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    itsukinaga_

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    リオタル
    以前短時間投稿してたやつ。セフレ〜付き合うまでのベッドでのおはなし。

    #リオタル

     「なんで急に?」
     突然のリオセスリからの言葉に目を丸くしたタルタリヤは、なんとか言葉を絞り出した。だって、突然だったからだ。

     タルタリヤは昨日、部下たちと飲んで騒いで、気分の良いままリオセスリとホテルで落ち合ってセックスをした。恋人ではないがお互いずるずると続いて、しかし割り切っていた関係……だったはずだ。
     
     情事終わりの気怠くも少しだけ浮ついた気分のなか、第一声が付き合おうなんて言い出したリオセスリに、目を丸くして冒頭の台詞、そしてすこし湿った疑心暗鬼の視線を向ける。
     「前々から考えていたことだ。ただ公子様に疑われるほどムードもないまま、たまたま今日言ってしまっただけさ」
     疑う視線は消えないどころか、何か物申したげな雰囲気まで醸し出すタルタリヤに、リオセスリは片手で頭を撫でるだけで、何も言わずに水を取りに部屋を出て行った。水なんてこのホテルには部屋に備え付けてあるのに、だ。
     一人残されたタルタリヤは、ベッドに仰向けになって独り言ちる。
     「……もしかして成功した?」

     *
     部下との飲み会で、蛍術師につい溢した一言がきっかけだった。タルタリヤは酔ってはいなかったが、このあとリオセスリと会う予定があったせいで、焦りと不安でこぼれ落ちそうな気持ちが口から漏れてしまった。「好きな人に振り向いてもらいたい」と。
     蛍術師以外にも、その場にいた若い女性は色めき立ち、年上の女性部下からは見守るような視線を送られ、男性の部下達は気になるのか、聞き耳を立てたり、グラスを割る奴も居れば、机に突っ伏して泣いたりする奴もいた。
     「でも、身体の関係はあるんだよね」
     流石にネコをやってますとは言えないけれど、成人しているしこれくらいの事実は、この場の盛り上げるための餌かスパイスにでもなればと、タルタリヤは故郷の慣れ親しんだ酒をちびちびと飲みながら相談を続けた。
     
    「身体を魅力しているなら、あとは堕とすだけですよ!公子様!」
    「意外と自分の物だって思ってて、安心してるかもしれないですよ?」
     わいわいと集まる話の中心のタルタリヤは、眉尻を垂れ下げて愛想笑いを浮かべる。彼はそんな情を向けてくれる男では無いと思っていたし、手慣れている感じからして、懐いた野良犬くらいがいいところじゃないだろうか。
    「じゃあ公子様にこれあげます。そのあとの反応を見てから悩んでもいいんじゃないですか?」

     渡されたのは女性物の香水の瓶。高価なものではないが安物すぎず、少しだけ花のような甘く、どちらかと言えば清廉な、年頃を過ぎた女性が使いそうな大衆的な香水の匂い。
     それは他人の匂い。
     あの男の方が犬なんじゃないかと思うくらい、よく嗅がれる首筋と、あの男以外が触れることはない腰に、他人から移ったと思わせる程度に香る少量を振りかける。
     こんなことでこの悩みが解決するなら、人間の心なんていうのは悩んでいるのが馬鹿らしいほどに、とんでもなく単純なのかもしれない。タルタリヤは半信半疑、寧ろ信じないままホテルに入れば、それはもう大変な目に遭った。

     *
     水差しとグラスを持って戻ったリオセスリを見て、ベッドの住人となったタルタリヤは、未だに納得していない顔を浮かべてジッと見つめた物言いたげな瞳に、リオセスリはふぅ、と息を吐いて口端を上げて笑った。
    「早々に風呂に連れて行かれるし、匂いをずっっと嗅がれるし、執拗に舐めて噛んできたよね?」
    「いつもそうだろう?」
    「違うね。いつもはもっとねちっこくて俺が風呂に入りたいって言っても行かせてくれないし、匂いを嗅ぐのは首筋くらいで全身なんて嗅がなかったし、血が出るほど噛まれたのははじめてだよ」
    のろのろと身体を起こし、掛け布から露わになった身体の、特に首筋と腰には鬱血痕と噛み痕が無数に散らされた白い肌を見たリオセスリは、両手を肩ほどまで上げて頭を軽く左右に振る。
    「はぁ、降参だ」
    「じゃあ教えてくれる?急に告白するなんてさ。それに、普段なら見えるところに痕なんて残さなかっただろ」
     臙脂色のシャツから見えてしまう位置に着いた鬱血痕を指差しながら、タルタリヤは問い掛ける。
    「あんたが俺以外に関係を持ったと思ったんだ。俺しか見ないように、俺以外では満足しないように、ゆっくりと育てていくつもりだったんだが、なぁ……正直に言えば、まぁ……焦った」
     ベッドサイドに腰を下ろしたリオセスリの背後から、肩に顎を乗せ顔を覗き込むと、珍しく狼狽えて歯切れの悪い言葉にタルタリヤは肩を揺らして笑い出す。
     頬を人差し指でつんつんと突くと、更に珍しく、照れたリオセスリの顔を見て破顔して笑うタルタリヤに、リオセスリは振り返って笑い声を唇で塞いだ。
     目論見通りに笑い声は止まって、タルタリヤはぱちぱちと瞬きを繰り返してリオセスリを見ると、少しだけ緊張した面持ちをしている。彼も緊張するんだなと思うと、つい口から素直な感想が溢れた。
    「可愛い」
    「看護師長にしか言われたことがないな」
    「言われたんだ」
    「……それで、返事は?貰ってないんだが」
    「あははっ!そうだった。よろこんで、よろしくねハニー可愛い人
    「ああ、こちらこそダーリン愛しい人
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