Married love ——今日こそ必ず成し遂げて見せる。
あの堅物、朴念仁、甲斐性なしを絶対にわからせてやるのだ。
幾度も繰り返し続けた決意を新たにアベンチュリンは拳を握りしめた。
レイシオとアベンチュリンが恋人になってから片手の指では足りなくなりそうなほどの月日が経ったころ、アベンチュリンはどうやら自分の恋人はひどく奥手らしいということにようやく思い至った。
仕事の都合で知り合い、少しずつ関わっていくにつれて他人だけでなく自分にも厳しい人なのだということを知った。そういう何事にも妥協を見せないストイックな面も好ましかったがなにより、その他者へ向けた厳しさがわかりにくい彼なりの優しさだと気付いてからはのめり込む様にレイシオに惹かれていった。
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