深傷に桜 ドクドクと音が鳴っているのかと錯覚するくらいの流血に、意識が朦朧としながらも医務室に向かったのを覚えている。その時の当番はちょうど瑞で、顔色を変えてこっちに向かって行ったことまでは覚えている。その後に意識がぷつりと切れてしまったけれど。
「〜…はこっちに!」
「清潔な布をもっと持ってきて!」
ドタドタと騒がしい長屋で目が覚めた。また誰か怪我をしたのかと。これ程まで喧騒が響く現場を見るのは数回目か。最初は隠岐継が寝かしつけてくれたなぁ等とうつろうつろしてる時に、丁度思い出していた相手の名前が出てきた。
「ここから先は私がやる。瑞くんは休んでいなさい。」
「…でも、隠岐継くんが……。」
「休むのも、保健委員の役目だよ。健康に1番気を使ってこその保健委員だ。」
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