朝の幸せぐぐっと伸びをひとつ。
まだ頭は覚醒していない。
もう一度くっついてしまいそうな瞼。
逆らうことなく目を瞑る。
ガチャりと扉が開く音。
足音で誰だか分かる。
けどあと少し、ほんの少しだけ眠りたい気もする。
鼻をくすぐるいい香り。
きっとウィットが朝食を準備してくれたのだろう。
俺はウィットの作る手料理が大好きだ。
ゆるりと目を開ける。
「ウィット…」
目の前には極上の笑みで俺の頬を撫でる恋人。
「おはよ、クリプちゃん。まだ寝ててもいいぞ?」
欲望のままベッドに恋人を引きずり込む。
むぎゅっと全身で抱きついて、首筋に鼻を寄せる。
「はぁー、生き返る」
「くくっまだ寝ぼけてんな」
「起きてる」
「そうかい、ならそろそろ朝飯食べようぜ。クリプちゃんへの愛をたっぷり込めた俺様特製朝ごはん」
「食べたい」
「だろ?なら、そろそろ」
起き上がろうとした恋人を今度は押し倒す。
「こらっまだ朝だぞ」
顔を真っ赤に染めあげいつまでたっても可愛い反応をしてくれる恋人にキスをひとつ。
途端に溶ける瞳が堪らない。
「朝飯の前にウィットがいい」
頬を擦り合わせてウィットの髭の感触を楽しむ。
「さ、冷めちゃうだろうが」
「冷めても美味しいから大丈夫だ」
ふっと息をふきかけ囁くと跳ねる肩、染まる耳。
「ウィット」
「んっ、その声ずるい…」
「俺もお前の声好き」
首に回る腕、顔中にキスの雨を降らせる。
くすくすと嬉しそうに笑うウィットがかわいくて仕方がない。
腰に回る脚、ウィットの鍛えられた太腿の感触が心地よい。
キスを止めて見つめあう。
「食べていいか?」
「いいぜ」
唇に触れた熱に我慢の糸は切れ、目の前の恋人をいただくことにした。