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    bocchi_takagi

    @bocchi_takagi

    14創作と龍 文字書き

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    bocchi_takagi

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    大遅刻 56の日(ゴローの日)
    屋台のおでん屋で兄さんがおでんを食べるだけの話。
    (投票してくださった方々ありがとうございました)

    ひとり飯「大将、ちとええか?」
     賑わう夜の街をぶらりと一歩き。小腹も空いたし何か飯でも、と思いながら辺りを物色していると今どきにしては珍しい、赤い提灯をぶら下げた屋台が一つ。提灯には黒い字で「おでん」と書かれている。暖簾をめくりいかにも職人気質そうな店主に声を掛けると、ぶっきらぼうに「座んな」と言うがそれだけであった。
     真島はガラガラと音を立てて椅子を引くと、一番端の席に座る。他の客は誰も居らず、一人で飯を食うには都合が良い。特別馴染み深いわけでも、おでんが無性に食べたかったわけでもない。ここは大阪、蒼天堀。粉物という手も合ったが、それなりに年を重ねた身には少々重たい。決して老いたからではなく、「そういう気分じゃなかった」と言うのが真島なりの理由である。
    「大将、大根と牛すじ、あと卵も頼むわ」
     やはり店主は見た目通りの寡黙なタイプなのか、カタギとは思えない圧のある返事をして真島が注文した具材を皿に盛る。関西らしい出汁が効きつつ、甘みのあるつゆはきれいな黄金色に輝いている。
     頼んだ品を次々に口に運んでいく。疲れた身体に出汁の旨味とおでんの温かさが染み渡る。こういう味は誰かとワイワイ言いながら食べるより、一人でまったりと食べるは味があっていい。
     飯でも食うてくると行ったときには「一人で行くのは」と年下上司にあたる大吾にも咎められたが、それを素直に聞く真島ではないことも承知しており、最終的にはくれぐれも気をつけるようにとだけ釘を刺された。兄弟分である冴島はため息をついてはいたが。
     東城会・近江連合が解散し、警備会社を蒼天掘に設立してから早三ヶ月。今までいがみ合ってきた極道がカタギになり、まして敵対していた組織が幅をきかせていた地域に顔を出せば絡まれることも少なくない。ここ数日多少マシになったとは言っても、長らく続いた関係が急に手を取り合えるほど極道も穏やかな世界ではないことは百も承知だ。それ故に大吾たちが危惧する気持ちもわからなくはないが、極道でなくなった以上、普通にしとればええ。それが真島の思うところだった。
    「どれもこれも旨いわぁ。大将、最高や」
     相変わらず店主は言葉少なく、必要以上に話すつもりはないらしい。いくら寡黙だとは言ってももう少し反応が欲しいものだと小言の一つくらい言おうとしたところで店主が皿を差し出した。
    「なんやこれ。頼んどらんぞ」
    「……アンタ、関東の人間にしちゃ味をわかっとる。これはサービスや」
     皿には最初に頼んだ牛すじを始め、タコ、滅多に見かけないクジラの肉まで盛り付けられている。口下手らしいが、褒められたのが嬉しいらしい。有り難く受け取り、真島は遠慮なく口に放り込んだ。
     店主のサービスも相まって腹は満たされ、思わぬ出会いに心が踊った。そろそろお暇しようかと再びガラガラと音を立てて椅子を引き、礼を述べて暖簾をめくったところで聞き覚えの声が耳に入る。
    「お、親父~」
    「おぉ、西田」
     組の頃からいた西田が汗だくになりながら走っている。どうやら心配になって探しにきたらしい。ワシは迷子か。必死な様子の西田を置いてもう一度店主に声をかけた。
    「大将、また来るで」
     最後まで短い返事を返す店主だったが、小さく「また来いよ」と呟いたものの、その言葉が耳に入る前に真島は西田の後ろを歩くのだった。
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    bocchi_takagi

    MOURNINGnotすけべでエロい趙さん書こうと思ったんだけど難しくて頓挫した。
    すけべじゃないエロチャレンジ 誰が言ったかはもう過去のことで、大事なことは目の前にある事実だけである。横浜流氓の元総帥、趙天佑は女から見ても、男から見ても大変色気のある男だ。異人町にある中華マフィアの総帥ともなれば、おいそれと近づくことはできず、一般市民であれば闇を煮詰めたような世界と関わることすらしない。ただ偶然が重なり、彼のそばに近づいた者は口々に言うのだ、彼からとても「良い匂い」がする、と。
     一口に匂いと言っても、鼻を掠めるような香水であったり、風呂上がりの優しい石鹸の香りであったり様々だが、人々が口にするのはそれらであって、そのいずれでもない。見えないはずの匂いが時に色となって現れる。
     それを助長させているのは恐らく、彼特有の話し方が一端を担っている。気だるそうに間延びした言い回し。それでいて放たれる言葉は刃の様に鋭く、音となり首元に突き刺してくる。懐に入り込まれそうな懐っこさを見せたかと思えば、地鳴りを起こしそうなほどの低いではないのにドスの聞いた圧のある響き。彼自身、総帥という立場に対して自信なんてものはないのだが、傍目に見れば収まるべくして収まったとも言うべき器量の高さ。艶めいているように見えるのは贔屓目だろうか。
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