理由唇を舐める仕草が好き。
唇を指で拭う仕草も。
気づけばじっと見つめている。
それはきっとー
「ウィット?」
「へ?いや、なんでもないぜ。お前が俺の手料理を美味しそうに食べてるからついついそれを見ちゃってただけだ」
「それにしちゃ、物欲しそうな目をしているが?」
「っ、何をだよ?」
「さぁな、俺もエスパーじゃないからそこまでは分からん」
こいつ絶対分かってやがる。
平静を装うために赤ワインを一口。
流石は俺、選んだワインも一級品だ。
「それで?答えはどうなんだ?」
ここで逃がしてくれないのがこいつの意地悪なところ。
でも俺の視線はついつい開かれる唇に、その耳に馴染む低音を奏でる唇に釘付けになっている。
黙ったままの俺にクリプトが手を伸ばしてきた。
いつの間にか至近距離。
無意識にごくりと喉を鳴らす。
頬から顎のラインを撫でられたあとクリプトのひとさし指が俺の唇に触れる。
触れられた箇所が熱をもつ。
「答えられないなら…お預けだ」
最後にちょんと触れられて離れていく手を掴んだ。
俺がこいつの唇を追う理由。
それはきっと
「お前が好きだ。お前とキスしたい」
欲情を隠すことなく言ってのけた。
テーブルががたりと音を立てて、喰われてしまいそうなキス。
「ん、っふ」
待ち望んだ唇は熱くて甘くて極上の果実。
静まり返った部屋に響く水音。
もっと欲しくなって俺も席を立ち、テーブルを邪魔に思いながらクリプトの頬や耳を撫でながらキスを強請る。
ますます深く激しくなる口付けに酔いしれて、頭がこいつでいっぱいになる。
痺れるほどのキスに俺の腰は抜けて唇は離れ俺は元の席へくたりと戻る。
近づいて来たクリプトにもう一声。
「美味しかったぜ」
濡れた唇を指でなぞられ背中は震え身体が続きを求める。
「俺はまだまだ喰い足りない」
腕に抱え上げられ俺はクリプトの首に抱きつきキスをする。
「もっとくれ」
それを聞いて足早になるクリプトにくすりと笑って、俺はその身を委ねた。