はじまりはデュオプロとして活躍しているヴァイオリン奏者東條。演奏で忙しい日々のなか、母校から非常勤講師としてヴァイオリンの特別授業を担当してほしいとオファーが。母校は活躍する卒業生を講師に招いて学校のカリキュラムに箔をつけたいという意図らしい。金には困っておらず、忙しい身。断ろうとするがひょんなことから高校時代親しくしていた町田が常勤の教師として母校で働いていることを知る。しかもどうやら、楽器の指導よりも楽典など座学を担当しているらしい。町田は東條までいかずとも優秀なチェリストの卵だったのに、なぜ高校教師に甘んじているのかと不思議に思う東條。
なんだかんだで非常勤講師のオファーを受けた東條。町田は久しぶりの再会に驚きを隠さなかったが、次第に昔の仲を取り戻す二人。しかし東條はまだ町田が楽器の演奏から遠ざかっているのか聞かずに、聞けずにいた。
しかしひょんなことから町田がひとりでチェロを弾いているところに出くわす東條。その音色は思い出の中のうつくしい音が年月を経た、相変わらず好ましい音だった。なぜひっそりと演奏しているのかは尋ねずに、学園祭で二人でデュオをやろうと言い出す東條。町田は恐れ多いと断るが、東條は勝手に知り合いに頼んで二人の思い出の曲、二人してはまったゲームのテーマソング、高校の校歌、そして大切なあの曲をヴァイオリンとチェロのデュオに編曲し、譜面を渡してきた。
町田は……。