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    oh_mita_

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    そして輝くウルトラソウッ

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    12/1の新刊ちらみせ

    #尾鯉
    koi

    げんぱろ尾鯉+ふぉぜ尾鯉 その2(尾形不在)大きな窓から、お日様の光がたっぷり入ってくる。ちょっと眩しいから背中を向けると陽に当たった体全部がぽかぽかしてきた。今日も良い天気だ。
    くぅはこの間買って貰った玩具で遊んでいる。縦長の渦巻きで上からボールを落とすとぐるぐる回って下まで落ちる。ボールの種類も幾つかあって、カラコロと音が鳴ったり、ぺったんぺったんゆっくり転がったり。くぅは色んなボールを落としては、ぐるぐるするボールにきゃっきゃとはしゃいでいた。
    ちゅん。ぴ、ちちち。
    大きな窓の向こうから、鳥の声がした。俺もくぅも耳をぴくりと震わせ窓の方へ向ける。俺たちの家はちょっと高い所にあって、時々、外の手すりに鳥がやってくるんだ。
    くぅは玩具遊びを止めてそうっと窓に近付いた。うろうろするが足音は頑張って小さくしている、音を立てたら逃げちゃうぞと教えたのをちゃんと守っているんだ。
    「ちゅんちゅん?」
    「来てるな。三匹くらいかな。」
    「くぅちゃん、ちゅんちゅんみたいー。ねーぇ、ちゅんちゅんみたいよぅ。」
    「おと、もう戻るから。音立てないで待ってな。」
    おとの背くらいに大きな窓は、下半分が曇っていて上半分が透明だ。俺がくぅをおんぶした程度じゃ全然上まで届かない。それでもくぅはおとを待っていられなくて、外の鳥をどうにかして見ようと、窓の近くをちょこまかしていた。
    おとがトイレから戻ってきた。くぅは回れ右して、おとの足の服を引っ張って訴える。
    「きぇ、きぇきぇ、きえ。」
    「なぁにくぅちゃん、どうしたの?抱っこ?」
    「んー、きえぇ、きぇえん……」
    ちゅん。丁度良く鳥が鳴いて、おとも気が付いたみたいだ。
    「あ、ベランダか。おいでくぅちゃん、お外見ようね。」
    「きぇ!」
    おとはくぅを抱っこして、窓の外が見えるようにしてあげた。くぅは大きな目をもっと大きくして鳥を見ていた。
    俺はご主人やおとが座っているふかふかのてっぺんへ上った。此処に立つと、少しだけ外が見えるんだ。でもバランスを取るのが難しいから、くぅにはまだ早い。
    鳥はやっぱり三匹居た。ちゅんちゅん、よく鳴いていた。お喋りをしているみたいだ。でもそのうち一匹が飛び立ち、次の瞬間には他の二匹も一斉に飛んで行ってしまった。
    「きぇっ」
    「ああ、行っちゃった。」
    「きぇぇ、んー、んー……きぇぇん、」
    「もうちょっと見たかったねぇ、くぅちゃん。雀さん、また来てくれるかな。」
    くぅは鳥が行ってしまったことにぐずって、おとはそんな不機嫌なほっぺたにチュッと口をつけた。おとはくぅをあやしながら窓の側に行く、俺も、おとの足元に下りる。
    「良いお天気。あ、くぅちゃん、ほらあそこ見て。電線に雀さんたくさん居る。」
    「きぇ!」
    「きっとさっきの子たちも、お友達が皆来たから、向こうへ飛んでっちゃったんだね。」
    「きぇー……」
    くぅは小さな両手を窓にくっつけて、食い入るように外を見ていた。おとは優しい顔でくぅを見下ろし、体をゆらゆらさせる。
    「ちいちいぱっぱ、ちいぱっぱ。雀の学校の先生はー、鞭を振り振りちいぱっぱ。」
    「きぇ……?」
    「雀さんのお歌だよ。古いお歌。ちいちいぱっぱ、ちいぱっぱ、」
    おとは歌に合わせてくぅの背中をトントン叩く。くぅはニコニコして、体を揺らしたり、両手を叩いたり、あっという間にご機嫌になった。
    くぅが喜ぶからおともずっと歌っていた――けど、どうも同じ音の繰り返しな気がする。さっきからずっと「ちいぱっぱ」ばっかりだ。本当は古い歌なんかじゃなくって、おとが自分で作った適当な歌なんじゃないのかなぁ。
    俺はおとの顔を見上げた、まだ「ちいぱっぱ」を繰り返している。くぅは大喜びできえきえしているけれど、俺は飽きてしまって大あくびをした。
     いい加減おとも疲れたんだろう。「じゃあまた雀さん来たら教えてね」と言って、くぅを抱っこから下ろそうとした――けど、くぅはおとの腕にむぎゅっと抱き着く。
    「きぇ!」
    「もう抱っこお終いよ。ほらくぅちゃん、おんりして。」
    「きぇぇ!」
    「くぅ、おと疲れたって。もう鳥も居ないし、いいだろ。」
    「や!だっこ!」
     俺が宥めてもくぅは全然言うことを聞かない。くぅは凄く甘えん坊だし、時々とっても我儘だ。まだ小さいから仕方ないんだけど。俺とおとは諦め顔を見合わせた。
    「もー……もうちょっとだけだからね?」
    「きーえ!」
    「だーめ、くぅちゃん。叩いたら痛いよ。抱っこしたのにどうして怒るの?」
    「きぇ!きーえ!」
     抱っこし直してもらってもくぅはまだぷりぷり怒って、おとをぺちぺち叩く。んーんー怒って体を揺すり、「お歌も?」「きぇ!」伝わってくぅは満足気だが、おとはへとへとだ。
    「もー……ちいちいぱっぱ、ちいぱっぱ。我儘クズリのくぅちゃんはー、悪い子ちゃんでちいぱっぱー。」
    「くぅちゃんのおうただ!」
     変な歌に変えてもくぅはきゃっきゃと喜んでいる。おとは困った顔して笑っていた。
     しばらくはそれで良かったけれど、やっぱり抱っこから下ろそうとすると、くぅは途端怒る。「もうだーめ。お終い。」「や!だっことおうた!」「抱っこは終わりなの。」「やー!だっこ、だっこ!」おとがいくら言ってもくぅは全然聞かなくて、もうぐちゃぐちゃだ。ここは大人の俺が仲裁してやらなきゃ。
    「今日はもう抱っこ閉店でーす。ほら私も座っちゃった、もうおしまーい。」
    「やー!ととたっちして!くぅちゃんだっこ!」
    「――ちーー、ぱっぱーーーー」
     しゃがんだおとの脚をぺちぺち叩いて泣きべそかいてるくぅの隣に立って、ふわふわの背中を、とん、とん、叩いてやりながら、俺はおとの真似をして歌った。
    「んなな、なぁーん、んなんなーーん」
     同じ音の繰り返しだから歌うのはとっても簡単だ。とはいっても、我ながら聞いてすぐ覚えられて、こんなに上手に歌えるのは中々のものじゃないか。おともくぅも驚いて目を真ん丸にしている。
     高らかに歌う俺にくぅは大きく目をぱちんとして――けらけら、笑いだした。
    「リンちゃんおうたへたっぴ!」
     ――下手
    「へ、下手な訳ないだろ!おととそっくりだった!」
    「ちがうよぉ、ととのおうたね、ちーちーぱっぱ、ちーぱっぱ。」
     くぅは笑いながら歌う……下手ではないけど、絶対俺の方が上手だ。
    「きぇーきぇーきぇっきぇ、」
    「なぁー、んなんなっなぁーーーん」
     ふっと体を撫でられて、俺はおとを見上げる。可笑しさを堪えられない顔していた……嘘だ、俺ってひょっとして、上手じゃないのか?
    「ありがとうね、リンちゃん。お歌上手だねぇ。」
    「んな……。」
     くぅは「じょうじゅくないねぇ」ところころ笑っている……納得いかない。まぁ二匹の機嫌が治ったからいいけど……いや、俺、上手だったよな?二匹は子供だから分からないんだ。後でご主人に聞いて貰わなきゃ……
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    1405Barca

    REHABILI現パロ尾鯉のギャグです。赦して。
    別に無趣味というわけではない。
    私大入学を機に都内に越してはや一年、灰の降らぬ生活にも慣れた今日この頃。ゼミに定期的に顔を出し、アルバイトも適度にこなし、サークルに入らない代わりにと近場の道場に度々足を運ぶ日常は同世代から見ても怠惰ではない。しかしながら大学生活二度目の春を迎えた鯉登音乃進にとって、それは惰性と断じる他ない日々だった。
    そもゼミ活動が本格化するのは3年次からであって、今は文献の読み方・引用のやり方など基礎的な学習であるし、アルバイトは音乃進と同じく進学と共に上京し、今では大手の営業職に就く兄から紹介された家庭教師をそれなりの頻度でこなすだけ。幼年から続けてきた示現流も、人目の多い都会の道場で猿叫することは叶わず。つまるところ、どれも時を忘れて熱中できるほどのものではないのだ。あと一年待てばゼミも本格化し憧れの鶴見教授と個人面談もあるのだが、彼のよかにせ教授は現在ロシアで調査発掘に勤しむ多忙な日々を送っていると聞く。院生でも声を掛けにくいと聞く熱中状態の鶴見教授に、ほやほやの一年目ゼミ生がアクションを起こせるはずもなく、画面びっちり敬愛と近況で埋め尽くしたメールを削除して、肌寒い春の夜風に撫でられながら音乃進は自室のパソコンの前で小さくキェェと鳴いた。
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