和感が気になるらしいスティーヴはもごもごと舌を動かしながら言う。
「あー……もう、どうすんだよ」
目的語もなくダニーが呟いた問いに、スティーヴはハーフパンツ越しにもはっきりとわかる昂りをダニーの剥き出しの会陰に擦りつけて言ったのだった。
「まずはコレをどうにかしてくれよ」
おしまい。続かない。