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    えくれあ

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    えくれあ

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    ふる〜てぃ〜ず“きゃろ”「きゃろ様、御機嫌よう。」
    「生徒会長、お加減いかがですか?」

     朝、下級生はもちろん、同級生でさえも振り返らせる1輪の高嶺の花はそっと咲き誇る。

    「ええ、御機嫌麗しゅう、皆様。お心遣いを嬉しく思いましてよ。」

     オルスの気高き高嶺の花、王家・旺橙苺一族のお姫様である生徒会長、旺橙苺きゃろだ。
     勉学、習い事もそつなくこなす天才肌であり、生徒、教師、両親からも信頼は厚い。

    「きゃろ様、お荷物お持ちします!」
    「ご機嫌ヨー!」
    「会長、ごきげんよう〜。」
    「ご機嫌よう……です。」

     横では幼少の頃から共に過ごす輝赤とまと。更に、生徒会の役員たち。順風満帆な学園生活を送っている

    ……ように見える。

    「そんなこともできないなんて、旺橙苺の恥になりましてよ。」
    「はい、お母様。わたくしに出来ないことなんてありません。」

     幼少期からの天才肌……よって周囲から与えられるのは期待の羨望と、自信。そのことからきゃろはかなりの自信家であると共に、完璧主義者であった。

    「我が旺橙苺一族の反映のため、わたくしの周りにはわたくしに必要のないと感じたものは徹底的に排除していくのです。だって、そんなのわたくしに似合いませんから。」

    【我が旺橙苺一族の繁栄のため】
     これがきゃろのモットーであり、親愛なる祖父や両親への恩返しであり、自身の使命と考えている。
    ーーガチャン
     放課後の生徒会室に響く、割れ物の音。

    「失礼しました、手を滑らせてしまって。」

     そう頭を下げる1人の生徒。生徒会室に掃除に来ていたきゃろと同学年のものだった。足元には……花瓶が砕けている。まるで……

    「お気になさらないで。ただ、おっとりしていらっしゃるのですね。」

    彼女ときゃろの関係のよう。
     きゃろの一言に役員たちはゾッとする。

    「割れてしまったものはしょうがなくってよ。わたくしがお引き受けしますから。」
    「は、はい…ありがとうございます。」
    「そうそう。あと…のんびりしていらっしゃる方は、わたくし苦手でございまして。」
    「はい……?」
    「……とまと、彼女は本当にのんびりしてらっしゃるのね。わたくし、説明上手ではないからでしょうか?」
    「いえ、そんなことはありません。私が彼女にお伝えしておきますので、ゆっくりとなさってください。」
    「あら、ありがとう存じます。」

     くるりと彼女へと直るとまとは、きゃろとの和やかな態度とは一変し、冷淡な態度を向ける。

    「わからないの?早く出ていきなさいよ。」
    「え、でも、掃除がまだ……。」
    「きゃろ様が貴女をお許しになったとでも?……言ってたわよね。」

    ーーのんびりしていらっしゃる方は、わたくし苦手でございまして。

    「あんたみたいなのろま、きゃろ様に必要ないのよ。早く出ていって、品がないわ。」
    「----!し、失礼しましたっ!」
    「あらあら、ごめんあそばせ。」

     掃除ひとつもできないものなど必要は無い。

    「……あら、みなさん気分が優れない様子で?申し訳ないわ、あんなにのんびりとした子がオルスにいるなんて、わたくしも驚きましてよ。それにしても、少し話し込んでしまったかしら?」

     そう言って手元のダージリンティーをコクリと飲み下すと、宣言した。

    「さあ、オルス学園高等部生徒会……ふる〜てぃ〜ずである「でぃっぷ」の活動を始めさせていただきますわ。今日も完璧に、わたくしに相応しい対応をお願いしますね。生徒会であろうと妥協はできなくてよ?」

     さあ、今日も暴君、旺橙苺きゃろの独壇場だ。
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