しゅわしゅわミントのレモネード 地下鉄の駅からすぐ、とは言えこの暑さだ。屋外へ数歩出ただけでも汗が吹き出す。店に入り、駆け寄ってくるのを「待った、着替えてからな」と制してそそくさと二階へ上がった。ボディシートで汗を拭って髪を整え、少し風を浴びてから下りる。飲食店なのだから清潔感を持たなければいけない。素敵なケーキ屋さんなら、尚更だ。
階下のドアを開けると、クズリはすぐに駆け寄ってきた。
「おきがえ、おわった?」
「ああ、お待たせ――」
すん。
クズリの小さな鼻が上を向いて、ひと嗅ぎ。すん、すん、鼻を鳴らしてきょろきょろ。すぐに匂いの元を見つけ、百之助の脚にぎゅっと抱きつくと更にすんすんと嗅ぐ。
「スース―のにおいがするっ!ひゃく、ミントつんできたの?」
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