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    村人A

    @villager_fenval

    只今、ディスガイア4の執事閣下にどハマり中。
    小説やら色々流します。

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    村人A

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    フォロワーさんと話してた、「レオナがアズールに支払った対価とは?」から発展した話。
    ネタを拝借してます。この子達動かすのめちゃくちゃ難しい。文章めちゃくちゃですが、読んで下さると嬉しいです。

    #ツイステ
    twister
    #ツイステッドワンダーランド
    twistedWonderland

    対価と企みふぅ、と疲れを吐き出すような溜息が、ひとりの部屋に響く。

    書類仕事をして疲れたのか、眼鏡を一旦外して眉間を揉む。
    先程出された紅茶は、時間が経っていたのか冷えてしまっていた。
    アズールは、椅子の背もたれに体重を預けて、天井を見上げた。

    ──対価を払えば、どんな望みでも叶う。

    それがこのモストロ・ラウンジの目玉でもある。
    だが、その望みは似通った面白みのないものばかり。正直、飽き飽きしていると言っても過言ではない。

    何度目かの溜息を吐こうとした時、扉をノックする音がした。

    「…はい」
    「失礼します、アズール。お客様がお見えです」

    入ってきたのは、副寮長であり副支配人でもあるジェイドだった。
    その顔はどこか楽しげだ。

    「お客様?…依頼者ですか?」
    「ええ。ですが…少し…いえ、かなり面白いお客様ですよ。お通ししても?」
    「面白いお客様…?まぁ、誰でも構いません。お通ししてください」
    「かしこまりました。ではお通し致します」

    いつもの貼り付けた笑みに、一礼してジェイドは出て行った。
    アズールは今しがた終わった書類を纏めて引き出しにしまい、話を聞くためにソファーへ移動する。
    丁度のタイミングで、ドアがノックされた。

    「はい」
    「邪魔するぞ」
    「──レオナさん!?」

    入ってきた人物に、アズールは思わず素っ頓狂な声を上げた。
    それは同じ寮長という立場だが、学年が違うのと、正直性格の違いで出来れば関わりたく無い、3年生のレオナ・キングスカラーだったのだ。

    「……なるほど?これはこれは。確かに、予想だにしないお客様だ」
    「薄ら笑いをやめろ」
    「とりあえず、お掛けになってください。話を聞きますから」

    レオナが座り、アズールも座る。
    ドアがノックされると、見慣れた人影がふたつ。

    「失礼致します。お茶をお持ちしました」
    「あ〜!マジでトド先輩居るぅ〜」

    お茶を持ってきたジェイドと、その横に楽しそうに声を弾ませるフロイドが入ってきて、アズールとレオナの前にお茶を出す。

    「変なモンは入ってねェだろうな?」
    「心外ですねぇ。妙なものなど出しませんよ。…それより、わざわざ出向いた訳は?貴方ほどの方なら、僕に頼ることもないでしょうに」
    「そうだな。テメェの薄ら寒いおべっかを聞くのも面倒だし、さっさと用件に入るぞ。
    ──魔法薬を用意しろ」
    「魔法薬…?どういったもので?」
    「魔力増強剤だ」
    「はい?」

    アズールも、後ろに立つジェイドもフロイドも、理解出来ないという顔を並べる。
    当たり前だ。なぜなら。

    「…貴方、魔力量は問題ないどころか…寮長ともあらば、そんなものに頼る必要ないのでは?」

    レオナという生徒は、寮長になるだけあって、優れた魔法士だ。
    魔力量を増やすなど、余程の限りではないと必要にはならない。

    「俺が使うんじゃねぇ。ラギーに使う」
    「ラギーさんに?」
    「話が見えねぇな〜…コバンザメくんの魔力を増やすのに、なんでトド先輩が来るの?自分で来させりゃいーじゃん」
    「対価を払うのは俺だろ。それとも何か?“オキャクサマ”の事情を根掘り葉掘り聞くのが、ここのやり方か?」
    「……いえ。わかりました、準備しましょう。三日ほどかかりますが、構いませんか?」
    「構わねぇ」
    「かしこまりました。ではお次に…対価の話に参りますか」

    ニコリ、とそれ以上聞くのはやめて、アズールが切り出した。
    契約には対価が付き物だ。そして、アズールのユニーク魔法『黄金の契約書(イッツ・ア・ディール)』で作られた契約書なら、その対価は必ず支払われる。
    3人の出す、少し威圧的な雰囲気を何処吹く風で、レオナはポツリと口にする。

    「──ブロットを肩代わりする」
    「…は?」
    「だから。魔法薬を使ってる間の、ラギーのブロットを俺が肩代わりするって言ってんだ」

    真っ直ぐ目を見た言葉。
    しばらくの間が空くと、アズールが沈黙を破った。

    「ぷっ…あは、アッハハハハハ!!!!」
    「何が可笑しいんだ」
    「アハハ、ハハ…!とんだ献身的な対価ですねぇ?部下に魔法薬を使わせ、そのブロットを肩代わり!?聞いたことがない!アハハ…ッ」
    「アズール、爆笑じゃん」
    「いつまで笑ってんだ。出来ねぇのか」
    「フフ…いえ、出来ますよ。本当は、滅多にない貴方のお願いだから、搾り取ってやろうかと思っていたのですが…その対価を頂きましょう」

    アズールが手をかざすと、杖が出てくる。
    その杖に魔力を込めた。

    『歌は途絶え、日は落ちる。憐れな魂に慈悲の手を。さあ、取引だ!
    ──黄金の契約書(イッツ・ア・ディール)!』

    眩い黄金に光るその紙を、アズールはレオナに向けて置く。
    そこには、希望のものとその対価についてが書かれていた。

    「さ、こちらでお間違いないですか?なければサインを」

    魚の骨を象ったペンを出し、それをレオナに渡す。
    レオナは契約書に目を通すと、サインをした。

    「契約成立ですね。では、これは大切に保管させていただきますよ」
    「一回限りの対価なのにか?」
    「ええ。貴方が契約に来たのなんて、初めてですからね。フフ」
    (…脅しか強請にでも使うつもりか?面倒だが…今はどうにも出来ねェな)
    「では、本日はありがとうございました。約束の品は、出来次第お持ち致します」
    「結構だ。三日後取りに来る」
    「ほう?分かりました。ではお待ちしてます。ジェイド、フロイド。お客様がお帰りです。お見送りを」
    「かしこまりました」
    「はぁ〜い」

    要らないと言いたいが、それで引く男では無いことをレオナは理解していて、ただ舌打ちだけ返して踵を返す。

    「では、お待ちしております」
    「またねぇ、トド先輩」

    礼をするジェイドと、ニコニコして手を振るフロイドを一瞥だけして、レオナは寮へと帰って行った。

    そして三日後。
    アズールの手元には、約束の魔法薬があった。彼らしい、完璧な出来栄えのそれを、渡す相手を待つ。
    コンコン、とドアがノックされる。

    「はい」
    「失礼するッスよ」
    「ラギーさん?貴方が直接来たんですか」
    「まぁ。レオナさんが、海の中は肌に合わないって言い出して、代わりに来たッス。…ところで、魔法薬は?」
    「こちらに。お渡し致します」
    「ありがとッス!アズールくんの作ったものなら、完璧ッスね〜」
    「フフ。お褒めに預かり光栄です」

    シシシッ、といつものように笑うラギーに、アズールも微笑み返す。

    「じゃ、オレはこれで」
    「ええ。またどうぞ」

    その後。世界から注目を向けられる、マジフト大会。そこで起こった事件は、観客が急に走り出して会場をめちゃくちゃにしたという事件で、他の関係者の尽力で死傷者はひとりも出なかったらしい。
    だが、学園内には事実が残る。

    ──3年のレオナ・キングスカラーが、オーバーブロットしたらしい。

    マジフト大会の選手として出ていた双子から話を聞いたアズールは、VIPルームで大笑いした。

    「なるほど!やってくれましたねぇ、レオナさんは!!」
    「ねぇ、良かったの、アズール?」
    「何がです?」
    「だってさぁ、コバンザメくんとトド先輩が使ったのって、アズールが作った魔法薬じゃねぇの?」
    「問題ありませんね。だって──『僕たちは何も知らない』でしょう?」

    人差し指を口に当て、妖しく笑うアズールに、ジェイドは「なるほど」と声を零した。

    「だから、あの時はそれ以上聞かなかったのですね」
    「ええ。きっと、ラギーさんのユニーク魔法を観客に向けて使ったのでしょう。確かにあの魔法薬があれば、多少の無茶は効く。ですが、そんな規模で使えばどうなるか…分からない頭ではないだろうに…フフッ、傑作ですね」
    「あまり動揺した様子もなかったのに、少し魔法を使っただけでオーバーブロットしたと見るに…中々の魔力を使ったようですしね」
    「動揺だけが負の感情だとは限りませんよ。…ふ、策士策に溺れる、ということですね」

    ふぅ、と息を吐き、仕切り直しと言いたげに軽く手を叩く。

    「さ、それより。今からテストでまた忙しくなりますよ。ジェイド、フロイド。手筈は?」
    「フフ。人の噂というのは恐ろしいですね。きっともう、半分程伝わってるんじゃないでしょうか」
    「多分、1年生に伝われば、後は早いんじゃない?」
    「ええ。なにせ、目的のターゲットは、何も知らない1年生が主です。気を抜かず、遂行してください」
    「はい」
    「はぁ〜い」

    オクタヴィネルのVIPルームで、人知れず進む計画。
    それを知る3人だけがほくそ笑む。

    マジフト大会が終わり、次に来るのはテスト。
    それが学園全体を巻き込む、大事件にまで発展することは──

    ──まだ、誰も知らない。


    終わり
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    LastQed

    Deep Desire【悪魔に愛はあるのか】の後日談として書きました。当社比アダルティーかもしれません。煩悩まみれの内容で上げるかどうか悩むレベルの書き散らしですが、今なら除夜の鐘の音に搔き消えるかなと駆け込みで年末に上げました。お許しください…【後日談】


    「やめ……フェンリッヒ……!」

    閣下との「戯れ」はようやくキスからもう一歩踏み込んだ。

    「腰が揺れていますよ、閣下」
    「そんなことな……いっ」
    胸の頂きを優しく爪で弾いてやると、我慢するような悩ましげな吐息でシーツが握りしめられる。与えられる快感から逃れようと身を捩る姿はいじらしく、つい加虐心が湧き上がってしまう。

    主人と従者。ただそれだけであったはずの俺たちが、少しずつほつれ、結ばれる先を探して今、ベッドの上にいる。地獄に蜘蛛の糸が垂れる、そんな奇跡は起こり得るのだ。
    俺がどれだけこの時を待ち望んでいたことか。恐れながら、閣下、目の前に垂れたこの細糸、掴ませていただきます。

    「閣下は服の上から、がお好きですよね。着ている方がいけない感じがしますか?それとも擦れ方が良いのでしょうか」
    衣服の上から触れると肌と衣服の摩擦が響くらしい。これまで幾度か軽く触れ合ってきたが素肌に直接、よりも着衣のまま身体に触れる方が反応が良い。胸の杭だけはじかに指でなぞって触れて、恍惚に浸る。

    いつも気丈に振る舞うこの人が夜の帳に腰を揺らして快感を逃がそうとしている。その姿はあまりに 2129

    LastQed

    DONEディスガイア4で悪魔一行が祈りに対して抵抗感を露わにしたのが好きでした。そんな彼らがもし次に祈るとしたら?を煮詰めた書き散らしです。【地獄の祈り子たち】



    人間界には祈る習慣があるという。どうしようもない時、どうすれば良いか分からぬ時。人は祈り、神に助けを乞うそうだ。実に愚かしいことだと思う。頭を垂れれば、手を伸ばせば、きっと苦しみから助け出してくれる、そんな甘い考えが人間共にはお似合いだ。
    此処は、魔界。魔神や邪神はいても救いの手を差し伸べる神はいない。そもそも祈る等という行為が悪魔には馴染まない。この暗く澱んだ場所で信じられるのは自分自身だけだと、長らくそう思ってきた。

    「お前には祈りと願いの違いが分かるか?」

    魔界全土でも最も過酷な環境を指す場所、地獄──罪を犯した人間たちがプリニーとして生まれ変わり、その罪を濯ぐために堕とされる地の底。魔の者すら好んで近付くことはないこのどん底で、吸血鬼は気まぐれに問うた。

    「お言葉ですが、閣下、突然いかがされましたか」

    また始まってしまった。そう思った。かすかに胃痛の予感がし、憂う。
    我が主人、ヴァルバトーゼ閣下は悪魔らしからぬ発言で事あるごとに俺を驚かせてきた。思えば、信頼、絆、仲間……悪魔の常識を逸した言葉の数々をこの人は進んで発してきたものだ。 5897

    LastQed

    DOODLE主人に危機感を持って貰うべく様々なお願いを仕掛けていくフェンリッヒ。けれど徐々にその「お願い」はエスカレートしていって……?!という誰もが妄想した執事閣下のアホエロギャグ話を書き散らしました。【信心、イワシの頭へ】



    「ヴァルバトーゼ閣下〜 魔界上層区で暴動ッス! 俺たちの力じゃ止められないッス!」
    「そうか、俺が出よう」

    「ヴァルっち! こないだの赤いプリニーの皮の件だけど……」
    「フム、仕方あるまいな」

    何でもない昼下がり、地獄の執務室には次々と使い魔たちが訪れては部屋の主へ相談をしていく。主人はそれに耳を傾け指示を出し、あるいは言い分を認め、帰らせていく。
    地獄の教育係、ヴァルバトーゼ。自由気ままな悪魔たちを良く統率し、魔界最果ての秩序を保っている。それは一重に彼の人柄、彼の在り方あってのものだろう。通常悪魔には持ち得ない人徳のようなものがこの悪魔(ひと)にはあった。

    これが人間界ならば立派なもので、一目置かれる対象となっただろう。しかし此処は魔界、主人は悪魔なのだ。少々横暴であるぐらいでも良いと言うのにこの人は逆を征っている。プリニーや地獄の物好きな住人たちからの信頼はすこぶる厚いが、閣下のことを深く知らない悪魔たちは奇異の目で見ているようだった。

    そう、歯に衣着せぬ言い方をしてしまえば、我が主人ヴァルバトーゼ様は聞き分けが良過ぎた。あくまでも悪魔なので 7025

    LastQed

    BLANK【5/24 キスを超える日】ほんのり執事閣下【524】



     かつてキスをせがまれたことがあった。驚くべきことに、吸血対象の人間の女からだ。勿論、そんなものに応えてやる義理はなかったが、その時の俺は気まぐれに問うたのだ。悪魔にそれを求めるにあたり、対価にお前は何を差し出すのだと。
     女は恍惚の表情で、「この身を」だの「あなたに快楽を」だのと宣った。この人間には畏れが足りぬと、胸元に下がる宝石の飾りで首を絞めたが尚も女は欲に滲んだ瞳で俺を見、苦しそうに笑っていた。女が気を失ったのを確認すると、今しがた吸った血を吐き出して、別の人間の血を求め街の闇夜に身を隠したのを良く覚えている。
     気持ちが悪い。そう、思っていたのだが。
     ──今ならあの濡れた瞳の意味がほんの少しは分かるような気がする。

    「閣下、私とのキスはそんなに退屈ですか」
    「すまん、少しばかり昔のことを思い出していた」
    「……そうですか」

     それ以上は聞きたくないと言うようにフェンリッヒの手が俺の口を塞ぐ。存外にごつく、大きい手だと思う。その指で確かめるよう唇をなぞり、そして再び俺に口付けた。ただ触れるだけのキスは不思議と心地が良かった。体液を交わすような魔力供給をし 749