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    Aoo___ticanuma

    @Omu___ticanuma

    成人済
    ティカに狂っております

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    Aoo___ticanuma

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    歩哲 🎄 🍋side

    「だあーー、疲れたー」
    やっと残業が終わった。疲労がどっと押し寄せる。
    「京極さん、シャツの襟立ってますよ。直すのでちょっとそのままでいてください」
    この声は歩だな。歩はいつも気が利く部下だ。
    「わりぃ、サンキュ…ぎゃああああああ」
    お言葉に甘えてそのまま机に伏せていると、突然首に氷のような冷たさが襲いかかった。
    「なっ、急に何ですか」
    何ですかじゃねーよびっくりしすぎて心臓止まりかけたっつーの
    「お前の手、冷たすぎんだよ殺す気か」
    「あっ、すみません。僕冷え性なんですよ」
    冷静になるの早すぎだろ、この陰キャ眼鏡野郎……冷え性の歩をこのまま放っておくわけにはいかねえ。そういえば、ポケットにカイロを入れていたか。
    「くぅーーー、これやるよ」
    持っていたカイロを渡すと、歩は微妙な反応をした。朝から使ってるから少し温いのは申し訳ないが我慢してくれ。
    「にしてもよぉー、今日はクリスマスイブだぜリア充達がキャッキャしてる中、なんで俺たちは残業なんだーーー」
    「しょうがないじゃないですか、僕達警察ですし。まあ、明日は18時に終わる予定ですけど」
    えっ、歩も明日早く終わるのか。…数日前、駅で『大切な人と幸せな一時を』と書かれたイルミネーションの広告を見つけた。自分にとって大切な人−−−−−歩がふと、頭に浮かんだ。…歩と二人でイルミネーションを見てみたい。今歩をイルミネーションに誘ったら、一緒に来てくれるだろうか。歩が人混みをあまり好まないのは知っている。だがダメ元で誘ってみよう。
    「歩、明日仕事終わってから空いてるか?」
    「…空いてますけど」
    「じゃあ一緒にイルミネーション見に行かね一回行ってみたかったんだよ」
    歩は一瞬渋い顔をした。やはり、いつもの居酒屋の方が良いか。諦めかけた時、歩が口を開いた。
    「…いいですよ」
    …まじか、お前まじで一緒に行ってくれるのか。嬉しさで思わず頬が緩みそうになるのを必死に耐える。
    「よっしゃああこれで明日の仕事も頑張れるぞ」



     約束の日の昼、俺は30分の休憩時間中に職場を抜け出して小洒落た店に来た。昨日の夜に、手が完全に冷えていた歩のことを思い出し、クリスマスプレゼントとして手袋を渡そうと決めていた。歩に一番似合いそうなものを選び、「プレゼント用で」と頼むと、店員は彼女に渡す物と勘違いしたのか、とても可愛くラッピングしてくれた。陰キャの歩に渡すのには派手だなと思いつつ、歩がどんな反応をするのかワクワクした。



     集合時刻の30分前に来てしまった。張り切り過ぎたか。待っている間に一番良いルートを頭に入れておこうと思い、スマホで調べる。15分後、俺に気づいた歩は小走りでやってきた。
    「すみません、待たせてしまって」
    「いーんだいーんだ俺が楽しみすぎて早く来ちまっただけだから」
    今プレゼントを渡しても荷物になるだけだろう。なるべく歩に見えないように紙袋を背中に隠すと、鋭い歩はそれに気づいた顔をした。
    「何ですか、それ」
    歩はいかにも怪しいといった顔つきで俺の左手を見る。
    「ああ、これか気にすんな」
    気のせいか、歩は不愉快そうにムッとした。何かまずいことでも言ってしまったのだろうか。
    「うおーーい歩、難しい顔してるぞ。どうかしたか」
    恐る恐る問いかけると歩はもの言いたげな目を向けてくる。我慢しなくていいのに…
    「何でもないですよ…行きましょう」
    「おう」
    そうして、俺と歩は目的地へと向かった。

     イルミネーションは写真で見たものより何倍も綺麗だった。幻想的な輝きに何度も心を奪われた。歩も楽しんでくれているだろうか。視線を歩に移そうとしたが、歩から何やら熱い視線を送られているような気がして止めた。自意識過剰かもしれないが、今目が合うと少し気まずい。俺は目の前の景色を存分に楽しむことを決めた、

     そろそろ周りが帰り始める時間になった。俺と歩も、最寄り駅へ向かい始める。
    「イルミネーション綺麗だったな、歩」
    「はい、とても綺麗でした」
    良かった、歩も楽しんでくれていたようだ。俺はホッとした。よし、プレゼントを渡すタイミングは今だ。
    「今日は付き合ってくれてありがとな」
    邪魔にならないように人通りの少ない道で立ち止まる。
    「歩、これやるよ」
    「えっ、僕に」
    プレゼントを渡すと、歩は思考が停止したように固まった。あれ思っていた反応と違うぞ
    「いらねーのか上司からのクリスマスプレゼントだ」
    そう言うと歩は困惑した表情のまま袋の中をそっと覗いた。
    「お前指先つめてーだろ。これで温めとけ」
    歩は一瞬嬉しそうな顔をし、安堵の息を吐いた。
    「ありがとうございます…てっきり彼女に渡すものだと思ってました」
    へっ彼女…まさか、歩はずっとそのことを考えていたのか。待ち合わせの時に曇った顔をしていた理由がやっと分かった。ありもしないことで悩んでいただなんて…俺は思わず吹き出してしまった。
    「なっ、なんですか」
    「んなわけねーだろ彼女なんかいねえよ……でも寂しくねえぜ、クリスマスもこうやって一緒にいてくれる歩がいるからな」
    彼女をつくるよりも、歩と一緒にいるほうが楽しい。そんなこと、恥ずかしくて言えないけれど。
    「来年も一緒に来ようぜ、歩」
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