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    bocchi_takagi

    @bocchi_takagi

    14創作と龍 文字書き

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    bocchi_takagi

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    タグのやつ勢いで書いた
    あらすじ:都知事を送る運転手が「知事お疲れ様です。また明日よろしくお願いします」という言葉に一人の男のことを思い出す若の話(若イチ)

    さよなら、さよなら、また明日。閑静な住宅街を国産車が静かに走り抜ける。もちろん法定速度は守った上でだ。車の外はもうとっくに日が沈み、広がっているのは黒に近い、濃紺の空。闇を照らすように街灯と住宅街に灯る暖かな光が等間隔に並んでいる。
    車は緩やかに速度を落とし、振動を感じさせないほど勢いを殺してエントランスの真正面でピタリと横付けされた。
    「到着致しました。知事、お疲れ様でございました。また明日、七時半にお迎えにあがります」
    運転手の言葉に一瞬、遠い過去の記憶が掘り起こされる。似たようなセリフを言った男。
    「着きましたよ、若。それじゃあ、また明日」
    忘れたはずの、忘れるはずもなかった男の顔を思い浮かべ静かに頭を横に振る。ドアを開けても下りない都知事に何か粗相をやらかしてしまったと焦る運転手が堪らず声をかける。
    「どうかなさいましたか?」
    「いや、なんでもない。ご苦労」
    運転手は深く頭を下げた。顔は見えなかったが、思い出した顔とは似ても似つかない。と言っても思い浮かべた男の顔は何年も、それどころか十数年見ていないから、似ていないかすら曖昧だ。
    エントランスを潜り、都知事である青木遼はようやく心休まる自分だけの時間を過ごすのだった。だが、思いがけず浮かんだ顔のせいで落ち着かない。よりによって、である。書きかけの文字を紙ごとぐしゃりと丸め投げ捨てた。
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    bocchi_takagi

    MOURNINGnotすけべでエロい趙さん書こうと思ったんだけど難しくて頓挫した。
    すけべじゃないエロチャレンジ 誰が言ったかはもう過去のことで、大事なことは目の前にある事実だけである。横浜流氓の元総帥、趙天佑は女から見ても、男から見ても大変色気のある男だ。異人町にある中華マフィアの総帥ともなれば、おいそれと近づくことはできず、一般市民であれば闇を煮詰めたような世界と関わることすらしない。ただ偶然が重なり、彼のそばに近づいた者は口々に言うのだ、彼からとても「良い匂い」がする、と。
     一口に匂いと言っても、鼻を掠めるような香水であったり、風呂上がりの優しい石鹸の香りであったり様々だが、人々が口にするのはそれらであって、そのいずれでもない。見えないはずの匂いが時に色となって現れる。
     それを助長させているのは恐らく、彼特有の話し方が一端を担っている。気だるそうに間延びした言い回し。それでいて放たれる言葉は刃の様に鋭く、音となり首元に突き刺してくる。懐に入り込まれそうな懐っこさを見せたかと思えば、地鳴りを起こしそうなほどの低いではないのにドスの聞いた圧のある響き。彼自身、総帥という立場に対して自信なんてものはないのだが、傍目に見れば収まるべくして収まったとも言うべき器量の高さ。艶めいているように見えるのは贔屓目だろうか。
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