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    さいさい

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    さいさい

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    Int…完成版の没部分

    比較はできない■ボツネタ



    「悪気があるわけじゃないと思うんだけどなあ」
    オリジナルエックスがそうぼやく。
    「ゼロはさ、エックスはボクじゃないんだから比べなきゃいいのに。エックスもエックスだ、どう考えてもゼロの言葉が足りてないんだから気にしなくていいと思うんだけどなあ」
    「ちょっと、悪いんだけれど少し静かにしてもらえないかしら?」
    モニターを注視したままシエルが釘を刺す。少し肩を落としてエックスは口を閉じた。
    サイバーエルフの行動が遮断されるエリア内ではついて行きたくても叶わない。トレーラーからモニターするシエルの横で二人の現在地を見る。目的地までの到達度は五十パーセント弱。道程半ばといったところだ。経過時間を見るに存外苦戦しているらしい。片や試作機、片や汎用機といった不安要素しかないペアの上、そのリレーションは最悪と言っていいほどであるのだからシエルが張り付いてフォローするほど気を揉むのも仕方はない。
    解除キーであるエックスは必須だが、ベースがデッドコピーでそれを改良しただけの機体にはかなり厳しい道程のはずだ。ゼロに至っては高稼働にならないようにわざわざ一部の機能を制限しているくらいで、性能面からみればどちらも似たか寄ったかのものだ。それでも行くしかない。キーが複製さえできれば、あるいは移植可能であれば、彼らを危ない目に遭わせる真似をしなくて済んだはずなのに。さもなければ、自分のボディさえあれば。幾ら考えたところで机上の空論だ。現実にはキーは複製も移植もできなかったし、自分のボディは失われて久しい。そして、そのことに関してだけは何一つ後悔していない。
    「……二人とも大事なんだ。比べるなんてできやしないよ」
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    さいさい

    PAST初出時のものです。https://www.pixiv.net/artworks/33511860(現在非公開)のキャプションとして載せた文章。RZ1前捏造
    Scapegoat(初期版)ユグドラシルへは公務の合間を縫って一度だけ踏み入ったことがある。自分の「オリジナル」がどういうレプリロイドであったのかを確かめるために。ネオ・アルカディアの最深部にあるというそれは巨大な機械仕掛けの大樹だった。驚くほど簡単に目的のレプリロイドは見つかった。大樹の根本に埋められるようにして、そいつはひっそりと目を閉じていた。自分に瓜二つであった。部品も、装甲も、造形も何もかも全てが。なんだ、こんなものか、と思った。同じ言葉を声に出して言った。「なんだ、こんなものか。」「こんなって、それはひどいな。」どこからか声がする。ネオ・アルカディアに属する者でもここはほんの一部の者しか立ち入ることは出来ないはずの場所に、誰かが潜んでいることなど有り得ない。思わず周囲を見回すと、弱々しく今にも消えそうなエルフが一体居た。「返事をしたのはキミかい」まるでそうだ、とでも言いたげにエルフが体を揺らせた。「キミがエックスだね」なんだ、このなれなれしいエルフは。思わず顔をしかめると、エルフは悪びれもなく、まだこの世界に来てから間もなくて右も左も分からないんだと、そう言ってのけた。本当に自分が話している相手がどこの誰かもわからないようだ。仕方なしに名乗りを上げた。「ボクがこのネオ・アルカディアの統治者エックスだ。失礼な言動は謹んでもらおうか。さて、エルフ。キミは何者だい。返答次第ではただでは済まさないぞ」エルフはしばらく考えていたようだったが、やがてこう言った。「ボクに名前なんかないんだ。ずっとここにいたんだもの。エックスさまが来てくれたから、これでやっとボクは外に出られるよ」体を揺らし、あまりにも無邪気にそういうものだから、拍子抜けしてしまった。もしかしたらこのエルフはオリジナル・エックスが封印された時、巻き添えを食ってしまった哀れな者なのかもしれない。それ以上相手にする気は失せてしまい、捕まえて外に出してやることにした。敵対意志を持っていないエルフの一体くらい外に放しても問題はないだろう。「ありがとう、ボクを外に出してくれて。エックスさま、大変だろうけどそんなに気負わないでね。」エルフは言うだけ言ってふっと姿を消した。全く、変なエルフだった。それからずっと後になって気づいたが、あれが本物の「エックス」だったのではないだろうか。もし仮にそうだったとしても、あの言葉は今も理解できずにいる。
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