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    LastQed

    @LastQed

    文字を書き散らす、しがない愛マニア。
    【❤︎】
    ディスガイア▶︎フェンヴァル/ヴァルフェン
    コーヒートーク▶︎ガラハイ

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    LastQed

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    5/23 🐺🦇キスの日らくがき。
    「キスしたい/してほしい」の一言が言えない悪魔たち、たまらなく可愛いですね。

    #執事閣下
    deacon
    #フェンヴァル
    fenval
    #ディスガイア4
    disgaea4

    噛み付くようにキスをして【噛み付くようにキスをして】



     戦闘の終わり。くすぶっているのは鈍色に光る天羽々斬だけではない。込み上げる高揚感はこれでは到底おさまらない、物足りない。けれど迎え撃つべき相手はもう此処にはいない。奇襲をかけて来た悪魔たちは今しがた倒し切ってしまった。手持ち無沙汰に剣で空(くう)を裂けば赤い魔力が稲妻のように走り、尾を引いて消えた。息を吸い、鋭く吐く。

     最近はといえば、どうにも張り合いのない者ばかり。断罪者ネモの一件以来、やはり魔界全土の悪魔たちの質が落ちてしまったのではないか、そんな不安とも不満とも表現される気持ちが込み上げたが、それは魔力を失い弱体化した自身にも当てはまることで、あえて口にすることはしなかった。

     此処は魔界辺境の地、地獄。こちらから喧嘩を売りに行くほど血気盛んではないものの、売られた喧嘩は大いに買う。俺たちは悪魔としての戦闘本能をやはり携えていて、暴を競い合う定めにあるのだと思い知る。我らが居城へと乗り込んできた不敬者たちの舞踏の相手を終え、途端に静かになった地獄で主人と従者は顔を見合わせる。

    「手応えのない連中ばかりですね」

     胸中を代弁するかのよう彼は笑う。続けてなされる目配せの意味を悟れば、鳴らないはずの心音がとくんと高鳴った気がした。

    「私としてはいささか物足りないのですが……ヴァル様はいかがですか?」
    「……誰かが起きて来たらどうする」
    「起きやしませんよ。あれだけ音を立てて暴れても目を覚まさなかった寝汚い者どもです」

     それとも、お部屋に行きますか? そう問う狼男の口元を見つめれば瞬く間に距離を詰められて、互いの唇が触れ合った。柔らかな心地の良さに吐息が漏れ、それを塞ぐようにまた口付けが落とされる。気持ちが良くて、上手く息が出来なくて……口で息をしては塞がれる、そのいたく単純な繰り返しが無性に癖になった。

     俺が戦闘の昂りを持て余す、そんな時、いつもフェンリッヒはキスを求めた。……いや、求めたと言うと大いに語弊がある。この男は自ら求めるふりをして、俺が欲しいものを何食わぬ顔で寄越すのだ。「物足りない」などと宣うくせ、慈しむようになされる穏やかな接吻は優し過ぎてじれったい。そこまで俺を立てるなら、こちらが勘違いするほどに完璧に求めてこんか。そんな無茶苦茶な理屈を蕩ける頭の中でこねくり回す。

    「ン、……」

     痺れを切らし、こちらから舌を差し込めばさすがに驚いたのか従者は咄嗟に口を離す。こほん、と咳払いをして子どもに諭すような口調で俺の行為をたしなめる。

    「閣下、一体何を」
    「いつかのお前のキスを真似をしてみたのだが……やり方が良くわからん。教えてくれ」
    「そんなキス、しましたか?」

     フェンリッヒは澄ました顔ではぐらかす。気に食わない。俺たちは悪魔なのだからもっと本能的で良いはずで。欲望に忠実で良いはずで。だのに、こいつと来たら俺を慮るような触れ方ばかり。悪い気はしないが良い気もしない。生娘だってもう少しませた口付けを交わすだろう。
     勿論、これがフェンリッヒなりの礼儀であり、敬いであり、俺を慮るものなのだろうとは分かっている。分かっているのだが。……これではまるで、俺ばかりがお前を好いているようではないか。

     大人げなくむっとした表情を作って見せれば困り顔の狼男が眉を下げた。遠慮がちに伸びてくる、手。頬に触れるその指をそのままに受け入れる。くすぐったい。それは俺の食事に血を仕込む、悪い手。あの時、差し伸べられた忠誠の手。

     良く知ったその指先と戯れる内に、もう一度、キスが落とされる。誘うよう、口唇を薄く開いて侵入を待つ。ようやく入って来るその舌は熱く、激情的で、ほくそ笑む。牙に触れ、続けて歯列をなぞられる。唾液の絡み合う音が耳の奥で響けば僅かに羞恥が込み上げた。望んだはずの深く長い口付けについ腰が引けるが、狼男は俺を離さない。息を許されない。苦しい。
     それでもああ、このままならなさこそが、きっと俺の望んでいたものだ。

     腕を緩められ、感じていた人肌の温度が少しずつ離れていく。ようやく息を吸えば、死んでもいないのに生き返ったような、そんな不思議な心地がした。

    「キスの仕方、覚えられましたか?」
    「……教え方が悪いのではないか? やはり要領を得んな。だから、もう一度……」

     軽口の続きを狼男は許さない。吸血鬼の唇に仕置きとばかり、噛み付くようにキスをした。
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    LastQed

    DOODLEガラハイ🐺🦇【stand up!】
    お題「靴擦れ」で書きました。ハイドがストーカーに刺された過去を捏造しています(!?)のでご注意ください。

    ガラさんとハイドには、互いの痛みを和らげてくれる、一歩を踏み出すきっかけになってくれる…そんな関係にあってほしいです。
    【stand up】「ガラ、休憩だ」

     背後から名を呼ばれ、狼男は足を止めた。気配が背中まで迫って来るや否や、声の主はウンザリだとばかり、息を吐く。

    「休憩って……おれたち、さっきまでコーヒートークに居たんだよな?」

     両名は確かに五分前まで馴染みの喫茶店で寛いでいた。ガラハッドとゾボを頼み、バリスタ、それから偶然居合わせたジョルジと街の噂や騒動について会話を交わし別れたばかりだ。にも関わらず再び休憩を所望するこの友人をガラは訝しんだ。傾き始めた陽のせいかハイドの表情は翳り、どこか居心地が悪そうに見えた。

    「具合でも悪いのか?」
    「……ああ、もう一歩も歩けそうにない。助けてくれ」

     かつて、オークに集団で殴られようが、ストーカーに刺されようが、皮肉を吐いて飄々としていた男が今、明確に助けを求めている。数十年に及ぶ付き合いの中でも初めてのことで、ガラは咄嗟にスマートフォンに手を掛けた。「911」をコールしようとした時、その手を制止したのはあろうことかハイド自身だった。
    1434

    LastQed

    DONEガラハイ🐺🦇【As you wish, Mr.Hyde.】
    バレンタインのお話🍫Xにてupしたもの。記録用にこちらにも載せておきます✍️
    【As you wish, Mr.Hyde.】 今にも底の抜けそうな紙袋が二つ、どさりとフローリングに下ろされる。溢れんばかりの荷物、そして良く見知った来訪者を交互に見比べて人狼が尋ねた。

    「なんだこれ」
    「かわい子ちゃんたちからの贈り物だ。毎年この時期事務所に届く。……無碍にも出来ないからな、いくつかはこうして持ち帰るんだ」
    「マジかよ……これ全部か……?」

     愕然とする人狼を横目に、ハイドは手が痺れたと笑うだけだった。今日は二月十四日、いわゆるバレンタインデー。氏に言わせれば、これでも送られてきた段ボールの大半を事務所に置いてきたのだという。

    「さすがは天下のハイド様だ……」
    「まあ、悪い気はしない」

     ソファに腰を下ろし、スリッパを蹴飛ばしてしまうと吸血鬼はくじ引きのように紙袋へと腕を突っ込んだ。無作為に取り出したファンレター。封を開き便箋を取り出すと、丁寧にしたためられた文字の列をなぞった。一通り目を通した後で再び腕が伸ばされる。次にハイドが掴み取ったのは厚みのある化粧箱だった。リボンを解けば、中には宝石にも見紛うチョコレートが敷き詰められていた。どれにしようかと迷う指先。気まぐれに選んだ一つを口の中に放り込んだ時、ガラがおもむろに通勤カバンを漁り始めた。
    1853

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    LastQed

    MOURNING世の中に執事閣下 フェンヴァル ディスガイアの二次創作が増えて欲しい。できればえっちなやつが増えて欲しい。よろしくお願いします。【それは躾か嗜みか】



    この飢えはなんだ、渇きはなんだ。
    どんな魔神を倒しても、どんな報酬を手にしても、何かが足りない。長らくそんな風に感じてきた。
    傭兵として魔界全土を彷徨ったのは、この途方も無い飢餓感を埋めてくれる何かを無意識に捜し求めていたためかもしれないと、今となっては思う。

    そんな記憶の残滓を振り払って、柔い肉に歯を立てる。食い千切って胃に収めることはなくとも、不思議と腹が膨れて行く。飲み込んだ訳でもないのに、聞こえる水音がこの喉を潤して行く。

    あの頃とは違う、確かに満たされて行く感覚にこれは現実だろうかと重い瞼を上げる。そこには俺に組み敷かれるあられもない姿の主人がいて、何処か安堵する。ああ、これは夢泡沫ではなかったと、その存在を確かめるように重ねた手を強く結んだ。

    「も……駄目だフェンリッヒ、おかしく、なる……」
    「ええ、おかしくなってください、閣下」

    甘く囁く低音に、ビクンと跳ねて主人は精を吐き出した。肩で息をするその人の唇は乾いている。乾きを舌で舐めてやり、そのまま噛み付くように唇を重ねた。
    吐精したばかりの下半身に再び指を這わせると、ただそれだけで熱っぽ 4007

    LastQed

    DOODLE主人に危機感を持って貰うべく様々なお願いを仕掛けていくフェンリッヒ。けれど徐々にその「お願い」はエスカレートしていって……?!という誰もが妄想した執事閣下のアホエロギャグ話を書き散らしました。【信心、イワシの頭へ】



    「ヴァルバトーゼ閣下〜 魔界上層区で暴動ッス! 俺たちの力じゃ止められないッス!」
    「そうか、俺が出よう」

    「ヴァルっち! こないだの赤いプリニーの皮の件だけど……」
    「フム、仕方あるまいな」

    何でもない昼下がり、地獄の執務室には次々と使い魔たちが訪れては部屋の主へ相談をしていく。主人はそれに耳を傾け指示を出し、あるいは言い分を認め、帰らせていく。
    地獄の教育係、ヴァルバトーゼ。自由気ままな悪魔たちを良く統率し、魔界最果ての秩序を保っている。それは一重に彼の人柄、彼の在り方あってのものだろう。通常悪魔には持ち得ない人徳のようなものがこの悪魔(ひと)にはあった。

    これが人間界ならば立派なもので、一目置かれる対象となっただろう。しかし此処は魔界、主人は悪魔なのだ。少々横暴であるぐらいでも良いと言うのにこの人は逆を征っている。プリニーや地獄の物好きな住人たちからの信頼はすこぶる厚いが、閣下のことを深く知らない悪魔たちは奇異の目で見ているようだった。

    そう、歯に衣着せぬ言い方をしてしまえば、我が主人ヴァルバトーゼ様は聞き分けが良過ぎた。あくまでも悪魔なので 7025

    LastQed

    BLANK【5/24 キスを超える日】ほんのり執事閣下【524】



     かつてキスをせがまれたことがあった。驚くべきことに、吸血対象の人間の女からだ。勿論、そんなものに応えてやる義理はなかったが、その時の俺は気まぐれに問うたのだ。悪魔にそれを求めるにあたり、対価にお前は何を差し出すのだと。
     女は恍惚の表情で、「この身を」だの「あなたに快楽を」だのと宣った。この人間には畏れが足りぬと、胸元に下がる宝石の飾りで首を絞めたが尚も女は欲に滲んだ瞳で俺を見、苦しそうに笑っていた。女が気を失ったのを確認すると、今しがた吸った血を吐き出して、別の人間の血を求め街の闇夜に身を隠したのを良く覚えている。
     気持ちが悪い。そう、思っていたのだが。
     ──今ならあの濡れた瞳の意味がほんの少しは分かるような気がする。

    「閣下、私とのキスはそんなに退屈ですか」
    「すまん、少しばかり昔のことを思い出していた」
    「……そうですか」

     それ以上は聞きたくないと言うようにフェンリッヒの手が俺の口を塞ぐ。存外にごつく、大きい手だと思う。その指で確かめるよう唇をなぞり、そして再び俺に口付けた。ただ触れるだけのキスは不思議と心地が良かった。体液を交わすような魔力供給をし 749

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    LastQed

    DONEしがない愛マニアである私が原作の奥に想い描いた、ディスガイア4、風祭フーカと父親の話です。銀の弾は怪物を殺せるか?【銀の弾など必要ない】



    白衣が揺れる。頭をかいてデスクに向かうそのくたびれた男に私は恐る恐る声を掛ける。

    「パパ、お家なのにお仕事?」

    男はこちらを振り返りもしない。研究で忙しいのだろうか。それとも、私の声が届いていないのだろうか。
    父親の丸まった背中をじっと見つめる。十数秒後、その背がこわごわと伸び、首だけがわずかにこちらを向く。

    「すまん、何か言ったか?」

    この人はいつもそうだ。母が亡くなってから研究、研究、研究……。母が生きていた頃の記憶はあまりないから、最初からこんな感じだったのかもしれないけれど。それでも幼い娘の呼び掛けにきちんと応じないなんて、やはり父親としてどうかしている。

    「別に……」

    明らかに不満げな私の声に、ようやく彼は腰を上げた。

    「いつもすまんな。仕事が大詰めなんだ」

    パパのお仕事はいつも大詰めじゃない、そう言いたいのをぐっと堪え、代わりに別の問いを投げかける。

    「いつになったらフーカと遊んでくれる?」

    ハハハ、と眉を下げて笑う父は少し疲れているように見えた。すまんなあ、と小さく呟き床に胡座をかく。すまん、それがこの人の口癖だった。よう 3321

    LastQed

    MOURNING世の中に執事閣下 フェンヴァル ディスガイアの二次創作が増えて欲しい。できればえっちなやつが増えて欲しい。よろしくお願いします。【それは躾か嗜みか】



    この飢えはなんだ、渇きはなんだ。
    どんな魔神を倒しても、どんな報酬を手にしても、何かが足りない。長らくそんな風に感じてきた。
    傭兵として魔界全土を彷徨ったのは、この途方も無い飢餓感を埋めてくれる何かを無意識に捜し求めていたためかもしれないと、今となっては思う。

    そんな記憶の残滓を振り払って、柔い肉に歯を立てる。食い千切って胃に収めることはなくとも、不思議と腹が膨れて行く。飲み込んだ訳でもないのに、聞こえる水音がこの喉を潤して行く。

    あの頃とは違う、確かに満たされて行く感覚にこれは現実だろうかと重い瞼を上げる。そこには俺に組み敷かれるあられもない姿の主人がいて、何処か安堵する。ああ、これは夢泡沫ではなかったと、その存在を確かめるように重ねた手を強く結んだ。

    「も……駄目だフェンリッヒ、おかしく、なる……」
    「ええ、おかしくなってください、閣下」

    甘く囁く低音に、ビクンと跳ねて主人は精を吐き出した。肩で息をするその人の唇は乾いている。乾きを舌で舐めてやり、そのまま噛み付くように唇を重ねた。
    吐精したばかりの下半身に再び指を這わせると、ただそれだけで熱っぽ 4007

    LastQed

    DONER18 執事閣下🐺🦇「うっかり相手の名前を間違えてお仕置きプレイされる主従ください🐺🦇」という有難いご命令に恐れ多くもお応えしました。謹んでお詫び申し上げます。後日談はこちら→ https://poipiku.com/1651141/5571351.html
    呼んで、俺の名を【呼んで、俺の名を】



     抱き抱えた主人を起こさぬよう、寝床の棺へとそっと降ろしてやる。その身はやはり成人男性としては異常に軽く、精神的にこたえるものがある。
     深夜の地獄はしんと暗く、冷たい。人間共の思い描く地獄そのものを思わせるほど熱気に溢れ、皮膚が爛れてしまうような日中の灼熱とは打って変わって、夜は凍えるような寒さが襲う。悪魔であれ、地獄の夜は心細い。此処は一人寝には寒過ぎる。

     棺桶の中で寝息を立てるのは、我が主ヴァルバトーゼ様。俺が仕えるのは唯一、このお方だけ。それを心に決めた美しい満月の夜からつゆも変わらず、いつ何時も付き従った。
     あれから、早四百年が経とうとしている。その間、語り切れぬほどの出来事が俺たちには降り注いだが、こうして何とか魔界の片隅で生きながらえている。生きてさえいれば、幾らでも挽回の余地はある。俺と主は、その時を既に見据えていた。堕落し切った政腐を乗っ取ってやろうというのだ。
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