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    6月25日発行の武新アンソロジー『漆黒の盃 朱殷の契り』に9ページ寄稿させていただきました!
    カルデアのデキてる武新で、霊基異常で母乳がアレする話です!おくちにあえばよろしくお願いします!

    #武新
    wuXin
    #母乳
    breastMilk
    #tksn_antholo

    武新アンソロ寄稿 『MILK』前半サンプル何かの偶然が重なったものと、そのようなことはあるはずがないと、思い込もうとしていたのだが。
    認めたくないが、認めざるをえない。認めなくては先に進むことができない。事実を受け入れ、目を逸らさず向き合うところから全てが始まるのだ。
    ────どうやら自分は、田中君に避けられている。

    田中新兵衛は武市瑞山の義弟であり念弟である。生前の縁の濃さゆえか、ここカルデアにも連鎖召喚の形で共に招ばれ相見えることができたのは全く僥倖であった。新たな場所で気持ちを通じ合わせるのにそう時間はかからず、じきに肌を重ねるようにもなった。関係は良好だった。乗り越えるべきものを乗り越えて今に至っているのだから、生前より良好であって当然だろう。それが、どうして────。

    「私に何か、至らない点があったのなら教えてくれないか」

    一通り考えても全く心当たりがなかった──もう十日ほど前になるか、最後の共寝でも普通の可愛がり方しかしなかったし、その後もしばらくは普段通り側に居たはずなのに、いつの間にかこうなっていたのだ。きっかけらしいきっかけというものがなかった──ので、瑞山は早々に、本人をとっ捕まえて問いただすことにした。こちらの姿が視界に入るや小川でも飛び越すかの如き歩幅で離れていくものだから確保には難儀したが、最終的には強く呼び止めて足の運びを制した。スタンのかかったように食堂前の廊下へ釘付けになった義弟は、しかしそれでもこちらへ向き直ることはせず、往生際悪く半身の構えで足元に目を落としていた。
    「先生は何も……先生が悪いわけでは、ないのです」
    申し訳ありませんとぼそぼそした声が降る。古今東西の英雄豪傑に並び立っても全く見劣りしない体躯をそびやかせ、威風堂々と胸を張って歩く彼が、今日は少しバツが悪そうに肩を丸めている。そういえば彼にしては珍しいことに服を着込んでもいる。思い返してみれば、確か昨日も、その前もだ。怪我でもしたのかと考えかけて、立ち歩きのできる程度の傷ならすぐ修復できる身であるはずだと思い直す。
    「それなら、どうして──」

    「……く、口でするだけではッ、いけませんか⁉」

    瑞山の言葉を半ば遮り、上擦って裏返りかけた声が一足飛びに横分けの前髪を揺らした。間食を楽しむ子供らで賑やかだった食堂が、水を打ったようにしんと静まり返る。何本もの視線が背中に刺さるのをありありと感じた。
    「ッ──」
    声を張り上げた張本人もまた同じ空気を感じ取ったらしく、見る間に顔面が照柿色に染まっていく。発声どころか呼吸すら二度とすまいとばかり唇を引き結んだ腹でも切りそうな面持ちに、つられてこちらの頬にまで血が上り始めるのが分かった。
    「たっ、田中君、何か……その、誤解があるようだ」
    してくれる、というのが、嬉しくないわけではない。嫌われてしまったのでなくて良かったととりあえず安心はできた。しかしそんなつもりで声を掛けたわけでは、私は決して肉欲を持て余して君を追いかけ回していたわけではないのだ、天地神明に誓って。
    「場所を変えよう。二人で話……ッ、いや、何もしないから、本当に」
    また逃げられる前にと掴んだ太い手首までが、茹で上げたように熱かった。引っ張って歩き出そうとすると、何やらふわりと甘い香りが鼻をくすぐった。今日の甘味はクリームを使った洋菓子だろうか。もう少し穏便に捕まえることができていれば、お茶をいただきながら話すことも或いは可能だったかもしれないが──この状況で彼を引っ張って食堂に入っていくというのは、いかに神経の太い自分といえど難しい。瑞山はおやつを諦め、ボイラー室方面へと義弟を伴って歩き出した。

       ◆

    サーヴァント・田中新兵衛を初めての霊基異常が襲ったのは、七日ほど前のことになる。幸いなことに生前は病と縁遠く、ほとんど医者の世話になった記憶もない新兵衛だったが、あまりに狂った異常事態に不承不承ながら医務室の戸を叩かざるを得なかった。
    「その症例はこれで十二例目だ。適当に処理していれば数日で治る。もっと珍しいのを持ってこい」
    やたらと傲岸な態度の医者は、新兵衛の話を聞くだけ聞くとろくに触りもせず──部位が部位だけに、新兵衛としても触られたいとは思わなかったが、軽んじられたようで釈然としない──手をひらひらと振って退室を促した。
    新兵衛は生来、気の長い方ではない。ただでさえ体の異常で気分の悪いところを逆撫でされ、諾々と従うような男ではない。が、新兵衛が口を開くよりほんの僅か先んじて、医者の横に控えていた女が硬質な声を発した。
    「搾っていきますか」
    問いかけの形を取りながら、その実、女の中ではそれは決定事項であるようだった。女が完全に据わった目で、ぴったりした薄手の手袋をくるくると両手に嵌めながら言うものだから、新兵衛の立腹はそれを上回る緊迫によってあっという間に霧散してしまった。
    搾られる。この女は、本気で搾るつもりだ。ここカルデアの女どもには、女らしい慎みや遠慮というものが基本的に全く期待できない。それが毛唐女全般に通ずる気質なのか、ここにいるのが女だてら英霊と見做されるまで上り詰めた女丈夫ばかりであるからなのかは確かめようもないが、やると言ったら本当にやる。召喚初日、先生にお目通りするより先に甘ったるい声をした小娘に牛車へ引き摺り込まれ、身体検査と称して爪の先から袴の下まで調べ上げられて──あの日のことはあまり思い出したくない──以来、そのことは骨身に染みていた。
    あの時の、レベル1の自分とはもちろん違う。治療のためといえど、女なんぞに体を良いようにされるなどもってのほかだ。とりわけ、こんな──男子の身でありながら子産み女のように乳汁を垂らすようになってしまった情けない乳を、ただ同じ場所に喚ばれたというだけでろくに言葉も交わしたことのない女にまさぐられるなど、日本男児としては耐えがたい屈辱であるように思われた。新兵衛は着物の前を素早く掻き合わせると、普段ほとんど活かされることのない気配遮断スキルを駆使し、初めての医務室から遁走したのであった。
    自分なりに、処理とやらを試みはした。医者の口ぶりと女の様子から察するに、要は搾り尽くしてしまえば治まるということなのだろう。しかし自己処理は遅々として進まず、新兵衛は結局、放置の道を選ばざるを得なかった。実際、放っておいても汁の垂れてくるのは数日で収まったのだ。何だ、自然のままにしておけば良かったのかと一度は安心したものの、それも束の間、今度は胸部全体が火照り、硬く張り始めた。触れてみるとところどころにごつごつとしたしこりまで発生しており、圧迫すると不快な痛みがある。作られたまま搾られなかった乳汁が詰まっているのだと、医者に聞くまでもなく理解できた。さすがによろしくないと数日ぶりに自己処理を施してはみたが、すっかり出が悪くなった乳はじわじわと滲むばかりで全く改善しない。そもそも、最初に自己処理をやめてしまったのは己の乳を搾る行為が新兵衛にとってあまりに苦痛だったためで、その苦痛は今も減じてはいないのだ。行くも地獄、行かぬも地獄────端的に言って、新兵衛は詰んでいた。

    「────なるほど。つまり、私に体を見せたくない一心で、……あんなことを」
    「……………………申し訳ありません…………」

    異常を自覚してからというもの、新兵衛は徹底的にこの義兄を避けていた。
    武市瑞山と新兵衛は男色関係にある。どうもサーヴァントの身に生身以上の力を与える魔力というやつには性行為と密接な関係があるようで、詳しいことは分からないが、きっと義兄は自分を抱くことで魔力の調整なり増幅なりを行なっているのだろうと新兵衛は理解していた。新兵衛の方にも、抱かれることで魔力が漲るような感覚が確かにあり、出力も違ってくるのだ。数日ごとの房事は義兄に常に万全の状態で戦っていただくための重要な勤めであり、それを任されるのは至上の名誉であるというのが新兵衛の解釈だった。
    求められればいつでも喜んで応じた。断るという選択肢はなかった。それはこの異常時においても同じで、断ることができないからこそ誘われないようひたすらに距離を取っていたのだ。気味の悪い汁を垂れ流す乳など、お目に入れられるはずがない。特に最近の義兄は乳を弄り回すのがお気に召している様子だったから尚更だ。
    しかしその徹底回避期間がずるずると伸びていくうち、さすがにこれはまずいと新兵衛も思い始めてはいた。こうも長引くのは想定外だったのだ。これまでの先生の平均的な頻度に照らして考えれば、既に数回分のお勤めを勝手な都合で放り出してしまった計算になる。性行為が魔力調整のために必要なのだとしたら、そろそろ先生の方に不足が出始めてもおかしくない。胸を出さずにどうにか、自分が着物を脱がずにささっと済ませられるなら、それで何とかならないだろうか──そう考えていた矢先に大きな声で呼び止められ、焦ってあのように口走ってしまったのだった。
    「重ねて言っておくが、私は決して君の体をどうこうしたくて追い回していたわけではないんだ……ただ、いつもと様子が違うから、何かあったのかと」
    「……お気遣いいただき、申し訳ありません……」
    「いや、嫌われてしまったのでなくて良かったよ。しかし、その、処理というのはそんなに辛いものなのか? 君ほどの男がを上げてしまうとは」
    義兄の指摘は尤もだ。何せ、世の母親らは有史以来例外なくこれを乗り越えて赤ん坊を育ててきたのだから。女に耐えられるものが己に耐えられぬはずはない。新兵衛とてそのように思っていたのだ、実際にやってみるまでは。
    「…………その、耐えられぬほどの痛みがあるというわけではないのですが……どうしても、精神的な抵抗というか……」
    「そういうものか……だがそのままというわけにもいくまい。見せてごらん」
    「はい……えっ、見ッ、で、ですが、先生、」
    「抵抗があるなら目を瞑っているといい」
    言いながらも義兄は早々に手袋の指先を引っ張っていて、手首の丸い骨端がまず覗いた。続いて黒の下から現れてくる仄白い剥き出しの膚に、中手骨の線が浮いた甲に、しなやかに伸びる抜き身の指に、条件反射のようにそれが己の肉体を滑る時の温度がありありと思い出されてしまって、ぞくりと背筋に不埒な感覚が走る。召喚以降ほとんどの時間をこの洒脱な洋装で過ごしている義兄が、手袋を外す瞬間というのはごく限られていた──そしてそのうちの多くが、これから新兵衛の肉をじっくりと捏ねたくり煮溶かそうという場面であった──ため、知らず知らずのうちに新兵衛の弛みきった脳にはその仕草が行為の開始の合図として刷り込まれてしまっていたらしい。
    もはや顔を上げていられなくなってしまった新兵衛は、のろのろと小袖の前を開き、腕を抜いて双肌脱ぎの格好になった。着物に染み出さないようきつく巻いてあったさらしを外せばむわりと蒸れた匂いが鼻を突き、解放感を軽く上回る羞恥で顔面に血が上るのが分かって、押し潰されるように瞼を閉じる。
    ひたりと熱でも測るように胸に添うた手が普段よりいくらか冷たく感じて、新兵衛は小さく息を詰めた。

    (続)
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    phnoch

    DONE小1しょたなかくん掌編集「たなかくんと!」より
    居候のイゾーが風邪をひき、たなかくんが拗ねる話です。

    ▼しょたなかくんシリーズの他の話はこちら▼
    https://galleria.emotionflow.com/113773/656724.html
    たなかくんとむやむやバカは風邪をひかないというのは、どうやら迷信だったらしい。さんざん雪遊びをした次の日、先生も新兵衛もぴんぴんしているのに、なぜか以蔵が熱を出した。
    「こたつで寝るのがやっぱり良くないんじゃないか」
    体温計を見ながら先生が言う。以蔵がカスカスの声でいや雪合戦のせいじゃろと口答えをする。こたつはベッドよりあったかいのに、どうして風邪をひくのだろう。よくわからないが、こたつが以蔵に占拠されなくなるなら良いことだ。
    「こたつなんぞで寝ちょっでだ。はよ自分の家に帰れ」
    「新兵衛、そういう言い方はやめなさい。病人だぞ」
    新兵衛はきゅっと身をすくめた。先生と同じことを言ったつもりだったのに、叱られてしまった。悪いのは以蔵のはずなのに。先生と以蔵はそのまま、ホケンショウはあるのかとか何とかついていけない話を始めてしまって、新兵衛は唇をへの字にしたままランドセルを掴んで外へ飛び出した。玄関がバタンと閉まった瞬間、黄色い帽子を忘れたことに気がついたけれど、取りに戻る気にはなれなかった。
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    phnoch

    DONE鞭打ち少年パロまとめ本「私の少年」より
    はしかにかかった先生に唾をもらいに行く新兵衛の話
    先生のおばあちゃんが出ます
    ▼鞭打ち少年パロの他の話はこちら▼
    https://galleria.emotionflow.com/113773/644613.html
    春にはまだ早いお熱を出すときの先生は、いつもと違う匂いがするのですぐわかる。
    体の中で何かが変わるのだろうか。何とも言えない、少しだけ古い書物にも似た匂いが混じる。その段階ではまだご自身では何も感じないようで、普段通りに元気にされている。けれどすぐにお顔があったかくなって、反対に手足が、指の先からすうっと冷たくなる。そこまでいくと具合が悪くなってくるのか、いつもよりいくらか甘えん坊になって、寒いからそっちのどてらも貸してほしいとか、足が冷えるからさすってほしいとか、お白湯を吹いて冷ましてほしいとか言い始める。
    新兵衛はそれもいやではない。先生の言葉に従って、手足のように動くのが好きなのだ。それに、どうやら自分は鈍くできているのか、熱など出すことがまるでないから、それがどれほどつらいものかわからない。先生が少しでも楽になるなら、自分は裸で過ごしたって構わないし、足も一晩中だってさするし、お白湯が水になるまで吹いたっていいと思っている。
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    phnoch

    DONE10/8まだまだ叫信のペーパーラリー企画に参加したお話です。
    はんぺ~た坊ちゃまとボディガードのたなかくんが節分の豆まきをします(季節感の死)
    坊ちゃまがたなかくんのことを犬として扱ってたりちょっと性の目覚めがあったりします。助けてください。
    鬼がくるいつもと同じ能天気な音でチャイムが鳴って、本日の授業はおしまいになってしまった。いつものようにお支度をして、お帰りの会をして、ご挨拶をして、帰らなくてはならない。帰りたくないのに。いつもと違って、家になんか全然、これっぽっちも帰りたくなかった。
    二月三日だ。国語のノートにも、算数のノートにも、連絡帳にも2/3と書いた。給食には小袋入りの炒り豆がついてきた。生活科では行事と節句について習った。今日が二月三日であることは、どう足掻いても変えられない決定事項であるらしかった。
    古い家柄のせいもあってか、武市家は年中行事を疎かにしない家である。姉の八段飾りは雛祭りが終われば速やかに片付けられるし、端午の節句が近づけば五月人形だけでなく本物の鎧兜まで蔵から出てきて飾られる。当然、節分ともなれば、一家総出でまくのだ、豆を。今朝、升に入った福豆が神棚にお供えされていたのも確認済みだ(どこからか美味しいお菓子をいただくとまず神棚にお供えされるので、半平太にはしょっちゅう神棚を確認する習慣があった)。
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