休息日の暴君:司レオ 異国じみた街並みの中で、レオは思うさまごねていた。
「か~え~る~な~~~!」
なぜか目の端に靄がかかっているような不思議な覚束なさがあるけれど、今はそれを気にかけている場合ではない。目の前の人物を引き止めることに全力を注ぐ必要があるからだ。
かくして、レオに服の裾を力いっぱい握りしめられた司は、困ったように眉尻を下げる。
「今日一日を共にゆっくり過ごしたではありませんか。私の国ではかなり、その……ともすれば糾弾され兼ねない時間の過ごし方でしたが……」
「おれの国ではこんなの『休息』の内に入らないぞ!」
高音がキンと辺りに響く。司は反響する声をどうにか受け流しながら、強い力で裾を引く手を宥めるようにして自身のそれをそっと重ねた。
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