くぅ、くぅ、きゅるる「まだ、死にたくないなぁ」
ぽつり、と彼女が呟く。でもそこには悲壮感なんてまるでなくて。
「そう簡単に人は死にませんよ」
やれやれと肩をすくめ、
「ちょっとお腹が空いたくらいでは」
と傍らに座る少女に向かって進言する。
「ちょっとじゃないよう、もうおなかペコペコ! お兄ちゃんまだかなぁ」
お兄ちゃん、彼女の兄である桃山ダンジさんは「悪りぃ、ちょっと頼む」と言って偶然居合わせたライカにミレイを託すと顔見知りらしい困り顔を浮かべる大人達と共に商店街の方へと消えていった。
それから二人、ここでこうして彼が戻るのを待っている。
雑談はあまり得意ではないが高圧的でもなければ萎縮もしない彼女との会話は極めて平穏だった。
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