Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    Thanatos_wisper

    @Thanatos_wisper

    ☆quiet follow Yell with Emoji ❤ 💜 💍
    POIPOI 36

    Thanatos_wisper

    ☆quiet follow

    ❤️💜

    #akuyami
    #voxshu

    冬支度冬に向けて、快適に家に籠もるために二人は買い物に来ていた。
    ヴォックスに連れられて、シュウはバスグッズが置いてある場所へとついていく。

    升目状に区切られおしゃれに飾られた棚に、色とりどりの香り付きの入浴剤が並んでいる。
    緑や白、ピンクや赤など、まるで花のように並んだそれらはシュウの目にも留まった。
    ”この香りはリラックスできそうだな”、”この香りは贅沢な気持ちになりたい時には良さそうだ”など、吟味しているヴォックスを見つめる。
    (少し、不思議な感じだな…。少女チックといえば失礼かもしれないから、こういう場合は高貴という言葉が似合いそうだ)
    そう考えていると、ヴォックスがシュウの視線に気づく。

    「どうした?」
    「なんでもないよ、ただ…君の持ってる薔薇の花弁のそれ、高貴な雰囲気が君とあってるなって思って」

    ”どうもありがとう”と、わざとらしく綺麗な発音で返し微笑むヴォックスは、それをカゴに入れる。

    「ふふ…そういう見方もあるな。写真を撮ったら映えるだろう、良いアイデアだ」

    ヴォックスの視線は再び他の商品へ向く。
    彼の視線の先にあるものを見つめ、再びヴォックスへと視線を戻す。
    (湯上がりの君はきっといい香りがするんだろうな…)
    ただなんとなく、ふとそう思っただけなのに、どんどんと連想が続いてしまう。
    彼の濡れた髪はまとまるのだろうか、とか、濡れた肌のまま部屋に戻るのだろうか、とか、肌と湯気から伝わる香りを想像してしまい、いたたまれない気持ちになって視線をそらせた。

    「シュウ、この白い猫のやつは、好きなんじゃないか?」
    「へっ、え?」

    ヴォックスの手に持っているのは”溶けて泡になるバブルにゃんこ”というかわいい白猫を模したものだった。

    「溶けると中から白猫がでてくるらしい。それだけではなく泡で楽しめるなんて好きなんじゃないか?」

    無邪気に笑うヴォックスに、先程までの邪念が脳内をよぎり、長く顔を見る事ができずに思わず視線が泳いでしまう。

    「泡風呂は入ったことがあるか?楽しいぞ」
    「ど、どうだったかな…」

    返事に詰まるシュウに、ヴォックスはゆっくりと近づく。
    「入ったことがないなら作ってやる。一緒に入ろう」
    「……えっ!?」

    戸惑うシュウの耳元に、ヴォックスは含みを込めた声で囁く。

    「…顔が真っ赤だぞ、シュウ。一体何を想像したんだ?」

    目の前の金の瞳がにんまりと見つめている。
    固まっていると、手を引かれ、ヴォックスが嬉しそうに話す。

    「そうと決まれば紅茶とコーヒーとおまえ好みの菓子も用意しないとな!ついでにあたたかそうなブランケットやパジャマも用意するとしようか!」
    「えっ…え、泊まる前提!?」
    「この際、全部試すまで付き合ってもらうぞ!」

    手を引かれ、まだ先の約束に向けて冬の準備をする。
    シュウはヴォックスと過ごす冬が待ち遠しくなった。


    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😊👍👍👏👏👏👏👏👏💖💖🛀🌠🌠💙👍💖💖💖💖💖💖💖💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    Thanatos_wisper

    PROGRESS山に住む鬼の❤️と迷い込んだ💜が生活を始める話
    古い時代 かきかけ 後々R-18を含む話です

    [簡単な設定]
    💜クソガキ 呪術師見習い
    秀才と甘やかされて育ったため、それを素直に認めない大人に不満を抱いている
    食べることが唯一の楽しみ

    ❤️龍脈から記憶を読む鬼
    山の守り人のような事をしている
    人間に興味がある
    <仮>―呪術師同士の戦いで親方様が亡くなってしまった。このままでは自分も殺られてしまう。恐ろしい。恐ろしい!死してなお、自由を奪われ隷属させられるなど御免だ。遠くへ、もっと遠くへ、逃げなければ…!

    形見の数珠を手に、一人の青年が草木をかき分けて駆けていく。薄暗い月明かりの下、やがて崖のふちへと追いやられる。木々の合間から白い二頭の狐が、唸り声を出しながら姿を現した。式神だ。青年は死を覚悟した。

    捕まって死んでしまうくらいなら、いっそのこと、自分で死んだ方がましだ。こちらへ走り出した狐へ背を向けて崖から飛び降りる。ああ、死ぬ前にもっと普通に生きたかった。幼い頃に才能を認められ、名だたる呪術師と言われる男の下へ奉公するよう家から出された。それからはずっと雑用ばかり任されて、無愛想なあの老人とは師弟の関係すら結べなかった。人生とはこんなにつまらないものなのか。もっと自由に生きれたら、鳥のようにどこまでも飛んでいって、まだ知らない世の中を見れたのに。
    21113

    related works