サボエー三題噺 ドンキの地下駐車場、熱いスマホを握りしめ冷たく震える指を滑らせながら車のタイヤ回りにこびりついた雪や氷を蹴り落とす。
今はまだ16時半、商店街、公園、行きつけの食堂、大学と仕掛けたカメラを順々にめぐると廊下でともだちと談笑しているルフィを見つけ胸前で握りしめてた拳をため息と一緒におろした。
大学か、よかった…毎日ホワイトボードに行先書いといてくれっつってんのに全然聞いてくれねえ、エースもだパチンコ行くならどこのパチ屋でどの台で打つかまで言ってから外に出てほしい、束縛するようなやつにはなりたくないから言えない。
ルフィがまだ家に帰らないことに安心してスマホをしまい、車の鍵を閉め屋内に入り雑貨屋を歩き回る。
エースがルフィの入学祝いにあげたチョッパーマンのマグカップのかけらをポケットから出し、同じ絵柄のものがないか雑貨屋内をじっくり歩き回ったけど見つけられなかった。
そもそもチョッパーマンのグッズが見当たらない、なんでだあのクマだかたぬきなんだかわかんねえキャラってもしかして人気なのか?それとも人気なさすぎてもう売ってないとか?レアもの?プレゼントした箱の裏に黄色いシールついてたから絶対ドンキだと思うんだけど…引きこもってデイトレばっかしてるから全然わかんねえ。
次の雑貨屋に向かいまた隅から隅まで探したけどチョッパーマンがいない、むかつく、ネット注文じゃルフィが帰ってくるまでに間に合わないから頑張って外出てんのに!段々この間抜け面したキャラが憎らしく見えて粉々にしかけたけどルフィの顔が頭の中に浮かんでやめといた。
ブーツをばたっばたっと鳴らしながら大股で歩き回ってると遊び場コーナーがあって、そこの小さくてカラフルな椅子に腰かけてうなだれてるエースがいて急いで回れ右をし握りしめたマグカップのかけらを近くの自販機の横の空き缶入れに捨てた。
斜め向かいの手芸品売り場の大量に毛糸が積みあがったカートに身を屈めて隠れそっと頭をあげて遊び場コーナーを伺うと、やっぱりエースがうなだれてる、なんでいるんだ。
足がぷるっぷる震えてゆっくり頭を抱えてる、どうしたんだエース、今日も北斗で負けたのか?朝9時からお仕事熱心なダーリンだなあんまりかわいいことをするな周りの子供たちと親がさっきからちらっちらお前を見たり指さしたりしてるぞおれも最近エース見ると動悸がすごすぎてシコってもシコってもちんイラが止まらないんだそばかすにき、キスとかしてみたいしルフィがエースの顔ちんこでぶっ叩いてるのカメラ越しに見ちまったからしてあげたいなって思うんだけどどうかなおれら夫婦だろそろそろそういうこともしていきたいんだでもこういうはじめてはダーリンに主導握らせるのがいいってゼクシィに書いてたからおれはいつまでも待つよエース…
はーっ、はーっっと荒い息をどうにか整えながらべっちょべちょになった手をズボンに拭い髪をかきあげ、なるべくいつも通りの顔に戻してばたばた歩み寄り肩を叩こうとしたらエースが絶叫した。
「クソったれがぁっ!赤きてたろなんっ、なんでぇっ!!」
ぱっと振り返ると周りの子供や親たちが蜘蛛の子を散らすように靴を履き去っていった。
エースに向き直って両膝をつき両手をとって握ってやると顔を上げたエースは目を明後日の方へ向けため息をついた。
「ルフィには」
「言わない♡みんなに配達員って言ってるエースが実はパチンカーで毎日ストレート負けしてんのも勝手におれの金使ってんのも言わない♡どうせなら財布共有にしねえ?だっておれら」
「知ってんのかようざぁ。なんで外にいるんだよあれはどうした、あの、なんだっけ、パソコンの」
「今日はもういいんだ」
「へえ、おれも今日はもういい帰る…おまえもそれどうにかしてから帰れよ」
「ん"ぅ♡♡」
蔑んだ目で見下ろされながらガチガチのちんこをブーツで踏まれて軽くイった、コート着ててよかった、手を振り払われたけどときめきと勃起が止まらなくてもう一度強く両手を握ってやったら困った顔を真っ赤にして首を振ってる。
「帰るっつってんだ離せって!」
「はあ♡エース♡♡内緒ついでにおれの内緒も聞いてほしいんだけど」
「ったくどんだけ握力強いんだよ顔近ぇって気持ち悪ぃなっ」
「エースがルフィにあげたマグカップにちんこ擦ってたら落としちまったんだ、ふたりがいない間毎日それでシコっててさ、割れちまって困ってるから一緒に探してくれねえか」
「全然何言ってっかわかんねえ荷物まとめて出てけ変態!」
許してほしくて抱きしめてみたらびくっと体を震わせてあうあう手を上げ下げしてる、いいってことだな、やさしいエースが旦那で幸せだ。
それからたくさんエースの好きなところを言って聞かせながらドンキ内を手を繋いでばたばた歩きまわった、ショッピングデートってやつかな嬉しいはじめてだ、エースはずっと真っ赤で手を離そうとしててやっぱりときめく、奥手なエースも大好き。
パンツの中ががびがびに乾いてエースの手に痣ができるころ、全然マグカップ見つかんないねシコネタ見つかんねえからホテルいこっかと笑いかけるとエースは歯ぎしりして目を泳がせたあと、片手で顔を覆い、2階の18禁コーナーの横とつぶやいた。