Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    山瀬屋

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 16

    山瀬屋

    ☆quiet follow

    詰めが甘くて色々ボヤボヤ、ご容赦ください…。特殊かもしれないですが、モブ→錦→桐
    面倒なのでモブは「最部 茂武(サイベ シゲタケ)」君と名前を付けました。モブモブ 君です。サブストとかにいたらどうしよう。魅力はあるのに結局さして他人に興味は無い錦と、一番のマブなのは言うまでもないので言葉にしないし分かりづらいけど態度には滅茶苦茶出る桐が好きですという癖文です

    #腐が如く
    #モブ錦
    pung(orKong)OfAMob
    #錦桐
    kamTung

    端役の男桐生と駄弁りながら歩いていると、聞き慣れたくもない声が俺を呼んで、思わず舌打ちをしかけた。バタバタと走ってくるそいつは、満面の笑みで俺のことを見る。

    「錦山の兄貴!奇遇ですね、こんな所でお会い出来るなんて!」
    「錦、誰だこいつは」

    桐生が不思議そうに奴の事を見る。俺が仕方なく口を開こうとすると、いつの間にか俺の隣にまで詰め寄っていた男がそれを遮って話し出す。

    「最部です、桐生…、の兄貴。最近盃を頂いたんです。…はぁ。尊敬する人は錦山の兄貴です!よろしくお願いします」

    何故か俺と桐生の間に割って入るようにして、最部は言う。桐生は最部を見て、そして俺の方を見て、ふっと笑った。

    「良かったな。良い弟分が出来て」
    「そう言って頂けて光栄です」
    「バカ、そんなんじゃねえよ」

    俺は慌てて噛み付く。良い弟分な訳がない。何が理由だったのかはもう全然覚えてないんだが、新入りのこいつが兄貴共に詰められてるところをちょっと取りなしてやったら懐いちまって今に至る。とにかく俺の行く先々で現れるし、しかも若干の執着じみた所があって、つまりは面倒臭いのだ、この最部と言う男は。付き纏われてるという言葉が正しく似合いで、つまりは俺はえらい迷惑してる。大体今俺は桐生と話してる訳で、こいつはお邪魔虫な訳で。

    「最部、今俺らは忙しいんだ、だから外せ―…、」
    「ところで、桐生の兄貴は、…錦山の兄貴と飲み分けた兄弟なんですよね?」

    最部は何故かギラギラとした目で桐生を見ていた。つうか、何で間に割って入ってくんだよ。邪魔なんだけど。

    「俺、…そういうのは何も無いけど…、でも、…兄貴のことだったら俺が誰よりも考えていますから」
    「そうなのか」
    「自負はあります。…あなたよりも、」
    「…はあ!?」

    桐生の困惑した顔より何より、俺の言葉が響き渡る。何をトンチキな事を言ってくれているのだ、こいつは。大体、その宣言何なんだよ。桐生以上の奴なんかこの世にいるか。ポッと出の、まだカタギも抜けきらねえひよっこがいい気になりやがって。

    「じゃあ、そういう事で!お忙しいところ失礼しました!錦山の兄貴、また今度。是非次は飲みに行きましょう、二人きりで!」
    「お前とは絶対に行かねえよ!」

    気色の悪い言葉を吐いて、気持ちが悪いぐらい輝く笑顔を俺に向けて、そして一瞬桐生を睨んで(何が気に入らねえのか、マジであいつ上下関係とか全然分かってないんだな)、最部は去っていった。

    「…気ィ悪くさせたならすまねえな、後でシメとくよ。あいつはちょっとイカれてる」
    「そうか?良い奴じゃねえか」
    「今のでそう思えるのって大概お前くらいのもんだぜ、兄弟」

    桐生のこういう所が何とも脱力させられる。鈍いんだか、懐が深すぎるんだか、何だか。お前って奴はよ。

    「錦のことを慕ってて、誰よりも錦のことを考えてるんだろ?なら、良い奴に決まってる」

    長く煙を吐いて桐生は言った。

    「そうか?俺は何だか気色が悪ィけどな」
    「それはちょっと可哀想なんじゃねえのか、あいつに対して」
    「仲良い訳でもなんでもねえのに付き纏われて、迷惑以外の何物でもねえよ。それに、」
    「それに?」
    「…、俺には、お前がいるだろ」

    本当は少し寂しかった。飄々とした桐生のその様が。別に慌てふためくこいつが見たかったという訳でも無いが、逆に桐生がああいう風に絡まれてる時に、俺がどんな気持ちでいるかなんてこいつは知りもしないんだろうなって、そう思っちまった。
    最もなんだかこの感情は女々しすぎて、口に出してしまった事が非常に馬鹿らしい。

    「…行こうぜ、まだ今日顔出さなきゃいけねえとこ残ってるだろ」

    俺は煙草に火を点けて、誤魔化す。桐生は少し面食らった様に俺を見ていたが、何を言うわけでもなく、俺の後を着いてきた。

    ドサ回りが終わって、ほうっとため息をつく。時刻は19時を少し回った所だ。今日は特に事務所に顔を出す必要も無く、さりとてこの後の予定も無く。

    「ああ、腹減ったなあ」
    「飯でも食うか」

    俺のぼやきに、桐生が何気なく言う。ああ、と返そうとして、ふと昼間のことを思い出す。少し意地の悪い気持ちが込み上げてきて、俺はポケベルを取り出す。

    「兄弟、俺はさっきのお前の言葉で思い直した。最部、ほら昼間会った新入りが居ただろ。奴をちょっと飲みでも連れてってやろうかと思うよ」
    「それはいいな。じゃあ一緒に、」
    「いや、あいつ二人きりで、とか言ってたし」

    悪いが、今日は他を当たってくれるか、桐生。

    そう続けると桐生はぽかんと口を開けた。申し訳無さと、胸を空くような気持ちが交差する。俺が桐生の誘いを断るなんて大抵無い話だから、驚いているに違いなかった。少しは俺の寂しさも身に沁みるだろ、そう思いながらじゃあな、と手を上げたところで肩を掴まれる。

    「錦、」
    「何だよ」
    「お前、俺に悪いとでも思ってるのか?」
    「え?」

    桐生は本当に、何でもなさそうな、それが当然だという顔をして、言う。

    「兄弟、俺は、お前が慕われてるのを見るのは悪くねえ気分だから、何も気にすることはねえ」
    「あ、ああ」
    「そして、俺は今、お前と飯を食いたい」
    「おう…、」
    「だから気にするな。最部“も”、呼べ」

    こいつ!
    俺は思わず顔をしかめた。それは、目の前の男の余りの傲慢さに、だ。つまりは桐生は、俺が自分よりも最部を優先することなんて、毛頭、頭にも無いようだった。どうりで、慌てふためくどころか酷く平静にいられる訳だ。勝手に不安になってるこっちが馬鹿みてえじゃねえか。こんなの理不尽だ。お灸を据えるって意味でも、絶対に俺は今、こいつの誘いを断らなくっちゃならない。そう思っているのに、

    「…駄目か?」

    桐生を眉を下げてそう言うと、もう俺は何にも言えなくなっちまう。

    「あー、…やっぱり、最部はいいや。今はあんまり話したいと思えねえし」
    「そうか?」
    「今日はお前が付き合ってくれるんだろ、兄弟?」
    「ああ」
    「何か食いたいの、あるか?」
    「腹にたまるもんがいいな、焼肉とか」
    「…お前、今日こそ金は持ってんだろうな」

    暗くなり始めた街はネオンが光り輝いて俺達を飲み込む。いつもの応酬をしながら、勝手知ったる夜の街を歩いていく。
    隣で桐生が笑う。俺も笑う。
    やっぱりこいつには敵わないな、なんて、そう思いながら。

    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ❤💖❤
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    山瀬屋

    MAIKINGずっと考えている救いの書きかけ、錦桐なのかひまわり兄弟なのかなかなか自分にも分からないですが製造者は錦桐が好きな人なので滲んでいるかもです…
    正史の後に、救われてほしいという願いを込めているもの、あの錦の最期の表情をずっと考えてしまう
    無題轟音が、遠くで聞こえる。
    一体、何だ。
    ああ、それは、…水か?
    そうか、水が叩き付けられる激しい音がするのだ。


    ―覚醒。


    桐生が目を開くと、視線の先に大きな滝があった。
    苔生した堅牢な岩。流れる水は飛沫を上げて流れていく。どこから来て、どこへ行くのか。滝の向こうも、流れ落ちた川の先も、霧に巻かれているかのように白んで見えない。何とも不思議なものだ。桐生は横たわる身体を起こす。柔い草の感触。背の低いその碧達に混ざって、すうっと一本、伸びている緑。座り込んで視線だけ先を追うと、そのてっぺんに太陽のような大輪の花を一つ、戴いているのが見えた。花は桐生に背を向けて、つまりは滝の方を向いて咲いている。よく見知った向日葵は、この空間に異質だった。風も無いのにたなびく草の合間から、小さな花が咲いているのも見える。同じ花だ。淡い黄色や、水色のそれだって可憐で美しい。それなのにどうしても、その絢爛な橙に惹きつけられる。うねる草原に、何にもなびくことなく、一人そびえ立つその花に。
    3251

    山瀬屋

    TRAINING錦桐。極で桐が謎スタミナン飲んで若返ってしまい錦と遭遇する?ご都合謎SS、尻切れトンボ。桐を囲う組長錦いいなっていうn番煎じ。若い桐と37錦だったらパワーバランス的にも錦の精神性安定しそうだなっておもったりする
    TOXIC「御託は良いからとっとと探せ!!」

    錦山は携帯電話越しの部下を怒鳴り付けた。その後も続く弁解を遮り、切電する。手元の端末を叩きつけたくなるのを、危うく堪えた。全くこれだけ手を尽くして探し出せないなんて大概どうかしている。桐生は間違いなく神室町近辺に潜伏しているはずなのだ。なのにどうして見つからない。クソ、どいつもこいつも、使えない奴ばかりだ。
    苛ついた気持ちを鎮めるべく、事務所を飛び出す。部下の静止は聞かなかったこととした。煙草に火を付け、紫煙を纏いながら、夜の街を彷徨う。一人で街を出歩くのは久しぶりだった。夜風が心地良いような気もする。だが頭の中は依然、沸騰しそうなほどに茹だっていた。

    足早に駆け抜ける歓楽街。雑踏と、ネオンの対比に暗む闇。そこに溶け込むような何の変哲もない路地。錦山が注意を向けたのは単なる偶然としか言えなかった。もしくは、何かの直感があったのか。ふと見つけた暗がりの奥に、あの見知ったグレースーツを捉える。背中を丸めて、どうやら逃げに逃げて走った後の一休みとでも言いたげだった。錦山はにやりと笑う。こんな偶然ってあるか。全く馬鹿げている。だが存外こんなものなのかもしれない。懐を弄ると、ずしりと重く、冷たい金属の感触が手に馴染む。足早に路地へと向かう。そしてそのままがら空きの背中に銃口を突きつけてやると、う、と小さく声を出した。
    2983

    山瀬屋

    MOURNINGトンチキな錦桐(未満?)、0の前くらい
    カラオケの扱いとか当時の音楽事情が余り分かってないですが、なんかリリースされた新曲:審判がおお…って刺さる桐20歳かわいいなって思ったというトンチキ妄想でした
    金が無い。

    とりあえず家賃と光熱費を払うので精一杯。何でこんなに金が無えのか不思議だ、と桐生は思った。今月は取り立てやらカチコミやらもあったし、それなりに小遣いも貰ったはずなのに。暫し思考するが、答えは出なかった。そのうちに頭の中に見知った長髪が現れて苦言を呈し出す。

    『そりゃあ桐生、お前ェって奴ァ、あんまりにも金に頓着が無さすぎるんだよ。稼ぐのも、使うのも、もっと頭使ってやんなきゃ駄目だ。ちょっと立ち回りゃいくらだって稼げる時代だぜ。大体お前はよ、先月も俺がいくら飯食わせてやったと…、』

    くどくどと説教を垂れる脳内の赤ジャケットを振り払う。顔を合わせれば大抵しこたま言われるのだから、何も妄想でまで怒られることもないだろう。しかし確かに、(脳内)錦の言う通りだ。桐生は余り頭を使うことが好きでなく、集金のささやかな報酬や、暴力沙汰の後に貰う親父達からの小遣いで日々を賄っている。とはいえ取り立ての取り分なんてたかがしれているし、いくら極道と言ったってそう毎日荒事があるわけでもない。一方そんな収入ながら、桐生はさして金のやりくりに興味が無かった。最も特に欲しい物がある訳でもなく、高価なものに興味があるわけでもなく。ならば多少は手元に残りそうなものだが、と桐生は首を傾げる。実際、興味が無いというのが問題で、その頓着の無さから好き勝手使い、少ない持ち金がいつの間にか消えているというのが実情だった。兎に角思い付きで無駄な買い物が多いのだ。錦から度々指摘はされるものの、ついぞ直らない。そもそも兄弟から日頃甘やかされているこの男は、いざとなれば稼いでる錦に食わせてもらえばいいや、等と潜在的に至極甘いことを考えているのだった。
    2224

    related works

    山瀬屋

    MOURNING詰めが甘くて色々ボヤボヤ、ご容赦ください…。特殊かもしれないですが、モブ→錦→桐
    面倒なのでモブは「最部 茂武(サイベ シゲタケ)」君と名前を付けました。モブモブ 君です。サブストとかにいたらどうしよう。魅力はあるのに結局さして他人に興味は無い錦と、一番のマブなのは言うまでもないので言葉にしないし分かりづらいけど態度には滅茶苦茶出る桐が好きですという癖文です
    端役の男桐生と駄弁りながら歩いていると、聞き慣れたくもない声が俺を呼んで、思わず舌打ちをしかけた。バタバタと走ってくるそいつは、満面の笑みで俺のことを見る。

    「錦山の兄貴!奇遇ですね、こんな所でお会い出来るなんて!」
    「錦、誰だこいつは」

    桐生が不思議そうに奴の事を見る。俺が仕方なく口を開こうとすると、いつの間にか俺の隣にまで詰め寄っていた男がそれを遮って話し出す。

    「最部です、桐生…、の兄貴。最近盃を頂いたんです。…はぁ。尊敬する人は錦山の兄貴です!よろしくお願いします」

    何故か俺と桐生の間に割って入るようにして、最部は言う。桐生は最部を見て、そして俺の方を見て、ふっと笑った。

    「良かったな。良い弟分が出来て」
    「そう言って頂けて光栄です」
    2632