冬、二人 雪が降り、ほんのりと街が白く彩られた一月の終わり。日も落ちかけ、刺すような夕風に、手先の感覚が鈍くなる。
「関東の寒さも馬鹿にならない、ぴょん」
「深津サン、長いこと東北だって聞いてたから平気だとばかり」
「宮城よりは慣れてるぴょん」
「まぁ、雪なんて滅多に見ないからな…」
通勤カバンを手に一点を見詰め歩く人、大きなエコバッグをぶら下げた人、道行く人はみな早足で帰路へとつく。その中で、ゆっくりと一歩一歩踏み締めるように歩く二人の姿は、どこか歯痒く初々しいカップルのようにも見えた。ゆっくりと歩みを進めようが、進んでいる限り終点には近付いてしまう。
「今日一日、付き合ってもらってすんません。最近忙しそうだったのに」
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