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    DuzB1b

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    DuzB1b

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    この前書いた、ほめてほしい妖怪(新種)の💉の話続編(?)
    たか晴
    (ちょっと訂正+加筆)

    (今日はいい日だった)

    お天気がいいことだとか
    単元確認小テストの平均点が上がっていた、とか
    他のクラスの子にも「ここ、教えてほしいです」と質問されたこととか
    お昼にマシュマロたちと食べたごはんが美味しかったとか

    「先生また明日ね!」と手を振り帰宅する子たちに手を振り返しながら
    鼻歌が出そうになる心をなんとか抑え込んで職員室のドアを開ければ。
    なんてことでしょう。

    (・・・・モーゼかな?)

    職員全員が起立状態でいる部屋の中でぽっかりと空いた一部分

    (しかも、二年の席かよ!?)

    に、「逃げて!」と騒ぐ凜太郎君を押さえつける沈痛な顔をしている飯綱君に、僕関連だと証明されている上に、ほかの先生方はドアを塞いでいる上に、ぽっかり空いたところまで花道作っちゃってるし。

    (に・・・逃げられない!)

    逃げられない状況に、しょうがなく足を進めれば
    僕の横の席に、行儀悪く職員用のワーキングチェアに座りながら背面に顎を乗せてぐるぐる回転しているたかはし先生が居た。

    (怖!!!)

    いや、マジで・・・
    たかはし先生と言えば、イケメンな上に大体が柔らかく笑っている表情だから(それはそれで怖いけど)。そんな人がぷう、と頬を膨らませつつ『自分、怒ってますから』と不機嫌を隠しもしない表情をしていたらどうよ。
    アンサーとしては自分が当事者じゃなければ目の保養だけれど、推定当事者である今はめちゃめちゃ怖いとしか言いようが無い。なんなら逃げたいと思って周囲に(いや・・・逃げちゃ駄目かなぁ?)と周囲にアイコンタクトをすれども、周囲の先生は顔を横に振ってからカバディの絶対逃がさない構えだし。

    虎穴に入らずんば虎子を得ずかな??
    別に虎の子も要らないんだけどなぁ、なんて思考を逃避させていてもしょうがない。
    (ええい!ままよ!!)

    「たかはし先生何かありました?」と問えば、一瞬だけパッと表情を明るくした後で、また膨れ面で、今度はそっぽを向いて「何もないよ」なんて言うし。

    (いやいや、それは無理があるって)

    「こんなに膨れ面してて、何もないなんてことはないでしょう」
    「だって、’お兄さん’はきっと理解してくれない」

    完全無敵に幼児帰りを起こす150歳に対して、ナンだけど
    イラっとしました!
    安倍先生はイラっとしましたよ!(大事なところだから二回言ったよ!)
    これが生徒なら可愛いと思えるけれども、相手は150歳である。

    (それに、『お前なんかに話してもしょうがない』って言うのは、なんかちょっと痛かった)

    「へぇ。明君はそういうことを言うんだ」
    「あ、」

    だからだろうか、イラっとしつつもここで僕まで怒るとさらに悪化すると思って冷静を装って出した声は思ったより冷たくて。それに明君の肩がびくりと揺れて、そっぽを向いていた視線が合わさる。

    (よし。棚ぼただけどうまくいった)

    予想外に僕の冷たい声に動揺してくれた明君に心の中だけでガッツポーズをする、

    (まずは視線を合わせる事が第一歩)
    明君の両頬に両手を添えながら、そらされないように固定する。


    この子は理路整然と話せばきっと理解をすることは証明済みなのだから
    大丈夫。ダイジョブだから焦って間違えるなよ、と自分に言い聞かせる。

    「うん。確かに僕は君じゃないし、君は僕じゃない。それは誰にとってもだよね?。
    だったら分かってもらうためには話すべきじゃないかな?」

    血の色を湛えた瞳は揺らがないし逸らされない。
    大丈夫。大丈夫。君はちゃんと言葉を聞ける子なんだから。

    150年前の欲に濡れていた時であれ、君は僕の声を聴いたんだから。

    だから

    (君の声も聞かせてよ)


    「自分の不機嫌を言葉にしないで『分かってくれないでしょう』なんて諦めないで。言ってくれたら僕も、理解はできないかもしれないけれど、一緒に考えるから」


    ちくたく、と短いと思えば短い、長いと思えば長い時間、静寂が続いた後で。



    「・・・・・言って嫌いにならない?」
    両頬を包んだ両手の、その袖口をそろりと掴んで形のいい口から明君が欠片を吐き出したから。

    「言ってくれない方が困っちゃうよ」と笑えば。


    「僕以外をあんなふうに褒めないで」

    グイっと僕の袖を引いて、引き寄せて。
    鼻先数センチの位置で明君は僕の瞳を覗き込みながら言った

    (ぱーどぅん???)


    ***************
    ※次のページだと思ってください!※


    「はぁ~~~~~~~~~~~~~~」
    印刷複合機で明日のプリントを印刷しながらも、あまりの疲労感に壁にもたれる。
    (つ・・・・疲れた)

    あ、このままキスしちゃう?なんて距離を詰められたときにブー――!とたかはし先生の胸元から音を立てたスマホ。

    『ありゃ。タイムアウトだ。いいところだったのになぁ』なんて言いながらも、一気に霧散した雰囲気に腰が抜けた僕を抱きとめて、チュッと頬にキスを落とした後には
    『今日は此処までで許してあげる』なんて颯爽と去っていった。

    (いやもう。本当に何??)

    僕以外をあんなふうに褒めないで、も訳が分からないけれど
    キス・・・とかさぁ

    (ん~~~~、親愛の情かもしれないけれど)
    プレイボーイだし、頬っぺたのキスなんてキスのうちにも入らない親愛の情かもしれないけれど。
    なんなら感触も温度も分からないほどの短い接触だけど。

    だけど

    (見つめてくる瞳が、やけに熱い)

    持たれていた壁をずるりと伝いながら床にしゃがみ込みながら触れるのはキス(未満)をされた頬。

    それに
    なによりも

    (僕は、何にそんなに縋っちゃってるんだろう?)

    まるで、彼に想われている勘違いをしたい、みたいだなんて

    「・・・疲れた、な」




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