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    幸せな死ネタ

    飛行機に乗った時の空が
    いつもより綺麗だったので
    思いついたお話です。

    #グルアオ
    gruao.

    お別れなんてしないよ。「皆様にご案内致します、この飛行機は間もなく離陸致します」
     私たちを乗せる頑丈な翼は速度をつけて、ふわっと浮かび上がる。
    それは高く、高く、自身の力だけでは到底行けない場所へと連れて行ってくれる頼もしさ。
    どんな出会いが、どんな冒険が待っているのだろう?
    ドキドキとワクワクが仲良く隣り合わせで出発した。

     陽が海の向こう側へ帰る頃、四角い小窓から見える西の景色は、暖色から寒色へと変わる夕焼け空のグラデーション。その寒色はずっと前に片恋が実ったお相手の髪色みたいで、出発前日の別れ際に交わしたとある約束を思い出す。うっとりと眺めていると、次第に頬はカァァと、乙女色のグラデーション。
     
    「帰ってきたら渡したいものがあるんだ。だから気をつけて、楽しんで。それと、絶対に僕の元へ帰ってくること。余所見しないで。いいね?」
    クールにみえて、意外と嫉妬深く心配性なところが愛おしい。
    「大丈夫、私の心はどこにも行かないよ。私が嘘をついたことがありますか?だから絶対、約束。そうだ、指切りげんまんしましょうか」
    幼い子ども同士のような約束に、少し背伸びをした口付けを添えて。
    その味は、先程ふたりで分け合って食べたスイーツと同じ、とろけるような甘さでした。

    雪山なのに絡みつく小指と唇はほんのり温かくて、安心したんだよね。交換留学の日程は、私の記念すべき大人への仲間入りの日と被ってしまった。だから、もっとイイことは帰ってくるまでのお預け。でもいいの、ショートケーキの苺は最後に食べる派なんだ。
    ご褒美は待った分だけ、至福のひと時が訪れることを私は知っている。
     
     もくもくの綿菓子雲を抜けた先は辺り一帯が彼の色。
    離れていても、包み込んでくれているような…。そんな気がした。
     
    「楽しみだな―――……」
    「……―――なだみし楽」

    突如ぐるんッと反転する景色。衝撃は後からやって来た。
    頑丈な頼もしさは真っ二つ。彼の色に包まれていた私は、真っ逆さまに落ちていく。

    (あ――……今日は飛行と水ポケモン、連れてないんだった) 

    左手を伸ばし空(彼)を掴む。当然掴めるわけがない。
    急速にあの人が離れて行くような気がして、………淋しい。
    (グルーシャさん、グルーシャさんはどこ……?)
    キョロキョロと、視線を先程まで釘付けだった西の空へ向けた。
    燃えるような緋色から、彼に似た空色へと変わるグラデーション。
    その境目は、まるで愛を誓い交じり合った私たちを表しているかのようで。いっそのこと、この美しい色合いに溶けてしまってもいいかもしれない。
    なんて事を考えていると、ふっと身体は浮遊感を覚え軽くなる。
    そして再びぐるんッと変わる視点。
    今、目の前に映るのは左手を挙げたまま真っ直ぐに、黄昏の海面を目指す本来の私。

    だめ……。待って。行かないで。と、無我夢中で追いかけた。
    かけがえのない仲間達も、頂点の座も、恋い焦がれたあの人も、欲しいモノは全てこの手で掴み取れたじゃない。
    そんな私なら出来るでしょう?
    それでもいくら指先を限界まで伸ばせど、届きそうで届かなくて…、
    あぁ、もどかしい。
    あと少し、もう少し、頑張って、お願い、届いて。
    約束は守らなきゃ――…… とぷん。
     
     本来の私は揺らめく水の世界へ。
    沈みゆく身体の体温を無慈悲に奪う。
    全てが手に入る甘い世界はないんだね。これが冷たい現実かぁ。
     
    ………苺、先に食べればよかったや。

    結局、最後の最後で自分自身を手に入れることが出来なかった私は追いかけるのをやめて、心残りを抱えて天を目指した。



    『パルデア航空ブルーベリー学園直行便が墜落しました。
    繰り返します、パルデア航空ブルーベリー学園直行便が墜落しました』
     
     緋色が沈み、世界が漆黒で包まれた頃。
    僕の耳にオレンジアカデミー生徒一行の訃報が届いた。
    こんなバッドニュースは信じない。
    だって彼女は、どこにも行かないって言った。
    愛しのあの子が僕に嘘をついたことなんて、一度もない。
    だから信じない、信じたくない。
    …………そろそろ信じないといけないのかもしれない。
     
     鏡の前で身なりを整え、準備万端。
    チルタリスの背に乗り機体が沈んだと言われる辺りを目指す。
    喪服?いいや、これは今日この日の為に新調したタキシード。
    献花?いいや、これは月下美人のブーケ。
    別れの言葉?そんなの言うわけないでしょ。
    「アオイ、お誕生日おめでとう。
     この日をずっとずっと…、楽しみに待っていたんだ。
     これからも僕の側にいてくれるよね」
     
    聴こえるように、精一杯の声量で広大な海に渾身のプロポーズ。
    控えめのダイヤが輝くプラチナのエンゲージリングを思いっきり投げ入れた。
     
    月夜が照らす漆黒の世界に沈むそれは、ゆっくり、ゆら〜り、と光の届かない海底へ。
    そして、伸ばした左手薬指にピッタリと収まった。
     
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    chikiho_s

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    背が低いから主人公以外に壁ドンできねえじゃんて気がついたのは書き終わってから
    欲しいものはいつものように雪山滑りを心ゆくまで満喫して帰ろうとしたところに、たまたま外回りから戻ってきたグルーシャさんと鉢合わせた。
    「来てたんだ」
    「あ、はい。今日こそは新記録出したかったんですけど、ダメでした…」
    時間を見つけては滑りに来て、雪山滑りの歴代最高記録を塗り替えるべく何度も何度も挑戦するものの、なかなか新記録が更新できない。というのは実は建前で、本音はグルーシャさんに会いたいから。こうして滑っているとグルーシャさんが声をかけてくれる。ほんの少しでも彼に近づきたい。
    でも記録を塗り替えたところであのイケメンで優しくて才能あるグルーシャさんは私なんかを相手にしてくれないだろうし。彼と話せなくなるくらいなら記録更新なんてしない方がいいのかも。胸がきゅうと狭くなる。
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    chikiho_s

    PASTTwitterに上げたバレンタインとホワイトデーの連作。
    プレゼントは死ぬほど貰うけど、自分からあげるなんて無いだろうから悩み悶えていればいい
    ココアの件はフォロワーさんのリクエストで。グランブルマウンテン(砂糖たんまり)でもいいね。可愛いね。

    https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19706108
    氷の貴公子とチョコレイト今年もこの日がやってきた。一年の中でも憂鬱な日。バレンタインだ。

    ジムの建物内を埋め尽くす勢いでチョコレートやプレゼントが届く。言うまでもなく全部ぼく宛て。わざわざ雪山の山頂にあるジムまで届けにやってくる人もいる。多分明日は本部に届けられた分がやってくる。正直、意味がわからない。
    この日だけ特別に一階のエントランスに設置されるプレゼントボックスは何度回収しても溢れていて、業務に支障が出るレベル。下手にぼくが表に出ようものならパニックが起きて大惨事になるから、貰ったチョコレートを消費しながら上のフロアにある自室に篭もる。ほとぼりが冷めたらプレゼントの山を仕分けして、日持ちしない物から皆で頂いて、残りは皆で手分けして持ち帰る。それでも裁ききれないからポケモン達に食べさせたり、建物の裏にある箱を冷蔵庫代わりにして保管する。これは雪山の小さな特権。
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    chikiho_s

    DOODLE🍐❄️「欲しいものは必ず手に入れる。ぼくは(お相手)が欲しい」

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    「あ、はい。今日こそは新記録出したかったんですけど、ダメでした…」
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