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    Thanatos_wisper

    @Thanatos_wisper

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    Thanatos_wisper

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    #akuyami
    #voxshu

    紅葉帰り道、二人肩を並べて歩く鬼と呪術師の姿があった。
    二人は紅葉の季節を迎えた道を歩いている。

    「昔は今ほど建物はなく、自然の中に家があるような所に居たときもあったな」

    ヴォックスはまぶたを閉じ、回想に浸るように空を見上げた。

    「秋になると朱や黄金色に色づいた葉が風にのって落ち、川の流れにのって山から降りてくるのだ。
    それを見ると、ああ、涼しくなったなとよく思ったものだ。
    子供は誰が一番大きな葉を見つけられるか競い合い、大人は落ち葉で子供たちに芋を焼いていたものだ」

    過去を穏やかに語り終え、ヴォックスはシュウを見つめた。
    語られた風景に思いを馳せていたシュウは素敵だね、と返事をする。

    「しかし今は、違った紅葉を見慣れ、親しんでいる」

    彼の視線は色づいた木々が規則正しく並ぶ道路に向かう。

    「昼間にみる紅葉は、華やかで活気がある。
    人々は食べ物を持ち合い、音楽を聴き、語り合う。
    しかし、私は夜の紅葉の方が好きだ。
    闇夜に隠された美しい情景に想いを馳せ、どんな姿であったか、どんな色であったか、ひとつひとつ思い出し、私は心を震わせる」

    ゆっくりと瞬いて、金色の瞳がシュウを捕らえる。

    「他の者は知らぬ、美しい景色。
    私だけが独り占めでき、味わうことのできるそれは、私の唯一の楽しみであり、至上の娯楽となった」

    「あえて夜景を選び、思いを寄せるなんて雅だね。
    何だか僕もそれを見たくなってきちゃった…」

    無邪気に笑うシュウの頬に手を当て、ヴォックスは額を当てるように顔を近づける。

    「できることなら叶えてやりたいところだが、きっと難しいだろうな。
    何故ならその紅葉は、私の目の前にあるのだから」

    その含みのある言い草に、シュウは一瞬身を強張らせた。
    彼の言いたい事は、本当に景色の事であっているのだろうか?






    『私の美しい紅葉』

    熱を持った視線で優しく、低く、目の前で囁かれる。
    言葉の指す意味を汲み取ったシュウは、首から上がかっと赤く染まり、目を見開いた。
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    Thanatos_wisper

    PROGRESS山に住む鬼の❤️と迷い込んだ💜が生活を始める話
    古い時代 かきかけ 後々R-18を含む話です

    [簡単な設定]
    💜クソガキ 呪術師見習い
    秀才と甘やかされて育ったため、それを素直に認めない大人に不満を抱いている
    食べることが唯一の楽しみ

    ❤️龍脈から記憶を読む鬼
    山の守り人のような事をしている
    人間に興味がある
    <仮>―呪術師同士の戦いで親方様が亡くなってしまった。このままでは自分も殺られてしまう。恐ろしい。恐ろしい!死してなお、自由を奪われ隷属させられるなど御免だ。遠くへ、もっと遠くへ、逃げなければ…!

    形見の数珠を手に、一人の青年が草木をかき分けて駆けていく。薄暗い月明かりの下、やがて崖のふちへと追いやられる。木々の合間から白い二頭の狐が、唸り声を出しながら姿を現した。式神だ。青年は死を覚悟した。

    捕まって死んでしまうくらいなら、いっそのこと、自分で死んだ方がましだ。こちらへ走り出した狐へ背を向けて崖から飛び降りる。ああ、死ぬ前にもっと普通に生きたかった。幼い頃に才能を認められ、名だたる呪術師と言われる男の下へ奉公するよう家から出された。それからはずっと雑用ばかり任されて、無愛想なあの老人とは師弟の関係すら結べなかった。人生とはこんなにつまらないものなのか。もっと自由に生きれたら、鳥のようにどこまでも飛んでいって、まだ知らない世の中を見れたのに。
    21113

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