運命 細く長い指が器用に骨で作られた骰子を弄ぶ。
武器を握れば驚くほどの重さで打ち込んでくる胼胝だらけの掌は、しかし見た目だけなら俺の親指と人差指で摘んで潰してしまえそうなほどに華奢だ、不思議なことに。
「必ず勝つ勝負が一番好きだ。負けるのが分かっている戦いなど、してもなにが楽しいのか」
そう言って骰子を眺める暁の目に、嘘は一片たりとも存在していなかった。
運命
血の気を失った頬、得物を強く握りすぎて蒼白となった指先。ぽたぽたと滴る水が地面に染みを作る。
カウラヴァの旗頭はたった一人となってなお、人を食ったような態度を崩さずそこにいる。
あいつの有力な味方はあらかた死んだ。あいつの兄弟たちは一人残らず俺が殺した。あとは料理に例えるのなら皿の上に乗った僅かな米粒を指で掬う段階で、そして皿は綺麗に空となる。
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