したたかな茨木童子~大江山~
「友よ!いい酒が手に入ったぞ!合う肉も持ってきたぞ」
「また、お前か。俺は暇じゃねぇよ」
「そうなのか・・・勿体ないな。捨てるしかないか」(シュン)
「おい待て・・・捨てるなら寄越せよ」
「付き合ってくれるのか?」(パアッ)
「・・・少しだけだ」
「ありがたい!」
「いいから注げよ」
「ああ!」
茨木童子はほくそ笑みした。
~晴明の庭~
「最近、紅葉が来るの増えましたね」
「ふむ、茨木童子がうまくやっているようだな。こちらとしては迷惑だが」
「ああ・・・大変ですね~。確か酒呑童子の記憶が無くなって振り回されて・・・ちょっと変態ぎみでしたが」
「ふふ、ああ見えて聡明な鬼だよ。健気に見えるが恐ろしいほど静かな狂気だ」
「ええっ?どういうことですか!?」
「こわいな」
「はぐらかさないで下さいよ!もう~」
~大江山~
友はあの戦のせいで記憶を失ってしまい私を置いて女に堕ちた。
何度も振られて、やけ酒を呑んでいるのに諦めていない。
いずれは記憶が戻ったら後悔するだろう。
女のところに行かせない。
紫で赤いのがいいと言う友はあの女ではなく私だと事を。
煉獄だった頃と昔の私だと。
また堕ちてこい。
盃の酒が揺れる。