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    ya_so_yan

    @ya_so_yan

    9割文章のみです。勢いで書いたものを置いておきたい。後でピクシブに移すことが多いです。

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    ya_so_yan

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    テキ、ジン、ウォカ三人組、在りし日にこんなこともあったらいいな〜というお仕事のお話。
    スピリッツ乱交祭りの賑やかしに、健全な乱交(???)を書こうと思ったんですけど、結局ただの仲良しサンコイチになりました。

    ※なんか兄貴が甘いかも……(いつものこと)
    ※時代的に一部の表現が昔風になっていますが他意はありません。

     ここまで面倒なことになるとは思わなかった。


     自身の身幅より太い柱にぴたりと背中を押し付けて座り込んだウォッカは、アタッシュケースを抱きしめるように抱えながら、両側を掠めていく弾丸をやり過ごしている。

    「くそッ……おぉい、無事かァ!?」

     廃工場に響き渡る、銃声に罵声に怒声――ひどく騒々しい中、少し離れた廃材の山に向かって声を張り上げる。

    「なんとか生きとるわぁ!!」

     威勢のいいダミ声が返ってきた。物陰で大柄な体を低く伏せ、帽子を頭に押し付けながら、テキーラも同じく銃弾を避けている。


     某国での仕事の最中、ウォッカとテキーラは想定外の事態に巻き込まれていた。
     もちろん、これまで敵対する組織や捜査機関と数々の争いを繰り広げてきた二人は、あらゆる事態に備えてはいた。そうはいっても、直接自分たちとは関係ない、取引相手と対抗するマフィアが武装して襲撃してきたのは予測できなかったし、どうしようもない。取り引き自体は成立した直後だったのが不幸中の幸いだった。

    「おいテキーラ! 軽い取引だって言ってなかったかぁ!?」
    「しゃーないやろ!! 南米は治安が悪いもんや!」
    「チクショーッ! 日本を見習いやがれ!!」
    「その日本の治安乱してんのオレらやけどなぁ!! ガハハハッ!!」

     テキーラの豪快な笑い声の直後、更に豪快な爆発音が鳴り響いて、二人とも更に身を縮ませる。どちらのマフィアかはわからないが、爆弾まで持ち出したらしい。


     不運にも巻き添えとなった二人は、争い合う陣営のどちらとも敵対しているわけではなかった。だからといって、両手を挙げて出て行こうとも見逃してもらえるとは思えない。というか、既に襲ってきたどちらの陣営ともつかない数人相手に正当防衛を発動した後だ。

     ウォッカとテキーラは選択を迫られていた。
     このまま物陰に身を潜め、ほとぼりが冷めるまでやり過ごすか。
     それとも、無理矢理突破してしまうか。


    「ウォッカ、弾なんぼ残っとる!?」
    「あと4発! そっちは!!」
    「自前のタマ合わせたら5つや!!」
    「ぶっ殺すぞてめぇ!!!」
    「やめぇやめぇ、貴重な一発やろ!!」

     漫才などやっている場合でないことはお互いわかっていたが、ヤケクソだった。


     そんな中、銃声でも罵声でも爆発音でもない、気の抜けるような電子音が鳴り響いた。
     自身の懐が振動していることに気づいたウォッカは、慌てて襟に手を突っ込む。急ぐあまり取り落としそうになりながらも、取り出した携帯電話の表示を確認するや、聞こえてくる声を一言も聞き逃すまいと、耳に強く押し付けた。

    「兄貴っ!!」
    《まだくたばってなかったか、ウォッカ。上出来だ》

     聞き慣れた低い声にたまらなく心強い気分になって、頬が緩んでしまった。しかも、上出来だと褒められた。状況はひとつも好転していないのに、浮かれて跳びあがりそうだ。
     兄貴分はこちらの状況を把握しているらしい。彼ならどこかしらの情報ルートを辿って襲撃の事実を突き止めるくらい、朝飯前だろう。ウォッカは兄貴分の能力を全面的に信用していた。

    《テキーラはどうした》
    「同じく生きてます、まだ!」
    《ならそっちにも伝えとけ。西側の壁からなるべく離れとけってな。今すぐだ》
    「はい!?」

     聞き返しても返事はないまま、ぶつりと通話は切れてしまった。
     ほんの短い間しか聞こえなかった兄貴分の声を惜しみつつも、周囲の状況を確認する。今、ウォッカとテキーラがいる位置は工場の出入り口の反対側、つまり北側だ。

    「ジンの奴、なんやて!?」
    「いや、それが」

     意図のわからない伝言をテキーラにも伝えようとした、次の瞬間。



     工場西側の壁が轟音を立てて吹き飛び、大型トレーラーが突っ込んできた。






     しばらくして、周囲は静まり返っていた。
     テキーラとウォッカは、物陰から呆然と顔を覗かせて様子をうかがう。
     もうもうと粉塵が舞う中、マフィアたちを撥ね飛ばし轢き潰したトレーラーの運転席が開いて、人影が降りてくる。
     その長身のシルエットを目にして、ウォッカはサングラスの下で目を輝かせながら身を乗り出した。

    「あ、兄貴ぃ〜っ!」

     瓦礫を踏みながらやってくるジンに、弟分が駆け寄る。
     その腕に死んでも離すまいとばかりにしっかと抱えられたアタッシュケースを見とめ、ジンは切れ長の目を細めた。

    「ホォー? この状況でもきちんと“おつかい”をこなすたぁな。よくできた弟分だよ、お前は」
    「そ、そんな……当然でさぁ!」

     もはやデレデレと頬を緩ませているウォッカの後ろから、「おいコラ!」と声を荒げたテキーラが、肩をいからせてやってくる。

    「お前なぁ、無茶苦茶すんなや! いっしょくたに轢き殺す気か!?」

     長身のジンより若干ながら上背で勝るテキーラが凄んで問い詰めるも、兄貴分も弟分も一切怯まなかった。さも不思議そうに顔を見合わせた後、揃って大男を見上げる。

    「あぁ? だからウォッカに注意しただろ」
    「そうだ、兄貴はちゃんと注意してくだすったぞ」
    「……さすが息ぴったりやなぁ~、自分ら」

     早々に抗議を諦めたテキーラは、隆々とした肩をがっくりと落とす。しかしその仕草も、先程の怒り任せの抗議も、わざと大仰にしたものに過ぎず。
     黒々とした髭の生えた口元に、ニカッと笑みが浮かぶ。

    「助かったでぇ、ジン! 思い切ったことするやんけ」

     ジンもまた、口の端を吊り上げて、ハン、と短く笑い声をこぼす。

    「いつぞやのてめぇほどじゃねぇさ、テキーラ。ちょっとばかり真似をしただけだ」
    「おぉ~! そんな昔の話、よぉ覚えとったなぁ」
    「えっ……兄貴、なんですかいそりゃあ?」

     ジンとテキーラの間でだけ通じる話題に、ウォッカが好奇心を隠せず割って入る。
     テキーラの笑みが意地悪そうなものに変わった。

    「おーっと、あかんあかん。オレとジンが組んどった時の話やぞ。ひよっこには秘密や秘密!」
    「なんだと!? 誰がひよっこだ!」
    「そうだなぁ、この話はお前にはまだ早ぇかもな」
    「あ、兄貴まで……!?」

     のけ者にされたようで、ウォッカは釈然とせず、悔しさと嫉妬に口を曲げる。そんな後輩を面白がるように、ジンもテキーラも肩を揺らして笑っていた。

    「なんにしても、こんなとこでいつまでも無駄話してられねぇ。とっととズラかるぞ」

     二人を促して、ジンが足早に歩き出し、壁が崩れてできた出口へと向かう。
     ウォッカもテキーラも、それぞれに返事をして後に続こうとして――



     トレーラーの影からズタボロで息も絶え絶えの男が飛び出し、ふらつきながらも何かをジンに向かって放り投げた。



     サングラスに映ったそれが手榴弾の類だとわかった時には、既にウォッカは駆け出していた。アタッシュケースを遠くへと放り投げて。
     兄貴分に飛びつき、銀髪の頭を帽子ごと押さえつけて、無理矢理懐へと引き寄せた。背丈ではジンが勝っているが、横に幅の広いウォッカが抱きすくめてしまえば、ジンの引き締まった肢体を覆うことができる。

    「馬鹿ッ――」

     もろともに地面に伏せた拍子に、腕の中で悪態が途切れた。驚くような響きを聞いたウォッカは、兄貴分の珍しい声に満足げな笑みを浮かべる。いいものを聞けた。悔いはない。
     できるだけ己の影にジンを隠そうと、背中を丸め、太い腕でしっかりと抱き込み、身構える。

     ところが――

    「ぐえっ!?」

     爆風の熱でも衝撃でもなく、確かな質量と体温が後ろからのしかかってきて、ウォッカはその重さに悲鳴を上げた。腕の中からも、くぐもった呻きが聞こえる。
     そして、気づいた。
     己と兄貴分をすっぽりと覆うような、もっと大きな影。
     ウォッカがジンの頭を抱えるのと同じように、分厚く大きな掌が、ウォッカの頭を帽子ごと包んだ。

    「テ――」

     ウォッカの声は、爆発音にかき消された。




     耳鳴りがする。目眩もして気持ち悪い。
     しかしウォッカはなりふり構わず叫んでいた。コードネームで繰り返し呼びかけた。自分の声がやけに遠く聞こえるだけで、他の物音はまったく聞こえない。返事があるのかどうかもわからない。のしかかる重みの下で這い出そうともがくが、ビクともしない。
     しかし、自身と同じような身じろぎを腹の下で感じて、はたと動きを止めた次の瞬間。
     脇腹の下からぬうっと長い腕が伸びて、ベレッタが火を噴く銃声が微かに聞こえた。
     腕を追った視線の先、銃口の向こうで、手榴弾を投げつけてきた男が倒れるのを見た。

    「――ッカ……ウォッカ!」

     ようやく聴覚が多少働くようになって、まだ多少くぐもったようではあるが、下敷きにしている兄貴分の声が届くようになった。

    「退けッ」

     聞き慣れた声に命じられた瞬間、ウォッカの手足に不思議に力が巡った。
     瓦礫の破片が散らばるコンクリートに両手をつき、掌が切れるのも構わず渾身の力を込めて、背中にかぶさる重量ごと身体を僅かでも浮かせる。その下から猫科の獣のようにしなやかな長躯が這い出した。
     そうやって先に抜け出したジンが、弟分にのしかかっていたモノをぐいとずらす。
     ようやく圧迫感が消えた胸に息を吸い込んで、ウォッカは再度、呼びかけた。

    「テキーラ!!」

     呼びかけながら身を捩って、見下ろして、息を呑んだ。
     黒いスーツが破れて、広い背中が剥き出しになり、血と肉の色が目に飛び込む。
     ジンとウォッカを爆風から覆い隠したテキーラは、その巨躯からぐったりと力を無くしていた。


     揃いの帽子の、三つのうちひとつが、どこかへ吹き飛ばされて無くなっていた。



     ◇ ◇ ◇



     組織の息のかかった施設は、各国どこにでもある。
     この病院とてそうだ。普段は一般人相手にも対応する、ここらの地域にしては設備の整った施設だが、組織の人間が運び込まれれば、完璧な治療が施されるのはもちろん、カルテにはまったくの別人の名が記され、出来うる限り痕跡を残さない。

     そんな病院内の、一般患者を入れることはない個室を、ジンとウォッカは訪れた。



    「いや〜、ええ看護婦さんに面倒みてもろてラッキーやわぁ! これも立派な縁や、困ったことあったらいつでも連絡してきてくれ。日本に来たら案内させてや!」

     足を踏み入れる前から、既に賑やかな声は漏れ聞こえていたが、いざその発生源を目の当たりにして、ウォッカはヒクリと頬を引き攣らせた。

     ベッドからはみ出しそうな大男が、額や胴体を包帯でぐるぐる巻きにされながらも上体をしっかりと起こし、看護婦の手をでかい両手でがっしりと握っている。アドレスを書いたメモを渡しているらしい。

    「お〜、ご苦労さ〜ん!」

     黒ずくめの二人組に気づいたテキーラは、ご機嫌の笑顔のまま片手を挙げてきた。

    「あんたなぁ……」

     ウォッカは額を押さえて唸る。隣の兄貴分は無言と無表情のままだ。

     見舞客に気を利かせたのだろう、看護婦はテキーラの分厚い手の中からそっと手を引き抜き、頭を下げて引き下がる。

    「ほな、またな〜っ、ヤマダさん!」

     朗らかな声を背にそそくさと立ち去る看護婦を、すれ違いざまに盗み見ると――その頬は赤く染まり、カルテを抱えた手にはしっかりとメモを握っていた。どうやら満更でもないらしい。

    「もう名前聞き出したのかよ……」
    「日系なんやて。仕事熱心でな、おぼこくて可愛いんや。退院する時、連れて帰ってしまおかな〜」
    「ハァ……お盛んなこった。昨日丸一日寝てたとは思えねぇぜ」

     ウォッカはほとほと呆れたとばかりに溜め息をつく。しかし、半ば以上は安堵の溜め息だった。
     それを知ってか知らずか、テキーラは逞しい胸を張ってみせる。

    「かわい子ちゃんは口説かな失礼やろ! いついかなる状況でも――あ、アタタッ」
    「! おい……!」

     調子よく喋っていた怪我人が、不意に痛みを訴えてぎくりと身を強張らせたので、ウォッカは思わずベッドの傍らへ駆け寄った。
     サングラスの前で、大きな掌がヒラヒラと揺れる。

    「っ、大丈夫、だーいじょーぶや。音が派手な割にあのバクダン、大した威力とちゃうかったし。骨も内臓も、なんともあらへん」

     ニカリと浮かぶ笑顔が、強がりなのかそうでないのか、ウォッカには判断できない。
     冴えない面持ちをサングラスで隠しながら、ベッド脇の壁に立てかけられていたパイプ椅子を開いて腰掛ける。

    「……無茶するんじゃねぇよ、オッサン」
    「誰がオッサンや。っつーか、こっちのセリフじゃ、このひよっこ」
    「いでっ!」

     分厚い手が帽子の上からウォッカの頭を叩く。本人は加減したつもりだったが、バシッとそれなりの音がした。
     帽子ばかりかサングラスまでズレたので、それぞれ位置を直しながらウォッカが顔を上げると――それまで陽気だったテキーラは、少しばかり真面目な様子で眉間にシワを寄せていた。

    「お前、兄貴分の盾になる気まんまんやんけ。あんなことしてたら命がいくつあっても足りんわ――のう、ジン? 兄貴として、それでええんか?」
    「当然だろ! 俺は兄貴のお役に立つためにいるんだ、いざって時はいくらでも命張らぁ!」
    「いやウォッカ、そんな息巻いたって――あー……まあ、後でよう“教育”してもろたらええわ」
    「?」

     きょとんとしているウォッカの背後で、ジンが滲ませている気配に気づいたテキーラは、怖気付いたように目を逸らしながら、意味深に呟くだけにとどめておいた。

    「しかし、俺が兄貴を庇うのは当たり前だけどよう。あんたに庇われるなんて……」

     釈然としなさそうな呟きに、テキーラは片眉を上げる。

    「なんや、そんなに不満か?」
    「そうじゃねぇよ。その……」

     ウォッカは角度を直したばかりの帽子を軽く押さえ、サングラスで隠れた目元を更に影で隠しながら、ぼそぼそと続けた。

    「……ありがとよ、テキーラ。おかげで助かった……兄貴も、俺も」

     テキーラは目を丸くして、まじまじとウォッカを見た。
     そして――俯き加減にしていたウォッカは気づかなかったが、彼の後ろに立つジンと、しばらく顔を見合わせた。

     やがて、太い声が噴き出した。

    「ッハハハハ! 当たり前やろ? 可愛い相方と、その可愛い弟分のためや!」

     あっけらかんとした言い草に、ウォッカは悔しげなような、心強そうな、面映いような……複雑な面持ちで口元をモゴモゴさせていた。

    「それに、オレの頑丈さ舐めんなや。バクダンのひとつやふたつ、なんともないわ」
    「……まあ、殺しても死ななそうだよな、あんたなら」

     包帯に覆われた胸板を親指で指し示しながら豪語するテキーラに、ウォッカはようやく軽口を返すことができた。

    「テキーラ」

     それまで沈黙を守っていたジンが口を開いたので、テキーラだけでなく、ウォッカも振り返って長身を見上げる。
     ジンはニコリともせずに、並んで立てば自身より長身の大男を、じっと見下ろしていた。

    「てめぇがしきりに行きてぇとうるさかった例の店……予約をとってある。俺の気が変わってキャンセルされたくなきゃ、とっとと復帰するんだな」

     ぶっきらぼうな物言いに、しかし、テキーラは眩しげに眦を緩める。

    「……ほ〜、そらぁのんびり寝てられへんなぁ! 明日にでも退院せな!」

     本当にすぐにでもベッドから起き上がりそうなテキーラの勢いに、ジンは軽く鼻を鳴らし、「馬鹿野郎が」と呟いた。





     テキーラの病室を出てから、ウォッカはジンの隣に並んで廊下を歩きながら、兄貴、と声をかける。

    「さっき言ってた店なんですけど、あの……テキーラと二人で行かれるんで?」

     お伺いを立てるような質問に、切れ長の目が、じろりと弟分を見下ろす。
     サングラス越しに兄貴分へ注がれる眼差しは、口よりも雄弁で、色の濃いレンズでも遮りようがない。
     ジンは、彼より低い位置にある揃いの帽子に向かって、硬い掌を振り下ろした。本日二度目に叩かれて、ウォッカはまた「いでっ」と呻く。

    「馬鹿な弟分は連れてってやらねぇよ」
    「そ、そんなぁ!」

     哀れっぽい声にも慈悲を見せることなく、長い脚が歩調を速める。
     どたどたとついていく足音の主は、何をもって“馬鹿”だと言われたのか、なぜ兄貴分が不満げなのか、正確なところを理解していない。まして、後でこってりと“教育”されることになるなど、テキーラに警告されたにもかかわらず、想像すらしていない。
     とはいえ、それは今回の騒動をすっかり片づけた後になるだろう。
     これからしばらくは、取り引きとトラブルの事後処理で忙しくなる。その間に、テキーラも本当に復帰してくるに違いない――口にこそしないが、二人とも、彼の頑丈さを信用していた。

    「ウォッカ」

     呼ばれて、へい、と返事をして、兄貴分の端正な横顔を見上げる。
     ジンは少し遠い目をして、恐らく頭の中で今後の予定や算段をつけながら――

     そこに、ひとつ新たに加わった予定を、弟分に指示する。


    「新しい帽子をひとつ、手配しとけ」


     それを聞いたウォッカは、とびきり嬉しそうな笑顔で、先より威勢よく「へい!」と返事をした。
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