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    リョ三 お題「応援」
    親友ガチ勢のリョ三が渋々付き合う話

    #リョ三
    lyoto-3

    君の笑顔を守りたい「アイツに応援されると、何がなんでも勝たなきゃって気分になんだよな」

     帰り道の三井サンは素直だ。素直というよりも、部活の疲れからか脳直具合が激しいだけだが。
    その証拠に今だってほら。俺のアヤコちゃんへの愛をウンウンと聞いていたと思ったら、フッと笑ってこんなことを言い出した。
     悲しいかな、三井サンのこの突拍子のなさに慣れてしまった体は、言いたいことをすぐさま理解してしまえる。

    「堀田さんスか」
    「おう。アイツには迷惑かけ通しでよ、ほんとに。それなのに今もずっとついてきてくれて……」

     ずび、と鼻水を啜る音。マジか泣いている。さっきまでカマキリの交尾の話を嬉々として語っていたのに。情緒どうなってんだこの人。
     だがその思いには宮城にも覚えがあった。
    相手はもちろん、安田靖春ことヤスだ。
     中学で出会ってから今まで、何かと不安定な俺のことを支えてくれた。つっけんどんな態度を取ってしまったこともあるし、ヤスがいなければ耐えられなかったことだってたくさんあった。俺の勝手で泣かせたことは一度や二度ではない。特にバイク事故を起こした時の、ボロボロと大粒の涙をこぼしていた姿は一生忘れられないだろう。

    「アイツはいい男だぜ……俺、アイツの願いなら何でも叶えてやりてえよ」

     スン、と鼻を擦って、遠くを眺めている。浸っているなさては。
     三井をシラけた目で見つつ、宮城も一つ考えてみた。ヤスの願い。普段欲を見せないヤスの、貴重な願い。そんなもん叶えたくなるに決まってるだろう。
    三井に同意することは少々癪だが、宮城は頷いた。途端、ぱっと輝く。

    「お前もか!!いやぁ、徳男いいやつだもんな、俺もお前がそこまで言ってくれて嬉しいぜ……!!」
    「いやヤスの話だよ」
    「んだ安田か。ぬか喜びさせんなよ。でもお前らってスゲー仲い、いでッ!?」

     勝手に勘違いされ勝手に盛り上がられた挙げ句がっかりされた。その上、目を押さえて唸っている。コロコロコロコロと、忙しない。話題も行動も。これは堀田さんは苦労してるだろうな。

    「なに。どーしたんスか、虫でも入りました?」
    「や、多分まつげ……ん」
    「ん?」

     足を止めて、顔を合わせられる。何かを待つような沈黙が降りて、もう一度『ん』。

    「……え、何怖い」
    「だから取れって言ってんだよ!なんかビミョーな位置で引っかかってる感じすっから」

     言ってねえ。んなこと一言もいわれてねえ。それが人にもの頼むときの態度か。親の顔が、ってところで堀田さんが浮かんできた。あの人の甘やかしの成果だなこりゃ。

    「じゃもうちょっとかがんでくださいよ。見えねーって」
    「チッ、しかたねーなぁ」
    「態度悪ッ!!」

     上体を曲げて位置を合わせてくる。が、いかんせん部活帰りの日の沈みかけた通りではうまく見えない。ほっぺたを掴んで、もっと見やすい位置に調節。うお、と声が漏れてたが無視だ無視。
     果たして睫毛は、ぷっくりと膨れた涙袋の上で眼球に鋭利な切っ先を向けていた。ムカつくほど長いそれをつまんで、ポイと投げ捨てる。

    「ハイどーぞ。できましたよ」
    「おー、あんがとな」
    「アンタお礼言えたんだ……」
    「んだと!?舐めてんな宮城!!」

     噛みついてきた三井に、上等とばかりに睨みを返す。そうして売られた喧嘩を買おうと、した時。

    「テメェッ!三っちゃんに何してやがんだ!!」
    「!?」

     地響きのような怒号。反射でメンチを切って振り向くと、そこには。

    「え、徳男?」
    「や、ヤス……?」

     怒りに猛る堀田と、その後ろでアワアワとしている親友の姿。ちょっと堀田さん、と引き留めようとしている。
    あれ。もしかして聞こえていただろうか。かなり恥ずかしいことを言ってしまった。言ってしまったというか、頷いただけだけど。
    かあ、と頬が熱くなる。三井サンは少しも恥ずかしがる気配なんて無いが。
     何故か盛り上がっている堀田のことは三井に任せるとして、宮城はヤスのことが気になっていた。話を聞かれるのはまだいい。三井サンが堀田に対する暑苦しい友愛を語っただけだ。でも、それに頷いたところを見られたかもしれない。気恥ずかしさを誤魔化そうと首を擦りながら、ええっと、と勇気を出した。

    「……見てた?」
    「ぜ、ぜんっっぜん!?」

     見てたな、こりゃ。顔が真っ赤で、ウロウロと視線が泳いでいる。
     はあとため息を吐いて、観念した。見られてしまったからには仕方がない。潔く認めるほうがまだかっこいい。左手首を一瞬さすってから、宮城は安田を見つめた。真摯に、思いを込めて。

    「でも、本気だから。俺、本気で思ってる」
    「あ!うん……本気で想ってる……」

     本気で、ヤスの願いなら叶えてやりたいと。
    ヤスは小さな声で繰り返したあと、深呼吸をした。パシ、と手を取られる。目がキラキラと輝いている。え、なに。なんだ。

    「俺、応援してるから!」
    「え、なにを」
    「リョータと、三井さんのこと!!」
    「……へ」

     えええええ!?なんで三井サン!?俺と三井サンの、何を応援しているって!?
     混乱する宮城を置き去りに、ヤスは興奮した様子で言葉を続ける。

    「さっきキスしてたことも、もちろん誰にも言わないし!俺、リョータと三井さんがこんなに仲良くなってくれて、ほんとに嬉しいよ……!!ずっと気にしてたもんね、おめでとう、リョータ!」

     ききききき、キスぅ!?してないしてない、してないよヤス!誰が三井サンなんかとキスするわけ!あ、さっきのアレ!?アレはただ三井サンが睫毛取れってうるせえから、つか大して仲良くもないし、気にしてたって何!?!?

     なんて叫び声は。

     涙を目に浮かべながらニコニコと花を飛ばすヤスを前に喉の奥に飲み込まれていった。言えない。言えるわけがない。ブンブンと俺の手を振り回して、こんなに喜んでいるのに、俺には無理だ。
     助けを求めるつもりで三井に目を向ければ、まだ脳天気にバシバシと堀田の肩を叩いている。動揺と怒りで震える、堀田の肩を。

    「み、三ッちゃん、さっき宮城と……」
    「ん?おう!俺は全部マジだぜ!」

     ば、バカヤロー!!!!
    勘違い加速させるようなこと言ってんじゃねー!!ニカッ、じゃねーんだよ、ほら堀田さんすっかり思い込んじゃってるよ!百面相だよ!!親友の恋路応援すればいいのか相手が俺であることに反対すればいいのか解んなくなっちゃってるよ!!頼むから堀田さん、反対しまくってくれ!!

    「…………応援、するぜ」
    「?おう!あんがとな!」

     あああああ〜〜!!応援しちゃった!!親友の幸せのが重かった!前歯折られたり病院送りにされたりいろいろあった条件最悪の男を許しちゃった!三井サンもわかってないのに返事すなよ、どうすりゃいんだこれ!

    「そ、そうか宮城か……いやでも、三ッちゃんがマジだって言うなら、俺はどこまででも応援するよ!三ッちゃんが好きなやつと幸せそうにしてるのが何よりも嬉しいからよ!!」
    「え?あ、おう……??」

     アレ〜〜??もう完全に親友の幸せに天秤傾いちゃってる。俺への不満がポーンと宙に投げ出されている。
    ボダボダと涙をこぼして、男泣き。
     んんんぅ、と唇を噛んで震えている宮城とは裏腹に、ヤスは未だニコニコと幸せオーラ全開だ。
    うおおい、と声まで上げ始めた堀田を引っ張って、ヤスが満面の笑みを俺たちに向けてくる。

    「三井さん、リョータのこと頼みます。お邪魔してごめんなさい、俺たちもう行きますから。リョータ、また明日!」
    「宮城ぃ!三ッちゃんのこと泣かせたらただじゃおかねーからな!!」

     堀田の怒鳴り声が、だんだん遠くなって、やがて沈黙。
    ぎぎぎ、と隣を見れば、流石に状況を理解したのか青い顔。

    「……」
    「……」

     気まずい。どうしたらいいんだこれ。
    一緒に帰ってただけなのにいつの間にか付き合ってることになっちゃった。

    「……アイツら、なんか勘違いしてたな」
    「……っすね」

     三井サンが、顎の傷跡を撫でながら呆然と言う。同じく呆然と返して、再び重い沈黙。

    「……スゲー喜んでたな」
    「そすね……」

     あんなに喜んでいるヤスはなかなか見れない。よっぽどのこと──例えば、山王に勝つとか──が起こったときしか見れない表情だった。人の話もちゃんと聞かずにはしゃぎ倒すなんて。

    「俺たちが付き合ってないって知ったら、徳男どう思うかな……」
    「……すーー……」

     ワイワイと飛び跳ねていたヤスが、ピタリと動きを止めて、はっとして。手を胸に持っていき唇を噛んで、困り眉。『ごめんリョータ、俺すごい勘違いしちゃって……三井さんにも迷惑かけたよね。ほんとにごめん……』と。しょげた顔で言ってくるのが脳内で再生されてしまって、宮城は歯の合間から苦し紛れに押し出した。

    「……俺、アイツに応援されたら、何が何でも勝たなきゃって気分になんだよな……」
    「俺も……」

     勝ち負けの話ではないが、気持ちを落ち込ませたくない。
     ヤスにはたくさん迷惑をかけたし、感謝もしてる。ヤスの願いなら何でも叶えてやりたい。
    でも。でもだ。相手は三井サン。いろいろ、ほんとにいろいろあった相手だ。まだあんまり仲良くなれてないし、三井サンだって俺のこと好きじゃない、と思う。前歯折っちゃったし、スゲー殴っちゃったし、目が合わないことが多いし、しかめっ面ばっかしだし。こうして一緒に帰ってくれるところを見ると、歩み寄ろうとしてくれているんだろうけど。

    「……徳男にはスゲー迷惑かけちまったし、アイツの願いは叶えてやりたいけどな。でも宮城俺のこと嫌いだろうしなぁ。アヤコにはべちゃくちゃうるせえのに俺とは全然喋んねえし、つかあんな事しちまってこうやって一緒に帰ってくれてるだけでもスゲーことで。でも徳男が悲しむのは見たくねえ……」

     すげえ、全部声に出すなこの人。ウンウンと唸りながら、本人を前によくあけすけに言えるものだ。いや、これは心の声が漏れていることに気づいていないのか?そんな気がしてきた。

    「……」
    「……」

     ひたすら青空を見つめていた三井サンのヘーゼルが、ゆっくりと降りてくる。俺はずっと三井サンのこと見つめてたから、自然と目が合った。吸い込まれそうな瞳に、俺が映り込んでいる。
     そのまま、三井サンのうすい唇が小さく開く。何を言われるかはわかっていた。俺が出した結論と、同じセリフ。


    「「付き合う……か……」」
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    TRAINING洋三ワンドロワンライ 5/5「かさぶた/火をつける」

    ※洋→←三
    ※三に自分は相応しくないと思っている洋の独白
    ※三はほぼ出てきません
    ※流血表現あり
    建物と建物の間の路地、喧嘩するにはうってつけのような場所に壁に寄りかかって座り込んでいる。周囲はここで誰かが暴れましたよと言わんばかりの散らかりようで、逃げて行ったやつらの痕跡といえば勝ったもののちょっと立てそうにない自分と、血の付いた刃物だけになっている。
    無意識に手で押さえている脇腹が熱い。ガキの喧嘩で刃物なんか出してくるんじゃねえっつんだよ。

    別に調子が悪いわけではなかった。いやうそだ、少しぼーっとはしていた。気温とか空気感とか色々とあまりにもあの日と似通っていて、望んでもいないのに壊れたビデオテープのように何度も彼の顔を繰り返し思い出していた。
    注意力が散漫になっていたのだろう、ぶつかったぶつかってないのありがちな諍いは、ヒートアップする前に相手の数人のうちの一人から上がった「お前水戸だろ」の声を発端にあっさり殴り合いに切り替わった。どこで買ったか覚えていない恨み――というよりただの逆恨みから始まった小競り合いは結果としてどいつも大した事はなかったが、粘着そうな雰囲気をした一人が刃物を持ち出したことにより空気が一変した。
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    Water2217

    DONE中国語注意!

    洋三 - 錄影帶

    大學生設定
    只是剛剛交往不久的兩人

    想寫三井意外發現洋平暗戀自己很久
    總之就是很簡短的一篇文
    洋三 - 錄影帶「喂,洋平,啤酒在哪?」

    剛洗完澡的三井從浴室走出來,第一件事問的,當然是啤酒在哪。

    「在雪櫃呀,我回來後第一時間就把啤酒放在雪櫃。」

    聽到洋平的話後,三井就走到廚房打開雪櫃門查看。不愧是洋平,果然一早就把啤酒放在雪櫃內。

    「你洗完澡了嗎?」坐在電視機前的洋平問。

    不過身子還是暖暖的三井只想著啤酒,沒有馬上回答。他從雪櫃中拿出啤酒,喝了一口後才回答:「嗯,我用完了,你去吧。」

    「好,你肚餓的話就隨便拿東西吃吧,我很快就洗完。」

    「哦,你慢慢吧。」

    和洋平交往已經一段時間,但三井這次也只是第二次來到洋平的家。洋平的家並不大,就是一間普通的1K住宅,所以他們平時都寧願去三井家消磨時間。

    雖然說和洋平是在高中便認識,但三井對他的認識還是很少,不過就是這份神秘感才讓三井著迷。三井坐在地上,抬頭四看房裹的擺設,想要透過這些來進一步了解自己的男朋友。三井見電視機下面的櫃子塞滿了書本、VCD和錄影帶,便忍不住上前翻查,想看看裹面有沒有甚麼黃色書籍,卻意外地看到櫃的深處放了一排古舊的錄影帶,上面的標籤和外套都因擺放時間太久而發黃,連標籤上面的墨水字都化了起來。
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