だからシーツにケチャップを垂らせ 帰るために電車に乗るところで着信音が鳴った。タップで通話を繋げると、もうずいぶん聞きなれた声がする。
「大門くん、今日うち来ない?で、腹減ったからなんか買ってきてよ、金出すからさぁ」
突然、そうやって呼び出された大門は腹いせに、レジで購入できる中でいちばん大きな袋がぱんぱんになるほど食材を買ってきた。ふすんと鼻を鳴らしながら玄関を通り、乱暴にドブのいるリビングの扉を開ける。ドブはひらひら手を振って「いらっしゃい」などと言う。大門は舌打ちで返して、レジ袋をキッチンカウンターにどさりと置いた。
「で、何買ってきたの」
「ホットドッグ」
「えー?腹膨れねえだろ、ンなもん」
「とビール」
「大門くん、天才。さっすがぁ。惚れた。きゃあー抱いてぇー」
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