来年はサプライズプランでもやるんですか?「サンディさん、来てくださるでしょうか」
もう寝るのを待つばかりの状態で、ジェイドは部屋の主へと嬉しそうに呟いた。
夜も更け、眠りを待つのは彼ばかりではない。綺麗に整えられたベッドも、縁に座るジェイドがシーツを引くと滑らかに上掛けを滑らせて、二人が入り込むのを待っているようだった。
ただ一人寝る気も無ければベッドへ近寄る事もせず、黙々となにやらテーブルで作業をしていたらしい部屋の主――アズールは、その浮かれた言葉にようやくはたと顔をあげ、ベッドの方へ振り向いた。
「……何ですって?」
「ですから、サンディさんです」
「……今日、何か商談の予定でもありましたか」
「ふふふ、いやですねアズール。聡明で多岐にわたる叡智を持ち合わせる貴方が、まさかサー・サンディ・クローズもご存知ない?」
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