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    imoyam

    @mayuka0284

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    imoyam

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    遠ちかワンドロ・ワンライ様よりお題お借りしてます。
    保バスです。
    ※うっすら事後設定です(直接描写はでてきません)

    #一カラ
    oneKaraoke

    残雪❄ふと目を覚ますと、ぼやけた視界に窓の外を見上げる背中が入る。
    あたりは既に明るく、大分寝過ごしてしまったようだ。
    日曜日だし、決まった予定も無かったけど少しもったいないような気もする。
    「…起きてたの」
    掠れた声で話しかければ、驚かせてしまったようでびくりと背中が跳ねた。
    そろそろと振り返った顔は、緊張と羞恥と気まずさを混ぜ合わせた何とも言えない表情。
    「お、おはよう、ございます…」
    それでもきちんと挨拶をするあたり、体育会系の性なんだろう。
    「おはよ…」
    しわくちゃのシーツに額をこすりつけてあくびをする。
    「腹減ったよね」
    体を起こしながら尋ねると、ぎこちなく頷いた。
    「ごはん作るから、お前シャワー浴びてきなよ」
    「あ、オレ……」
    「――それとも、一緒にはいる?」
    「えっ」
    まん丸に目を開いた顔が、お湯につけた温度計みたいに真っ赤に染まっていった。
    いちいち反応が初心でかわいい。まあ、そうでしょうけど。
    まじめな顔を保てずニヤニヤしていると、唇をとがらせて拗ねている。可愛い。
    からかうだけの意図ではないので、少しまじめな顔に戻す。
    「からだ辛いなら、手伝おうか」
    「大丈夫です! 一人で入れます!」
    ベッドから立ち上がった様子に素早く目を走らせ、おかしなところはなさそうだと少しほっとする。
    「ゆっくりでいいから。ごはん作るの、慣れてないんで」
    わざとおどけてみせると、カラ松はようやく、はにかんだ笑みを浮かべてくれた。

    エッグベネディクト、インスタントのスープ、ベビーリーフやモッツァレラチーズやプチトマトを混ぜたサラダ。
    頭からタオルをかぶったままのカラ松は、ぽかんと口を開けてテーブルの上をまじまじ見つめている。
    「これ、先生が作ったんですか? 本当に?」
    手の込んだものは作っていないが、驚きすぎじゃないだろうか。
    まあ、昼もコンビニ弁当ばかりだったし、自炊するようには見えなかったんだろう。
    「お前には物足りないかもしれないけど」
    「いえ、ありがとうございます」
    お礼を言いながらも、少し寂しそうに目を伏せている。
    多少喜んでくれるんじゃないか、なんて思っていたのに予想外の反応だ。
    「何かあった?」
    「……別に、何も」
    「じゃあ、何でちょっと泣きそうなの」
    「泣きそうって……」
    笑うのに失敗したように口元をゆがめて、それからうつむいてしまった。
    「先生は、今まで彼女とかいたんだなって思ったら、何か……」
    「……ショック?」
    黙ったままなのは肯定だろう。椅子にもまだ座っていない、所在なげな様子のカラ松にゆっくり近づいた。
    「……カラ松、こっち見て」
    のろのろと顔を上げたカラ松に、腕を広げて見せる。
    「触ってもいい?」
    「……うん」
    子猫を抱き上げるような気持ちで、まだまだ成長途中の背中を軽く抱きしめた。
    身長はもう同じくらいだけれど、子どもから大人になりかけの脆さも残した愛しい体だ。
    「先生、ごめん」
    「何で?」
    「オレは付き合うの、先生が初めてだから、何だかちょっと悲しくなったんだ」
    「――うん」
    おれたちはしばらく、黙ったまま抱き合っていた。
    きっと、言葉にしない、できない想いがたくさんあるだろう。悲しくなったの一言だけで、あとは何も言わない不器用さがいじらしい。
    「カラ松、おれはこんなに余裕ないの、初めてなんだよね」
    「え?」
    少し体を離して、しっかりと視線を合わせた。
    「未成年に手を出すとか、ありえない。教師が生徒に手を出したってニュース見るたびに、何でそんなことになるんだって正直思ってたし他人事だった」
    カラ松は黙ったままおれを見つめている。
    「大人ならちゃんとダメだって言わなきゃいけないのにね。どうしても欲しくなった」
    ぱっと頬が赤くなる。そういう素直なところも全部可愛いなんて、おれもたいがい色ボケしてる。
    「オレばっかり好きなんだって思ってました」
    「おれは早く卒業しろって思ってた。だから四月一日きのう誘った」
    まぁ正式に高校生じゃなくなる三月三十一日まで、ギリギリ何もしなかったんだからそこは褒めてほしい。誰にって言われると困るけど。
    これからのことを想像して、色々悩んだし迷った。
    けど、溶けきれなかった残雪が道端にしがみつくように、どうしてもこの気持ちは消えなかった。
    「中途半端な覚悟で抱いたわけじゃない。お前と一緒に生きていきたい」
    「せんせぇ」
    結構泣き虫なカラ松は、涙を浮かべるとぎゅっと強く抱き着いてきた。
    「――だから捨てないでね」
    「捨てるわけないっ」
    抗議する目元ににじんだ涙を指でぬぐう。
    いつかお前がおれから去ったとしても、今日のことはずっと覚えていたいと思った。
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