舌「宮城、動くなピョン」
「へ?」
突然飛んできた鋭い声に思わず肩がビクつく。声の方向を見ると、マグカップに口をつけた深津が真剣な面持ちでこちらを見ていた。訳が分からなくて呆けていると、整えられた丸い爪でつんつんと唇をつつかれる。
「舌出すピョン」
「んぇ?」
何を求められているのか分からないがとりあえず言われた通りに舌をんべと出すと、深津は頬杖をつきながら満足そうに宮城の頬を撫ぜた。唇をノックされ導かれるがままに舌を動かすと、彼の白くカサついた指が舌の形をなぞる。
傷つけないよう優しく携るように滑る指が、水音を立て宮城の脳に響き、夜の甘い情事を防彿とさせるそれに腹の底に熱が集まった。
「っは…ふかつさん」
「何だピョン」
愉しそうに口内を弄りまわしている節くれ立った指を噛み、動きを止める。
「このあと予定は?」
「躾がなっていないピョン」
「深津さんが躾けてくれるんでしょ」
涼しげな顔をしていつも通りに会話を交わすその傍、熱い視線を絡ませこの後の行為を思い起こさせるかのようにゆっくりと、一回り小さい手の甲に指を這わせた。