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    kusare_meganeki

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    kusare_meganeki

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    事務員ジェパ×営業ンポのジェパサン(現代パロ)
    ⚠️サンポの視力が悪い(眼鏡をかけている)
    ⚠️本編軸では絡みの無いキャラ同士の会話

    リーマン現代パロのジェパサン(豪雨)一瞬、視界が白む。
    あ、と思った次には空を割るような轟音が耳を劈いた。何名かの社員が悲鳴を上げる。デスクチェアに背凭れ、ジェパードは窓の外を見た。雷の轟く曇天からは、大粒の雨が降り注いでいる。窓の横、柱に掛けられた時計は午後3時を回っていた。
    (雷雨になるのは夜更けてからだと、予報で言っていたが……早まったか)
    視線を窓からデスクトップに移し、ファイルの保存ボタンを2回押す。停電で、作業中のデータが飛んではお話にならない。
    「みんな、聞いてくれ。データを保存後、全ファイルのバックアップを外付けHDDに移すように」
    ジェパードの指示に、他事務員が頷く。隣に座るペラが、ジェパードに何か言おうとした時、再び視界が白んだ。
    「きゃっ」
    ペラが小さく悲鳴を上げる。2度目の落雷に、ジェパードはため息を吐いた。
    「せ、先輩……この雷雨、しばらく続くようです」
    震える声で彼女は言う。その事実を確かめるため、スマートフォンを開いてウェザーサイトを閲覧すれば紺色の膜が全域を覆っていた。
    この様子では後々、交通機関に影響が出かねない。今日は車での出勤だったジェパードは、遠くに住んでいる社員から帰れるよう社長に打診するか考える。そうこうしているうちに、3度目の落雷にペラが悲鳴を上げた。
    「みんな、聞いてくれる?」
    オフィスに声が響く。深緑の髪を靡かせ、赤いスカーフを巻いた女性が出入り口に立っていた。誰かが、ナターシャさんと名前を呼ぶ。
    「カカリア社長から命令よ。この天気で今後、交通機関に乱れが出る可能性があります。なので、仕事を切り上げて帰宅するように。悪いけど、車出勤の人達は電車やバス通勤の人達が早く帰れるよう、手助けしてあげて」
    その指示に、オフィス内の社員が返事をする。元有限会社地炎の副社長、現株式会社シルバーメインのチーフのナターシャはその反応に微笑んで頷くとその場を後にした。その後ろ姿を見送って、一気にオフィス内が賑やかになる。
    「ペラ、君は電車通勤だったな。手伝おう」
    「ありがとうございます、先輩。でもわたくし、全て終わらせてますので」
    「だろうと思った。駅まで送ろう」
    「それはありがたいですね!」
    ジェパードの申し出に、ペラの表情に笑顔が咲く。礼儀正しくも、乗れるところは乗る彼女の性格はジェパードにとっては付き合いやすかった。
    ただまぁ、細かいミスの一つ一つを挙げ連ねて詰める癖さえなければ、もっと良いのだが。しかし、それも彼女が仕事に真摯に向き合っている証拠だ。無碍にはしない。
    作業中のファイルが最新の進捗まで保存されていることを確認して、ジェパードはパソコンの電源を落とす。さて、帰る準備をしようと立ち上がったところで、デスクの上に置いたスマートフォンが震えた。



    まるで滝のような雨だ。これでは、傘を差しても意味がないだろう。ここに来る前に、ゼーレを帰らせておいて正解だったとサンポは思った。その場の独断であり、社長には帰しましたとしかメールを送っていないが、結果それは正しかった。
    スマートフォンに届いた社内メールを見て、にこりとサンポは笑う。しかし、外の状態は一切笑えるものではないが。
    さてどうしたものかと、営業先‪──‬星穹運送株式会社の正面玄関から外を見る。
    (とりあえずジェパードに迎えは頼みましたし……)
    「ああ、まだ居たのか。良かった、この雨だ。タクシーでも呼ぼうとかと思っていたところだ」
    背後から聞こえ来た声に、サンポは振り向く。茶色の髪に、スクエア型の黒縁眼鏡。グレーのスリーピーススーツを身につけた男性が、後ろに立っていた。
    「どうもヴェルトさん。先程はいいお話をどうも」
    「こちらこそ。さて、タクシーは入り用かな?」
    タクシーチケットを一枚、サンポに見せながらヴェルトは言う。黒のハーフリム眼鏡の位置を直して、サンポは首を横に振った。
    「心遣いだけ頂戴します。今ちょうど、僕専用のハイヤーを呼んだところなので」
    「……? いや、何にしろ足があるなら良かった。この後も酷くなるようだからな。良ければ、迎えが来るまで話相手になろう」
    「あはは、それはありがたいですね」
    遠くで雷が鳴っている。湿度が上がり、蒸し暑い。自動ドアを挟んで、向かいのビルからは傘を差して走る男性の姿が見えた。出ている左肩が、すぐに変色している。
    「この雨ですけど、ヴェルトさんはどうするおつもりで?」
    「まだ丹恒やなのかが業務中だ。早々に切り上げさせて、駅まで送る。幸い、こっちはまだ雨が強いだけで雷雲は来ていないからな」
    「ああ、あの若手社員ですね。良いですね、やる気と元気があって。まぁ、こちらのゼーレも負けていませんが」
    「あの黒髪の子だろう。自社の製品に絶対の自信を持っている良い子だ。大事に育ててあげるといい」
    「それは勿論です。いやまぁ、毎日僕の尻を蹴るのは勘弁してほしいんですがね……」
    サンポの言葉に、ヴェルトは笑う。冗談ではなく本当の話だが、営業先を笑わせるのもスキルの一つだ。眼鏡の位置を直し、ヴェルトは視線を外へ向けた。
    道路が冠水するのではと思うほどの雨。ゴロゴロと雷鳴が響く中、ヴェルトが僅かに微笑んでサンポに言った。
    「今の会社は、楽しいかな?」
    「楽しいですよ。ホワイトな会社ですし、お給料もそこそこ良いですし。同僚の皆さんは良い人ばかり。世間で言えば、完全なホワイトな大企業ですよ」
    「それは何より。はは、どうしても昔の君を知っているから心配になってしまう」
    「その節は……まぁご迷惑を」
    「迷惑とは思っていない。なんだろうな、保護者の感覚というべきか……。とにかく、地炎の頃から知っている身としてはやはりどうしても気に掛けてしまう。これこそ迷惑だったら言ってくれ」
    「それこそ迷惑だなんて!こうしてご縁があっての今ですので……」
    サンポがそう言った時、遠くでクラクションの音がした。同時に、サンポのスマートフォンが震える。社外、青色の車が歩道脇に止まっているのが見えた。
    「お迎えかな?」
    「そのようです。ヴェルトさん、お世話になりました」
    「気をつけて」
    手を振るヴェルトに軽く頭を下げて、サンポは折り畳み傘を差し大雨の中に繰り出した。
    運転席側から身を乗り出し、助手席側のドアを開けて待っているジェパードに礼を言って乗り込む。この間10秒もないが、それでもズボンの裾から脛までびっしょりと濡れていた。
    「はぁ〜助かりました、ジェパード。ありがとうございます」
    「構わない。僕も、ペラを送ってから君を拾っていこうと思っていたところだ」
    「本当に?」
    「君の電話を貰ってから、そう思った」
    「あはは」
    ジェパードが車のエンジンを蒸した。ワイパーが懸命に動き、雨粒を流している。外から中へ、湿度を気温の差でサンポの額には汗が滲んでいた。
    「迎えに来てくれたお礼に、何か食事作りますよ。何が良いですか?」
    「ああ、そうだな……」
    サンポの問いに、ジェパードは脳内でリクエストを考えながらアクセルを踏み込んだ。
    「とりあえず、僕と君、どちらの家に行けばいい?」



    腹の底を揺らすような轟音に、黒のスウェットを着たサンポはちらりとカーテンの閉まった窓を見る。
    早上がりして時間があるなら家の掃除をさせろと、サンポが言ったためジェパードの家で寛いでいる。そこに至るまでの2時間で混沌に飲まれ掛けていた部屋に秩序をもたらし、サンポは満足していた。
    「明日の朝まで雷雨だそうだ」
    皿洗いを終えたジェパードが、冷蔵庫から新しい酒を2本持ってくる。でしょうねと頷いて、1本受け取ったサンポはプルタブを開けた。彼も、グレーのスウェットを身につけている。
    サンポが作った冷やし中華を食べ、風呂も済ませ、あとはだらけるだけだった。
    テレビはどこも、外枠で大雨の情報が流れている。バラエティ番組では、芸人たちが身体を張って何かのチャレンジに励んでいた。
    「皿洗いありがとうございます、ジェパード」
    「食事を作ってくれたんだ、これぐらいはさせてくれ」
    「ははは。じゃあ部屋の整理整頓ができるようにもなって欲しいんですけどね」
    「それは〜……まぁ、善処する」
    自信なさげな返事に、サンポは笑って酒を煽った。横で、ジェパードもプルタブを開けている音がする。
    「明日は少し早く出社しないと。明日納期が幾つか残っているから」
    「真面目ですねぇジェパード」
    「君も一緒に行くんだからな、サンポ」
    「ええ〜?」
    「領収書。提出しろ、溜まっているだろう」
    ジェパードの言葉にサンポは視線を逸らした。
    「家ですよ、仕事の話はやめましょう」
    「逃げ……はぁ。まぁ、そうだな」
    サンポの言葉は最もだ。家では仕事の話はするべきじゃないだろう。ジェパードは謝り、サンポの髪に触れた。まだ僅かに湿っている。
    外では、強い雨粒が窓を叩いていた。
    「にしても、凄い雷ですね。少しは遠くなりましたかね」
    「どうだろうな。むしろ、今こっちに来ているのかも」
    「それは困りますね。寝れないじゃないですか」
    「関係ないだろう」
    おちゃらけて言うサンポの肩を強く掴んだ。酒缶を奪い机の上に置いて、ジェパードはその場にサンポを押し倒す。カーペットの上、大人しくされるがままのサンポは妖艶に微笑んだ。
    「もう?今何時だと思っているんですか」
    「20時を回ったところだが」
    「まだ子供も起きている時間ですよ。ほら、お酒も残ってる」
    その言葉を聞きながら、ジェパードはスウェットの中に手を滑り込ませた。僅かにサンポの呼吸が乱れる。
    「後で飲めば良いだろう?」
    「絶対飲まないやつですよ、知ってるんですからね」
    そう言いながら、サンポは手を伸ばした。机の上を手探りで、リモコンを見つけて電源ボタンを押す。真っ暗なテレビには、部屋の様子だけが僅かに反射していた。
    ジェパードが身を屈める。サンポの首筋を舐めて、吸い付いた。
    「ん……っ」
    「1週間振りなんだ、許してくれ」
    「ふふ、そうでしたね」
    ジェパードの主張にサンポは笑った。愛撫に吐息混じりに喘ぎ声を漏らしながら、彼の頭を優しく撫でる。
    「仕方ないですねぇ」
    眼鏡は外さないでくださいね‪──‬そう言い、ジェパードの首に腕を回したのを合図に、その唇を重ね合った。
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