☆全ての謎が解けた後の世界軸でお願いしたい
全部の謎が解けて。
晴明公の策略も、道満さんの秘密も解けた日でした
あの日宣戦布告をした屋形船の上、あの人同じように二人きりで乗り込んで、そして。
「君が好きです」
上司から告白をされました。
え?なんで???
~~~~喧嘩するほど仲がいいって言うじゃん~~~~~
「えっと、それは僕じゃないですよね?」
「いえ貴方です」
「絶対違います」
「本当です」
「道満さんの認識が間違っているのでは?」
「本当ですって」
「嘘つきめ!!」
「本当ですって!!!」
「嘘!」
「本当!!」
「貴方はそんな人じゃないです」
「お前が俺の何を知っているっていうんだよ」
あの日と同じようにお互いの言葉を否定していっても埒が明かないことにいら立ち混じりに机を叩いしまう「だって、貴方が好きなのは晴明公でしょう!?」
(こんな事言いたいわけじゃないのに)
道満さんの1000年を超えての想い人、執着心の根源。僕を学園に呼んでくれた理由。
ぐしり、と目じりに水の膜が張るのを、力任せに腕で拭きとれば。
「あ!?力任せに拭くバカがどこにいますか?」
「ここにいるんです!」
「確かにバカですね!。私が晴明公と貴方を重ねてみている、とそう言うのですか」
「そう、です」
だって僕は貴方に好きになってもらえるようなカッコいいところもないし、スマートでもない、異性関係もなければそもそも人間関係の形成だって得意じゃない。
考えれば考えるほどに、道満さんの隣に立つことなんてできない自分をまざまざと思い知らされて、また涙がにじみそうになる。
はぁ、とため息が聞こえて
「馬鹿じゃねぇの」と呆れた声の後に
「・・・あの日、お前が言ったよな?貴方を信じている僕のために、って。だったらお前を愛している俺の為に、信じさせてやる」
そういって
二回目の勝負の火ぶたは切られた。
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『お前を愛している俺の為に、信じさせてやる』
と宣言をして早半年。
あの残暑が残りつつも秋の気配もあったころから季節は二つほど変わり
すでに桜のつぼみが開き始める今日この頃。
未だに負け続けていたりする
(クッソッ!!!!)
俺的な計画でいけば、もうすでに今頃には同棲まで漕ぎつけてはいる予定だったし、すでにストックしてある、あんなゴムやら、そんなぬめり薬なんかは未だにストックしたままではあるし。というより現実ではいまだにお付き合いまでいっていないとか。
「はぁ」
思わずため息だけが零れる
ちなみにここまで何もしていなかったわけではない
断じてないプレゼントだってデートだってした。
したのだけれど
プレゼントをすれば「晴明公はこれが好きだったんですか?」と言い
デートに誘おうとすれば「道満さんが行きたい所にしましょう」と言う
いやいやいやいや
普通に「晴明」の時代にネクタイなんてねーよ!っていうか
アイツの趣味なんて知らねえ!!って言いたくなるし
デートだッっつってんだろ?!
俺が「はるあき」と晴明を偲んで遠足行きてえっつってんじゃねよ?
って言いたいし実際に言ったし
だけれども
何をしても、私が「はるあき」君を好きだと言う証明にはならない。
実際問題、不可能だろう。
俺が俺の心を見せられるのなら兎も角
見せられないものを証明しろ、だなんて
(ちなみにうっかりと・・本当に魔がさして某保険医にそういった『心を見せる系薬』は無いのかと問い合わせてしまった件については黒歴史として葬り去りたい所存)
結局は、どうにかこうにか晴明君に信じてもらうしかないのだ。
はぁ、とため息一つ零して
そうして
(しょうがありませんね、この手だけは使いたくなかったのですが)
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「付き合いましょう」
かぽーん、と鹿威しの音が響くような静寂が広がってそうして、治まる
「道満さん、申し訳ないですが、僕は晴明公ではないですよ。」
「ええ。知ってる。知っていて俺はアンタが善いって言ってんだよ」
「晴明公と重ねられて好きだと思われている僕の心は無視ですか?」
「そうだ」
「酷い、、」
「ああ、酷くしてやる」
俺の宣言に傷ついたように目を伏せた晴明君の、そのネクタイを引っ張り上げて
そうして、唇を奪ってやる
「ん!??ふっ、んーーーー」
上唇を噛んで
下唇を舐めれば、驚きと呼吸のために開いた口内に舌を差し込み
口内の全部を探っていく。
最初に抵抗をしていた腕は、いつしか私の胸元のシャツを握ったのをいいことに
腕を抑えていた掌をそっと晴明君の後頭部に差し入れてはさらに口づけを深くする。
(私が貴方を知ったように、私もあなたを知ったのだと、思い知ればいい)
自己評価の低いヘタレで、怖がり
退魔の力に頼り切らないで「平和的」に解決をしようとする所も
セーラー好きの変態を隠さないところも
そして
あの日、私に頭を撫でてくれたのは「晴明」じゃなくて「晴明君」だったろうが。
お前、全然似てねぇし
そんなお前だから好きになったんだと証明してやるから
(だから)
口から飲み下しきれなかった唾液がシャツに落ちたのを境にようやっと唇を離してやれば。ゼイゼイと荒い呼吸を繰り返すながらも、私の胸に寄りかかる痩せぎすの身体を抱きとめる
「ね?こうやって分からせてあげますから。とりあえず付き合うぞ」
悪魔の証明だって、乗り越えて見せるから。