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    カイネ

    @kainefry0

    成人済/fryとgrc・pngの夢女/腐カプ✗
    ⚠up後もたびたび作品の加筆・修正をします⚠
    fry落ち長編【二度、恋をする。】
    1〜4→ゼロ執の順番にお読みください。

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    カイネ

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    fry落ち(たまに📖沿い)
    夢主設定→教師 fryの高校の同級生 両片想いのまま卒業
    #decnプラス #decn夢

    #decnプラス
    decnPlus
    #decn夢

    二度、恋をする。46
    「それでナマエは大丈夫だったの?」澁谷の自宅マンションでコーヒーを飲みながら先日のストーカー事件が話題にあがる。『安室さんと毛利さんのおかげでなんとか…。まだ少し夜は怖いけどね。』そう言うとナマエは苦笑いを浮かべた。「だよね…。」『…夏子?』澁谷の様子に違和感を感じ、ナマエは澁谷の顔を覗き込む。「………実はさ、」

    「………なるほど。勤務先の学校から何者かに跡を付けられているような気がすると言うわけですね。」安室の問い掛けに澁谷は小さく頷いた。「…それで、調査のお願いって出来ますか?」「えぇ、もちろん。任せて下さい!」安室はそう言うとポケットから名刺ケースを取り出す。そしてそこから名刺を一枚出すと、澁谷へと差し出した。「基本、調査の報告はメールで行います。」澁谷は名刺に書かれているアドレスを見る。「わかりました。あとでこのアドレスへメール送っておきますね。」手帳へと名刺を挟み、安室を見た。安室は「お願いします」と返事を返すと、ナマエの方へと優しい視線を向ける。澁谷はそんな安室の様子を見て大きな声を上げた。「あ!ごめん、ナマエ!私ちょっと用事思い出したから帰るね!」澁谷はそう言うとナマエの返事も聞かぬ間にコーヒー代をテーブルへ置くと勢い良く席を立つ。『ちょ…夏子?!』澁谷の背中に向かって言葉を投げるも届かず、慌ただしく店を飛び出して行った。『慌ただしくてすみません。』ナマエは小さく頭を下げる。「いえいえ。…ところでナマエさん…あれからしばらく経ちますが、どうですか?」『少しずつ普段の生活に戻っては来てますが、やっぱり夜になると少し、怖いです。』カプチーノが入ったカップの縁を撫でながらそう答えたナマエは何かに気付いたようにパッと顔を上げた。『あ、安室さん!』「はい、なんですか?」『あれほど色々して貰っておきながら私…安室さんへの支払いが…!あのお幾らですか?』ナマエはそう言って鞄の中から財布を出そうとする。だが安室はにっこりと微笑み、それを制す。「ナマエさん…あれは僕が好きでやった事です。なので報酬は入りません。」『そ、そんなわけには!』ナマエ自身が気付いていないところで色々としてくれたに違いない安室に対してこればかりは引き下がれない。ナマエは強い眼差しで安室を見つめる。「……うーん…そこまでおっしゃられるのなら、そうですね。」安室は顎に手をやり、少し考える。そしていい事を思い付き、口角をあげた。「では、僕と一緒に東都水族館へ行きましょう。」『………え?東都、水族館…ですか?』「はい。少し前、話題になった二輪式の観覧車覚えてますか?」『えぇ…でもあれって事故で片側が外れませんでしたっけ?』「そうです。でも修復が済んで近々再オープンするみたいですよ。」安室はスマホ画面に出された東都水族館の公式サイトをナマエの方へと見せる。そこには再オープンの日付が大きく書かれていた。『安室さんがそれでいいなら私はかまいませんよ。』「では決まりと言う事で!」安室はそう言うと嬉しそうに残りのコーヒーを飲み干した。

    安室と東都水族館へ行く約束を交してから数日後、ナマエの元に澁谷が入院したと言う知らせが入った。ナマエは杯戸中央病院へと向かい、澁谷と面会する。思いの外、元気そうな澁谷にナマエは胸を撫で下ろした。長いしては澁谷の身体に負担がかかると思い、ナマエは1時間程で病室から出る。『(…そう言えば今日、マカデミー賞の発表だっけ?)』蘭や園子がその話題で盛り上がっていた事を思い出す。『(工藤先生がノミネートされてるんだった!)』ナマエは腕時計を見る。『(まだ間に合う…かな?)』時刻を確認するとギリギリ間に合いそうな時間だったため、ナマエは足早に病院を後にした。

    自宅に戻り、玄関の鍵を開ける。しん…と静まり返った自室へと一歩踏み出す。今までならなんとも思わなかったこの静けさが先日のストーカー事件から少し恐怖を感じるようになっていた。ナマエは慌てて中へ入り鍵をかけると、無音を消すようにテレビを付ける。チャンネルをマカデミー賞にまわすと黒人の女性が画面いっぱいに映し出されていた。荷物をソファーへ置き、手を洗いに洗面所へ向かう。用事を済ませ、戻って来ると最優秀脚本賞が発表されているところだった。「《栄えあるこの賞に輝いたのは…なんと映画の脚本を手掛けたのはこれが初めてというベストセラー作家…ナイトバロンシリーズでお馴染みのMr.ユウサク・クドウ!!作品タイトルは緋色の捜査官です!》」テレビ画面の上にも速報が出る。『工藤先生…凄い。』本を読む事が好きなナマエは優作の作品全てに目を通しており、その優作が脚本を手掛けた緋色の捜査官も劇場まで足を運び観るほど工藤優作のファンだった。司会者の質問に答える優作が画面に映し出され、挨拶を述べる。「《そして、忘れてならないのがこの緋色の捜査官のモデルとなった彼…》」「《モデルがいるんですか?》」「《ええ…困った事に今、妻がその彼に夢中でして…“イケメンで礼儀正しく、クールでダンディーで…もォFBIに置いとくにはもったいないくらーい”ーーーっと妻は申しておりました…。》」優作のお茶目なスピーチにナマエはくすりと笑みを零した。『工藤先生っておちゃめ…?』ナマエはそう呟くと夕食の準備をするため、キッチンへと向かった。

    「アダ名ちゃん先生おっはよー!」「ミョウジ先生おはようございます。」『鈴木さん、毛利さんおはようございます。』ホームルーム前、廊下で蘭達に声を掛けられ足を止める。「アダ名ちゃん先生昨日のマカデミー観た?」『えぇ、工藤くんのお父さんが最優秀脚本賞取りましたね。』「新一のお父さん凄いですよね!うちの父とは大違い。」酒を呑み、涎を垂らしながら寝ていた父親の姿を思い出し、蘭はため息をついた。『…そう言えば工藤くんから何か連絡来ましたか?』「たまに連絡を取りますが、でかい事件を追いかけてるとしか…。」『そうですか…心配ですね。自宅にも帰っていないんでしょうか?』副担任とは言え、自身の教え子が学校に来ていない事に眉を下げるナマエに園子は明るい声をあげた。「土曜日に新一くんの家の掃除に行くんだけど、アダ名ちゃん先生も行こうよ?今、新一くんの家に住んでる大学生の沖矢さんが何か知ってるかもしんないしさー!」『…うーん……………そうですね。少しでも情報を貰えたら先生としてもありがたいです。』ナマエの言葉に園子が「やった!」と喜び、腕に抱き着くと同時にホームルームのチャイムが鳴り響いた。『ささ!ホームルームが始まりますよ!』ナマエはそう言うとホームルームをするためにやって来た担任へ会釈し、職員室へと向かう。「ねぇ、園子…沖矢さんに話聞いても無駄だと思うけど…。」前に新一から“沖矢には工藤新一の事をあまり話さないで欲しい”と言われた事を思い出し、蘭は園子に耳打ちした。「あー…沖矢さんが新一くんの情報を知ってようがいまいが関係ないから!」そう言って園子はにまりと笑った。

    土曜日の昼下がり。名ナマエは蘭、園子とともに工藤邸にいた。呼び鈴を鳴らし、工藤邸で暮らす沖矢が出て来るのを待つ。しばらくすると扉の向こうからパタパタと軽い足音が聞こえ、玄関の扉が開いた。「あれ、コナンくん?」「あ、蘭姉ちゃんに園子姉ちゃん…と、ナマエお姉さん?」玄関を開けた先にナマエの姿を見つけ、コナンは首を傾げた。『こんにちは、江戸川くん。』「こんにちはー!…ところで、どうしてナマエお姉さんがここに?」コナンは蘭達を見上げ、問い掛ける。「アダ名ちゃん先生が新一くんから連絡来ないから心配って言うもんだから沖矢さんが何か知らないかなー?って思って連れて来たの!」何故か楽しそうにそう答える園子にコナンは苦笑いを浮かべる。「僕が…どうしましたか?」なかなか戻って来ないコナンの様子を見にやって来た沖矢が園子に声を掛ける。だがナマエの存在に気付いた沖矢はそちらへと顔を向けた。「…おや、そちらの女性は?」『あ、初めまして…ミョウジナマエと申します。帝丹高校で教師をしています。この子達のクラスの副担任で、今日は工藤くんの最近の様子を確認しにお邪魔しました。』そう言って頭を下げるナマエに沖矢も自己紹介をする。「沖矢昴です。東都大学の大学院に通っています。よろしくお願いします。」沖矢はスッと左手を出す。ナマエは慌てて左手を出し、握手に答えた。「あのさ…立ち話もなんだから、中に入ったら?」「それもそうだね。」コナンの提案に賛同し、工藤邸へと足を踏み入れた。

    『じゃあ直接工藤くんと連絡を取っているわけではないんですね。』「残念ながら…。お役に立てなくて申し訳ない。」沖矢の返答に肩を落とすナマエに沖矢も眉を下げる。『いえ…貴重なお時間をありがとうございました。』ナマエはそう言って深々と頭を下げた。そして蘭達が掃除をしている部屋へ行こうとした時、目の端にとある物がうつり、足を止める。「どうしましたか?」『あ、いえ…その本…。』応接室のテーブルの上に置かれたナイトバロンの本を指差す。「あぁ、ここの家主が書かれたと言うので読ませて頂いているのですよ。そう言えば、先日最優秀脚本賞を受賞されていましたね。」『そうなんですよ!…あ、ごめんなさい…私、工藤先生の大ファンでして…。そのナイトバロンシリーズも全巻読んでます。』「…ほぉー…まさか今日はナイトバロンの話が出来るとは思ってもみなかったので、嬉しいですよ。ナマエさんのおすすめは?」『私のおすすめは…』

    「ちょっと園子!遊んでないで手伝ってよ!」廊下のゴミを掃除機で吸っていたはずの園子が手を止めている事に気付いた蘭は園子へと声を掛ける。「ちょっと蘭!掃除どころじゃないわよ?!こっち来て!」ただならぬ園子の様子に蘭とコナンは園子へと近付いた。そして少し開いた応接室のドアから中を見るように促される。中では楽しそうに談笑するナマエと沖矢の姿があった。「ねぇ、あの2人見てどう思う?」「どうって…?」「初対面のわりにはもう打ち解けて話が盛り上がってるように見えない?!」「え?ま、まぁ…そう見えなくもないけど…。」園子の勢いに押され、蘭はそう答えた。「私…アダ名ちゃん先生には安室さんがお似合いだと思っていたけど、沖矢さんも捨てがたいと思うの!」園子の発言にコナンはばれないように乾いた笑みを零した。理由はわからないが安室透もとい、降谷零はナマエに執着している事を知っているコナンは頼むからそんな事を安室の前で言うなよ…と心の中で呟いた。

    沖矢との話を切り上げ、蘭達と壁一面に本が納められた書斎の掃除をしていたナマエは服の裾を引っ張られ視線を上から下へと向けた。「ねぇねぇ、ナマエお姉さん!お姉さんは学校で国語を教えてるんだよね?」『えぇ、そうよ。』「あのさ僕、宿題でよく分からないところがあって…お姉さんに教えて貰いたいんだけど、駄目かな?」コナンの手には国語ドリルが握られており、ナマエはそれを受け取る。
    パラパラとめくり、内容を確認すると『いいですよ』と返事を返した。「じゃああっちでやろー!」そう言うと、コナンはナマエの手を引き、応接室へと向かう。応接室に入ると沖矢がソファーへ腰掛け、読み掛けていたナイトバロンの続きを読んでいた。沖矢はコナンとナマエがやって来た事に気付き、本から顔をあげる。「ナマエお姉さんに宿題見て貰うんだぁ!」コナンは応接室のテーブルへドリルを広げる。『お邪魔ではないですか?』「いいえ、大丈夫ですよ。」沖矢はそう返答すると、再び本へと視線を向けた。

    『はい、正解!』最後の問題を解き終え、コナンはグッ…と伸びをした。「ナマエお姉さんありがとう!」『私は何も…江戸川くんは飲み込みが早いですね。』「あはは。(そりゃ、中身は高校生だからな。)」感心した眼差しを向けるナマエにコナンは苦笑いを浮かべる。「ねぇ、ナマエお姉さん。前から聞きたかったんだけどさ…安室さんと初めて会った時、安室さんが同級生に似てるって言ってたよね?」『え?えぇ…言ったような気がするけど。』「安室さんに似てるその同級生の名前とか…覚えてる?」変な事を聞くコナンにナマエは首を傾げるも、その質問に答える。『…えぇ、降谷零くんって男の子よ。』ナマエの口から【降谷零】の名前が出た瞬間、コナンと沖矢の肩が僅かに反応した。「その人とはどう言う関係なの?」『どう言うって…高校3年間同じクラスで、仲は良かったわね。』ナマエの答えにパズルのピースがひとつ、またひとつと集まる。「今は連絡取ったりしてないの?」『高校を卒業してからそれっきりよ?…ねぇ、どうしてそんな事聞くの?』ナマエの問い掛けにコナンは慌てて言い訳を考えるが、良い言い訳が思いつかない。「…ナマエさん…それは彼があなたに好意を抱いているからですよ。」『え?』沖矢は掛けている眼鏡を押し上げると、口角をあげる。そしてコナンの方を見ると口を開いた。「彼はあなたの事が好きだから色々知りたいんですよ。違うかな、ボウヤ?」コナンは沖矢に対して何か言いたげな様子だったが、それを飲み込むと顔をあげ、ナマエを見た。「僕、ナマエお姉さんの事がだーい好き!だからお姉さんの事、色々教えて!」そう言って、ぎゅっとナマエの身体に抱き着く。『あらら。色々教えてって言われてもねー。』困ったように頬へ手を当て考え込むナマエにコナンはさらに口を開く。「ナマエお姉さんはその人の事、好きだった?」コナンの問いかけに一瞬、目を見開く。だがすぐに目線を下へと向ける。『……“だった”じゃなくて、“今でも”が正しいかな?何故か彼の事が忘れられなくて…。…私、安室さんに彼の姿を重ね合わせているのかもしれない。』そう言ったナマエの横顔は悲しげで、コナンはそれ以上何も言う事が出来なかった。

    ○名前変換サイトで連載していた作品です○
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    カイネ

    MOURNINGpng夢(?)
    ⚠タヒネタ・夢主コロしてます 鬱展開苦手な方は注意⚠
    #decnマイナス
    書きたいひとコマを書いただけ。4⚠閲覧注意⚠目の前には同僚Aが横たわっていた。しつこく言い寄られ、ただ軽く突き飛ばしただけなのに動かなくなった同僚Aと突き飛ばした感覚の残る両手を交互に見つめ、ナマエは歯をガチガチと震わせる。どうしようどうしようどうしよう…頭の中で警告が鳴り響くが足がすくみ、身体は動かない。「ナマエ?」不意に背後から声を掛けられ、ナマエが慌てて振り返るとそこには首を傾げ、こちらを見るグレースの姿があった。『グ、グレース…わたし…どう、しよう…』今にも崩れ落ちそうな足を何とか奮い立たせ、震える手でグレースにすがればこの場の状況を瞬時に理解したグレースの瞳の色が変わった。「…まずは“コレ”をどうにかしないとね。」グレースは落ち着き払った様子で同僚Aだったモノを静かに見下ろす。この状況がまるで日常生活の一部であるかの様に錯覚するほど、平然とした態度のグレースにナマエは言葉が出ない。「彼…最近は仕事がうまくいってないって愚痴ってたわね。」『…え、えぇ…何をやっても、空回りだ…って…』「なら、自殺として処理しましょう。」同僚Aの亡骸に近付くとグレースは頭を持ち上げる。「あぁ…頭の打ち所が悪かったのね。まぁ海にでも捨てれば何とかなるわね。」パッと手を離すと同僚Aの頭が床へゴトッと落ちた。「遺書を用意して、思い詰めた様子でドライデッキの方へ向かってたとでも言っておけばどうにかなるでしょ。」変わり映えのしない潜入生活に退屈を覚えていたピンガはグレースの仮面の下でほくそ笑むとナマエの身体をそっと抱き締める。「ふふ、これでワタシ達…共犯、ね。」にっこり微笑むグレースの目の奥は一切笑っていない。ピンガは退屈な日常を壊してくれたナマエに感謝の念を抱きながら優しくナマエの髪を撫でた。「(平和ボケした奴らに囲まれてうんざりしてたところだ。せいぜい愉しませてくれよ、ナマエ。)」
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    カイネ

    MOURNINGfry夢(?)
    夢主設定→fryの部下 霊感持ち
    #decnプラス #decn夢
    霊感持ちのfryの部下がK組とわちゃわちゃする話。物心が付いた時からなんとなく生きてる人間、死んでる人間の区別はついていた。でもそれを口に出して言うと周りの大人達は皆、嫌な表情を浮かべ、冷たい視線で私を見た。それが身内であっても、だ。「気持ちの悪い子」のレッテルを貼られ、小さい頃はたびたび居心地の悪い思いをして来た。だから大人になった今では俗に言う幽霊とは一切関わらないように気を付けている。なのに…なのに…『(どうして私の上司にはあんなにたくさんの幽霊が憑いてるの!?)』こちらに背を向け、風見さんと話すのは上司の降谷零。その背後にはここ最近になって現れた4人の男の姿があった。爪楊枝を咥えたガタイのいい男はダテ。顎髭を生やした優男はモロフシ、後ろ髪が長めの色男はハギワラ。そして癖っ毛でサングラスをかけたスカした男はマツダ…と言うのが観察していて分かった名前だ。おそらく、警察関係者なのだろう。まぁこの4人…とにかくうるさいのだ。会議中だろうが、捜査中だろうがとにかく降谷さんの後ろであーだこーだと話すもんだから集中する事が出来ない。おかげで私は捜査資料を何度も読み返すハメになっている。「おい、ミョウジ!」『は、はい!』不意にこちらを振り返った降谷さんに名前を呼ばれ、姿勢を正す。「この前、頼んだやつだが…」『はい、それでしたら…』先日、降谷さんから頼まれていた資料を取り出そうと持っていた鞄に手を突っ込む。すると頭上から覗き込まれる感覚に一瞬、手が止まってしまった。「いつ見てもちんちくりんな女だな。」「えー俺は可愛いと思うけどなぁ〜?マスコットみたいで!」マツダとハギワラだ。自分達の姿が視えていないと高をくくり、いつもこうやって言いたい放題言って来る。「でも公安で働いてるって事は優秀って事だろ?なぁ、諸伏?」「そうだね…女性の登用は狭き門だと思うからここにいるって事はかなり優秀だと思うよ。」「ようするにゴリラみたいな女って事だろ?」どこをどう解釈すればそうなるのか、マツダと言う男は私に対して【ゴリラみたいな女】のレッテルを貼りたいようだ。せっかくモロフシの言葉で上がった気分もだだ下がり、私はバレないようにマツダを睨みつけた……つもりだった。「おい、お前…俺達の事が視えてるだろ?」睨みつけた先には私の視界に入る様、わざわざしゃがみ込んだマツダが居て、しっかりと目が合った。私は突然の出来事に驚き、不覚にも平静を失ってしまう。そん
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    カイネ

    MOURNING⚠🎞沿いでネタバレ注意
    夢主設定→grc(png)の同僚で恋人同士
    #decnプラス #decn夢
    書きたいひとコマを書いただけ。2パシフィック・ブイ メインルームーー…巨大なモニターの下で作業を進めるグレースにナマエは近付くと『お疲れ様』と声を掛けた。「あら、ナマエ!お疲れ様〜」グレースはにっこりと微笑むと座っていた椅子から立ち上がる。『今、直美から連絡があったんだけど、もうすぐしたら警視庁の方々がこちらに来られるそうよ。』「分かったわ。」グレースがそう返事したと同時にメインルームに繋がる大きな扉が開く。二人がそちらを見やるとパシフィック・ブイの局長を務める牧野とエンジニアである直美、そして警視庁から来たと思われる男性二名と小さな男の子がひとり、扉をくぐって中へと入って来るのが見えた。『子ども?グレース何か聞いてる?』と隣を見上げれば、グレースはさぁ?と肩をすくめる。一体、どう言う経緯で子どもが混じっているのか分からないまま、牧野によるスタッフの紹介が始まった。ナマエとグレースはよく分からないままに牧野へと近付いた。「では、メインスタッフを紹介させてください。」巨大なモニター下のコンソールまでやって来た牧野がそう言って順番にエンジニア達を紹介していく。グレース、レオンハルト、エド、直美と順番に紹介され、みな各々にアクションを返す。ナマエはグレースの陰でメインスタッフ達へ尊敬の眼差しを向けていた。「…そしてグレースの隣にいる彼女がメインスタッフのサポートをしている日本出身のナマエ。」牧野の紹介にその場にいる者の視線がナマエに注目する。まさか自分まで紹介されるとは思っていなかったナマエは慌てて背筋を伸ばし、『よ、よろしくお願いします!』と一礼した。そんなナマエに「緊張しすぎよ〜」とグレースがナマエの背中をポンと叩く。「ケッ!仕事中にイチャついてんじゃねぇぞ。」その様子を見ていたレオンハルトがボソリと悪態をつく。そんなレオンハルトにグレースは厭味ったらしい笑みを浮かべ、「あら?“ワタシ”の可愛い“彼女”がそんなに羨ましいの?」と煽る。『ちょ、グレース…』大勢の前で“彼女”と断言され、ナマエの頬が紅潮する。グレースとレオンハルトのあいだに見えない圧を感じ、困惑するナマエに同情したエドが助け舟を出した。「あのさ〜、そろそろ時間じゃない?」エドの言葉に「あっ!」と牧野が慌てて腕時計に目を落とす。そして「総員!配置につけ!」と声を張った。ナマエは紅い頬を隠すように俯くと足早に席へと戻っていく。グレースはフン
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    カイネ

    MOURNINGfry落ち(たまに📖沿い)
    夢主設定→教師 fryの高校の同級生 両片想いのまま卒業
    #decnプラス #decn夢
    二度、恋をする。【ゼロの執行人沿い】⚠1〜4を読んでからお読みください4月28日土曜日__…ナマエは干していた洗濯物を取り入れると、テーブルの上に置いていたリモコンでテレビを点けた。そしてチャンネルをまわし、普段観ているワイドショーで止める。「《無人探査機【はくちょう】が火星からのサンプル採取を終え、日本時間の5月1日、いよいよ地球に帰って来ます。》」女性アナウンサーが帰還計画図に沿って、帰還カプセルの回収方法やカプセルの説明をしている。ナマエは取り入れた洗濯物をたたむため、テレビ画面から目をそらした。「《番組の途中ですが、たった今入ったニュースです。》」顔を上げると女性アナウンサーが探査機について説明していたスタジオから切り替わり、報道局が映っていた。緊迫した様子が男性記者の表情から読み取れる。「《お伝えします。来週、東京サミットが行われる国際会議場で、先程大規模な爆発がありました。その時の防犯カメラの映像です。》」記者がそう伝えると、テレビ画面が防犯カメラの映像に切り替わる。お腹に響くような音がしたかと思うと、国際会議場が爆発し、煙に覆われた。『サミット会場で爆発だなんて…。』洗濯物をたたむ手を止め、テレビの映像を食い入るように観る。「《現場となった統合型リゾート【エッジ・オブ・オーシャン】はまだ開業前だったため利用客はいませんでしたが、サミット警備の下見をしていた警察官数人が死傷したとの情報が入っています。繰り返します。》」再び、爆発現場の映像が流れ、ナマエはただただその映像を見つめる事しか出来なかった。
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    カイネ

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    二度、恋をする。35
    帝丹高校での仕事を終え、自宅マンションへと辿り着くと郵便受けの中身をチェックする。会員登録しているデパートからのお知らせなどに交じって白い封筒が入っていた。宛名が書かれておらず、裏返してみても差出人の名前も見当たらない。ナマエは不思議に思いながらもマンションの階段を上がって行く。ヒールの音が静かにコツコツと響いた。ナマエは鞄から花柄のポーチを取り出すと、キツネのキーホルダーが付いた鍵を鍵穴に差し込む。『ただいま…。』誰もいない部屋に向かって、帰宅の挨拶をする。一日履きっぱなしのヒールを脱ぎ、洗面所へと向かった。手を洗い、うがいを済ませると着ていた服を脱ぎ、部屋着へと着替える。普段と変わらない行動なのに何故か違和感を感じ、ナマエは辺りを見渡す。だが、特に変わった様子はない。ナマエは首を傾げながら脱衣所を後にした。簡単な夕飯を作り、テレビを見ながらそれを口を運ぶ。バラエティ番組から流行りの芸人のギャグが聞こえて来る。ナマエは食べ終えた食器を持ち、流しへと向かう。洗い物を済ませ、食後のコーヒーの準備をしている時、ふと白い封筒の存在を思い出した。お湯が沸くまでまだ時間がある。ナマエは郵便物の中から白い封筒を取り出しそれを開けた。封筒の中には一枚の便箋が入っており、ナマエは恐る恐る便箋を開く。『な、に…これ…。』開いた便箋には【君のことは守るから安心して】と書かれていた。手書きではなく、パソコンで打たれた物でどんな人物が書いたのか想像出来ない。ナマエは気持ち悪さを感じ、その便箋を思わず投げ捨てた。『…ど、どうしよう。』初めての事に頭がうまく回転しない。心臓も信じられない速さで鼓動を打ち、次第に呼吸も乱れ始めた。『(落ち着け…!落ち着け…!)』早鐘を打つ胸に手を当て、必死に呼吸を整えようとしていると、ふいに安室の笑顔が脳裏に浮かんだ。ナマエは、はっとしてスマホを掴むとアドレスから【安室透】の名前を探す。だが、探している途中で、その手が止まった。本当に今すぐ安室に頼らなければならないのか?ただのイタズラではないのか?そう思い出すと気持ちがスーッと落ち着き、呼吸も普段通りに戻る。『(…安室さんだって今頃、プライベートな時間を過ごしてるんだから邪魔しちゃいけない…。)』ナマエはスマホをテーブルの上に戻すと床へ落とした手紙を拾いあげる。そしてなるべく内容は見ないようにして封筒へと直
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    カイネ

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    二度、恋をする。46
    「それでナマエは大丈夫だったの?」澁谷の自宅マンションでコーヒーを飲みながら先日のストーカー事件が話題にあがる。『安室さんと毛利さんのおかげでなんとか…。まだ少し夜は怖いけどね。』そう言うとナマエは苦笑いを浮かべた。「だよね…。」『…夏子?』澁谷の様子に違和感を感じ、ナマエは澁谷の顔を覗き込む。「………実はさ、」

    「………なるほど。勤務先の学校から何者かに跡を付けられているような気がすると言うわけですね。」安室の問い掛けに澁谷は小さく頷いた。「…それで、調査のお願いって出来ますか?」「えぇ、もちろん。任せて下さい!」安室はそう言うとポケットから名刺ケースを取り出す。そしてそこから名刺を一枚出すと、澁谷へと差し出した。「基本、調査の報告はメールで行います。」澁谷は名刺に書かれているアドレスを見る。「わかりました。あとでこのアドレスへメール送っておきますね。」手帳へと名刺を挟み、安室を見た。安室は「お願いします」と返事を返すと、ナマエの方へと優しい視線を向ける。澁谷はそんな安室の様子を見て大きな声を上げた。「あ!ごめん、ナマエ!私ちょっと用事思い出したから帰るね!」澁谷はそう言うとナマエの返事も聞かぬ間にコーヒー代をテーブルへ置くと勢い良く席を立つ。『ちょ…夏子?!』澁谷の背中に向かって言葉を投げるも届かず、慌ただしく店を飛び出して行った。『慌ただしくてすみません。』ナマエは小さく頭を下げる。「いえいえ。…ところでナマエさん…あれからしばらく経ちますが、どうですか?」『少しずつ普段の生活に戻っては来てますが、やっぱり夜になると少し、怖いです。』カプチーノが入ったカップの縁を撫でながらそう答えたナマエは何かに気付いたようにパッと顔を上げた。『あ、安室さん!』「はい、なんですか?」『あれほど色々して貰っておきながら私…安室さんへの支払いが…!あのお幾らですか?』ナマエはそう言って鞄の中から財布を出そうとする。だが安室はにっこりと微笑み、それを制す。「ナマエさん…あれは僕が好きでやった事です。なので報酬は入りません。」『そ、そんなわけには!』ナマエ自身が気付いていないところで色々としてくれたに違いない安室に対してこればかりは引き下がれない。ナマエは強い眼差しで安室を見つめる。「……うーん…そこまでおっしゃられるのなら、そうですね。」安室は顎に手をやり、少し考える。そして
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    カイネ

    MOURNINGfry落ち(たまに📖沿い)
    夢主設定→教師 fryの高校の同級生 両片想いのまま卒業
    #decnプラス #decn夢
    二度、恋をする。23
    テストも無事に終わり、ナマエは久々に【ミチクサ】を訪れていた。いつもはカウンター席に腰掛けるが、今日は窓側のテーブル席に身を置き、ノートパソコンと向き合う。テーブルの上には頼んだカプチーノと手帳にスマホ、びっちりと文字が書き込まれたノートにポーチが並んでいる。パソコンの画面とにらめっこしながらキーボードをカタカタと打ち、時折、目頭を抑えてはため息をつき、再びキーボードを打つと言う作業を繰り返す。宮本はそんなナマエに目をやりながらも自分の作業を進めて行く。他に客は居らず、ナマエの打つキーボードの微かな音と店内に流れるBGMが心地良い。『あ…』不意にナマエの口から声が漏れ、宮本はそちらを見た。ナマエはパソコンから顔をあげ、店の外へと視線を向けている。宮本は不思議に思い、窓の方へと視線を動かす。そして窓ガラスをはさんだ向こう側に1人の男が立っている事に気付いた。金色に近い髪が風になびき、男の青い瞳があらわになる。「(あいつは…)」風が強かったあの日。【ミチクサ】の向かいの歩道でナマエと抱き合っていた男だと宮本は気付き、眉間に皺が寄る。そんな宮本とは裏腹にナマエは笑顔を浮かべ、席を立った。そして荷物をそのままに宮本に一言声を掛け、店の外へと出て行く。どうやら男が外へ出て来るように合図したようで、宮本の心の中をどす黒い影がじわりじわりと侵食して行った。
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    カイネ

    MOURNING⚠🎞ネタバレ注意
    夢主設定→grcの同僚で恋人同士
    #decnプラス #decn夢
    書きたいひとコマを書いただけ。フサエブランド数量限定販売のブローチを求めてデパートへやって来た夢主と付き添いのグレース。整理券を受け取り、販売開始時間になるのをカフェで待つ。『今日はありがとう、グレース!』「ワタシも夢主とのデートを楽しめて嬉しいわ」グレースの仮面を被ったピンガがウインクをひとつ飛ばす。デートと言う単語に顔を赤らめる夢主にピンガは満足そうに笑った。「そろそろ販売開始の時間ね」グレースの言葉に夢主達はカフェを後にし、フサエブランドの店舗へと向かった。整理券を握り締め、ワクワクする夢主を隣で眺めるピンガの目元は優しく、尊い物を見つめるような瞳だった。「あの…すみません」突然、後方より声を掛けられ、振り返ったピンガの目にひとりの老婆が映る。「ブローチの販売列はここかしら?」「え、えぇ…そうよ」少し戸惑った様子で返事するグレース。変装してやがるがこのババア、ベルモットだな。ピンガは目の前で笑顔を絶やさない女の動向が読めず警戒する。だがそれ以上、話し掛けて来る様子はない。警戒しながらも楽しそうに話し掛けて来る夢主の話に耳を傾ける。そんなピンガの後ろ姿を見つめながらベルモットは口角を上げた。この子が例のKittyちゃんね…あのピンガを魅了している真っ白な子。ふふ、面白いわね。
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    カイネ

    MOURNINGfry落ち(たまに📖沿い)
    夢主設定→教師 fryの高校の同級生 両片想いのまま卒業
    #decnプラス #decn夢
    二度、恋をする。1
    【喫茶 ミチクサ】
    コーヒーの香りが漂う店内にマスターの宮本とカウンター奥に座る女性が1人。宮本はコーヒーカップを拭きながら女性へと視線を向けた。女性は真剣な眼差しを左手の文庫へと落とし、その世界にのめり込んでいるようだ。宮本にはどんな物語を楽しんでいるのかまではわ分からなかったが、女性の真剣な表情を見ているこの時間が嫌いではなかった。ふと、文庫のページが残りわずかな事に気付き、宮本の口から小さなため息が漏れた。ペラ…ペラ…と読み進められていく物語。そして女性は最後の行を読み終えると静かにそれを閉じると『ふぅ…』と息を漏らした。どうやら今、体験し終えた物語に満足しているようだ。しばらくのあいだ、余韻に浸っていたが文庫を鞄の中へ戻すとカップに残った僅かなコーヒーを飲み干しカウンターから腰をあげる。そしてレジでコーヒー代を払うと女性は『ごちそうさま』と礼を告げ、ミチクサを後にした。女性の名前は、【ミョウジ ナマエ】。帝丹高校で国語を教えており、生徒からは親しみを込めて【アダ名】ちゃん先生と呼ばれる事もあった。趣味は、静かな喫茶店を見つけてはそこで読書する事。先程まで居た【喫茶 ミチクサ】はここ最近贔屓にしている店だった。雰囲気も良く、コーヒーが美味しい。学校が休みの日はこうして米花町の喫茶店を渡り歩いている。なので、帝丹高校の学生と出会う事も少なくはない。
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    カイネ

    MOURNINGfry落ち(たまに📖沿い)
    夢主設定→教師 fryの高校の同級生 両片想いのまま卒業
    #decnプラス #decn夢
    二度、恋をする。1
    【喫茶 ミチクサ】
    コーヒーの香りが漂う店内にマスターの宮本とカウンター奥に座る女性が1人。宮本はコーヒーカップを拭きながら女性へと視線を向けた。女性は真剣な眼差しを左手の文庫へと落とし、その世界にのめり込んでいるようだ。宮本にはどんな物語を楽しんでいるのかまではわ分からなかったが、女性の真剣な表情を見ているこの時間が嫌いではなかった。ふと、文庫のページが残りわずかな事に気付き、宮本の口から小さなため息が漏れた。ペラ…ペラ…と読み進められていく物語。そして女性は最後の行を読み終えると静かにそれを閉じると『ふぅ…』と息を漏らした。どうやら今、体験し終えた物語に満足しているようだ。しばらくのあいだ、余韻に浸っていたが文庫を鞄の中へ戻すとカップに残った僅かなコーヒーを飲み干しカウンターから腰をあげる。そしてレジでコーヒー代を払うと女性は『ごちそうさま』と礼を告げ、ミチクサを後にした。女性の名前は、【ミョウジ ナマエ】。帝丹高校で国語を教えており、生徒からは親しみを込めて【アダ名】ちゃん先生と呼ばれる事もあった。趣味は、静かな喫茶店を見つけてはそこで読書する事。先程まで居た【喫茶 ミチクサ】はここ最近贔屓にしている店だった。雰囲気も良く、コーヒーが美味しい。学校が休みの日はこうして米花町の喫茶店を渡り歩いている。なので、帝丹高校の学生と出会う事も少なくはない。
    5307

    カイネ

    MOURNINGfry落ち(たまに📖沿い)
    夢主設定→教師 fryの高校の同級生 両片想いのまま卒業
    #decnプラス #decn夢
    二度、恋をする。23
    テストも無事に終わり、ナマエは久々に【ミチクサ】を訪れていた。いつもはカウンター席に腰掛けるが、今日は窓側のテーブル席に身を置き、ノートパソコンと向き合う。テーブルの上には頼んだカプチーノと手帳にスマホ、びっちりと文字が書き込まれたノートにポーチが並んでいる。パソコンの画面とにらめっこしながらキーボードをカタカタと打ち、時折、目頭を抑えてはため息をつき、再びキーボードを打つと言う作業を繰り返す。宮本はそんなナマエに目をやりながらも自分の作業を進めて行く。他に客は居らず、ナマエの打つキーボードの微かな音と店内に流れるBGMが心地良い。『あ…』不意にナマエの口から声が漏れ、宮本はそちらを見た。ナマエはパソコンから顔をあげ、店の外へと視線を向けている。宮本は不思議に思い、窓の方へと視線を動かす。そして窓ガラスをはさんだ向こう側に1人の男が立っている事に気付いた。金色に近い髪が風になびき、男の青い瞳があらわになる。「(あいつは…)」風が強かったあの日。【ミチクサ】の向かいの歩道でナマエと抱き合っていた男だと宮本は気付き、眉間に皺が寄る。そんな宮本とは裏腹にナマエは笑顔を浮かべ、席を立った。そして荷物をそのままに宮本に一言声を掛け、店の外へと出て行く。どうやら男が外へ出て来るように合図したようで、宮本の心の中をどす黒い影がじわりじわりと侵食して行った。
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    カイネ

    MOURNINGfry落ち(たまに📖沿い)
    夢主設定→教師 fryの高校の同級生 両片想いのまま卒業
    #decnプラス #decn夢
    二度、恋をする。35
    帝丹高校での仕事を終え、自宅マンションへと辿り着くと郵便受けの中身をチェックする。会員登録しているデパートからのお知らせなどに交じって白い封筒が入っていた。宛名が書かれておらず、裏返してみても差出人の名前も見当たらない。ナマエは不思議に思いながらもマンションの階段を上がって行く。ヒールの音が静かにコツコツと響いた。ナマエは鞄から花柄のポーチを取り出すと、キツネのキーホルダーが付いた鍵を鍵穴に差し込む。『ただいま…。』誰もいない部屋に向かって、帰宅の挨拶をする。一日履きっぱなしのヒールを脱ぎ、洗面所へと向かった。手を洗い、うがいを済ませると着ていた服を脱ぎ、部屋着へと着替える。普段と変わらない行動なのに何故か違和感を感じ、ナマエは辺りを見渡す。だが、特に変わった様子はない。ナマエは首を傾げながら脱衣所を後にした。簡単な夕飯を作り、テレビを見ながらそれを口を運ぶ。バラエティ番組から流行りの芸人のギャグが聞こえて来る。ナマエは食べ終えた食器を持ち、流しへと向かう。洗い物を済ませ、食後のコーヒーの準備をしている時、ふと白い封筒の存在を思い出した。お湯が沸くまでまだ時間がある。ナマエは郵便物の中から白い封筒を取り出しそれを開けた。封筒の中には一枚の便箋が入っており、ナマエは恐る恐る便箋を開く。『な、に…これ…。』開いた便箋には【君のことは守るから安心して】と書かれていた。手書きではなく、パソコンで打たれた物でどんな人物が書いたのか想像出来ない。ナマエは気持ち悪さを感じ、その便箋を思わず投げ捨てた。『…ど、どうしよう。』初めての事に頭がうまく回転しない。心臓も信じられない速さで鼓動を打ち、次第に呼吸も乱れ始めた。『(落ち着け…!落ち着け…!)』早鐘を打つ胸に手を当て、必死に呼吸を整えようとしていると、ふいに安室の笑顔が脳裏に浮かんだ。ナマエは、はっとしてスマホを掴むとアドレスから【安室透】の名前を探す。だが、探している途中で、その手が止まった。本当に今すぐ安室に頼らなければならないのか?ただのイタズラではないのか?そう思い出すと気持ちがスーッと落ち着き、呼吸も普段通りに戻る。『(…安室さんだって今頃、プライベートな時間を過ごしてるんだから邪魔しちゃいけない…。)』ナマエはスマホをテーブルの上に戻すと床へ落とした手紙を拾いあげる。そしてなるべく内容は見ないようにして封筒へと直
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